2020.08.16

102-23 百六里庭・眺関亭から見た関宿(三重県亀山市)

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関宿から3回目の投稿です。そして、今日がシリーズの最終回となります。

「百六里庭(ひゃくろくりてい)」は1998年、当時空地であった場所に休憩所などを設けて整備した小公園で、ここが江戸から106里余り(1里は約4km)の距離にあることから名づけられました。敷地の東海道に面した部分に造られた建物が「眺関亭(ちょうかんてい)」で、展望スペースからはその名のとおり関宿の街並みを眺めることができます。

「展望」とはいえ、その高さは2階で、街道の幅は狭く、宿場町なので街が面的に広がっているわけでもなく、そこから見えるのは一本の通りに沿って連なる屋根の瓦程度が「関の山」です。そして、たった一軒、街並みの調和を乱す建物があるだけで風景が台無しになってしまうということも、この画像からよくわかるかと思います。

ちなみに「関の山」という慣用句、ここ関にある神社の祭に出される「山」(関東で言う「山車」)が大変立派なものだったため、「これ以上はできないという限度」という意味で使われるようになったのだそうです。今は小さな田舎町ですが、日本語に影響を与えるほど有名な宿場町だったんですね。

それではみなさん、またお会いできる日まで、お元気で。

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2020.08.15

102-22 関宿 その2(三重県亀山市)

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前回(102-21)に引き続き、関宿からお送りいたします。

日本全国に「古い街並み」は数多くあり、私もそういった場所をいくつも訪れてきたのですが、日本建築に詳しくないとそれらの違いがよくわからず、正直どこも同じに見えてしまいます。ただ、そんな私でさえ「ここは他とは違う」と明らかに感じる特徴が、この関宿にはあります。

それは「規模」で、伝統的な町家が200棟以上現存する宿場町の一本道の、東端から西端までの延長は約1.8kmもあります。つまりゆっくり歩いて往復するだけでも1時間はかかり、その分たっぷり滞在を堪能できるというわけです。実際にここを歩いてみると街道には微かなアップ・ダウンがあるとともに、左右にも微妙に曲がりくねり、先が見通せない街並みはどこまでも果てしなく続いているように思えます。今回はそんな関宿の「距離」が最も感じられる画像を選んでみました。

これだけの長さがあると区間によって風景にも違いが見られ、もともと商店等はそれほど多くない街なのですが、宿場の西側へ行くと大半が小規模な平屋の仕舞屋(しもたや・商業地域内にありながら商売をやめてしまった家)風となり、全体としてやや地味で落ち着きのある、街外れの住宅地といった風情が感じられます。

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2020.08.14

102-21 関宿 その1(三重県亀山市)

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「中部地方」シリーズの最後は、三重県の風景で締めくくっていこうと思います。私の中では長らく、三重県は愛知・岐阜とともに東海3県を構成してはいるものの、中部地方ではなく近畿地方だという認識だったのですが、調べていると中部地方に含まれるという説もあったので改めて確認してみると、県の公式見解としては「中部地方にも近畿地方にも属している」のだそうです…。

さて、今日から3回にわたってご紹介していく予定の「関宿」(せきしゅく/せきじゅく)は、県北西端、鈴鹿山脈の山裾に位置する東海道五十三次の47番目の宿場で、現在も街道沿いに古い町並みが残され、国の重要伝統的建造物群保存地区、および旧建設省選定の「日本の道100選」の一つとなっています。

画面右側の「百五銀行」は県内を本拠とする地方銀行の、現役の支店で、町並みに配慮した意匠の建築として平成9年度の「三重県さわやかまちづくり賞(景観づくり部門)」を受賞しているそうです。

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2020.08.12

102-20 金シャチ横丁 義直ゾーン(名古屋市)

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前回(102-19)予告したとおり、「金シャチ横丁」のご紹介です。

ここは2018年、名古屋城に隣接してオープンした江戸時代の城下町風の商業施設で、公式キャスト、サポーターによるイヴェントの会場となる広場が設けられ、ちんどん屋や人力車といった演出も行われるなど、「日光江戸村」のようなテーマパーク的性格も持ち合わせているようです。

名古屋城は、その内外に飲食店や土産物屋等の施設が少ないという課題を抱えていました。かといって文化財である城内にそのような施設を設けるのは難しく、周辺は官庁街のため新たにそういった施設を造るための土地もなかなかなく…。そこで駐車場用地を活用して観光客が立ち寄れる場所を設けることによって滞在時間を増やし、賑わいを創出することで、名古屋城及びその周辺の魅力を一層向上させるとともに、国内外からの来訪者に対して名古屋の魅力を発信することを目的に「金シャチ横丁」を整備したわけです。名古屋市は土地を貸与する一方、公募によって選定された民間事業者が整備と管理運営を担い、そのアイディアとノウハウが活用されています。今後の整備では芝居小屋や、名古屋城の金シャチや収蔵品、山車などを展示する施設が建設される予定となっています。以前当サイトでは、熊本市の「桜の馬場 城彩苑 桜の小路」という施設をご紹介しましたが、ここはその名古屋版といったイメージですかね。大阪城の周辺でも2017年に「JO-TERRACE OSAKA(ジョー・テラス・オオサカ)」という類似の施設がオープンしているので(いずれご紹介したいと思っています)、これは全国的なトレンドなのかもしれません。

「金シャチ横丁」は2カ所に離れて立地しています。今回の画像は城の正門側にある尾張藩初代藩主・徳川義直にちなんで命名された「義直ゾーン」です。こちらは「伝統」をテーマとしており、木曽地方の木材にこだわった和風建築による伝統的な純和風の街並みをイメージした建物に、定番の「なごやめし」を提供する5つの老舗飲食店と物販店が1店入居しています。一方、前回の画像の東門側にあるのは、派手好きで知られる7代藩主・徳川宗春にちなんで命名された「宗春ゾーン」です。「革新」をテーマとするこちらは「義直ゾーン」と差別化を図って、木造でありながら現代的で透明感のあるデザインを取り入れた建築となっており、名古屋の新しい食文化を発信する新進気鋭の飲食店5店舗が集結しています。…正直、「義直」とか「宗春」とか言われても、将軍家でもない一地方大名の尾張徳川家の歴史とか、地元でもない名古屋の郷土史に疎い私にとってはいまいちピンとこないし、覚えられないのですが…。

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2020.08.11

102-19 名古屋城の風景(愛知県)

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久しぶり(17年ぶり?)に名古屋城を訪れてみました。

今回は名古屋城の東門の前にある「金シャチ横丁」の「宗春ゾーン」を見に来たのですが(画像右側)、それよりも春のひんやりとして澄み切った空気の中で咲き誇る、石垣の奥の満開の桜の花や、名前もわからない手前の低木の白い花が可憐だったので、この画像をご紹介してみました。

「金シャチ横丁」については、次回詳しく取り上げたいと思います。

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2020.08.10

102-18 ノリタケの森(名古屋市)

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歴史を感じる赤レンガ造の建物群、その手前にはクラシカルな噴水を中心としたフランス式庭園(池や植栽の幾何学的な配置や人工的整形が特徴)、一方画像奥の大木の後ろには妙に寸胴な煙突の姿が見え、さらにその先には芝生の広場が一般開放されています。名古屋駅からわずか徒歩15分という大都会の中心に、周囲に聳え立つ近代的な高層ビル群とは見事なコントラストを成す異空間が展開されています。

ここ「ノリタケの森」は、世界的陶磁器メーカーである「ノリタケカンパニーリミテド」が創立100周年の記念事業として2001年、近代陶業発祥の地である本社敷地内にオープンさせた複合施設で、オープン・スペースを含む総面積約22,000㎡の敷地内に、「ウェルカムセンター」、「クラフトセンター」、ミュージアム、ギャラリー、ショップ、レストラン、カフェ、といった施設があります。

「ウェルカムセンター」ではノリタケの歴史や技術などを紹介しており、「クラフトセンター」では工場見学や絵付け体験ができるようになっています。レストランではノリタケ製の食器を使用するなど、施設全体が企業の広報・宣伝活動を担うとともに、昔から製造業を中心に栄えてきた東海地方が得意とする「産業観光」の促進にも寄与しています。

これらの施設は新しい建築物を造らず、事務所、工場、倉庫等だった既存の建物を再利用したことが大きな特徴で、画像の赤レンガ建築群は明治末に建てられたという長い歴史のあるものです。また、画像奥にわずかに見えている煙突は実は6本並んでいるのですが、これは昭和8~15年にかけて造られた陶磁器焼成用トンネル窯煙突の跡で、かつては45mの高さがあった工場のシンボルを10m弱に切断したものです。これらの歴史的建造物は経済産業省の「近代化産業遺産群」、市の「認定地域建造物資産」に指定されています。

都心部における貴重な緑の空間として「市民緑地」の認定も受けている敷地内には、「噴水ひろば」や「煙突ひろば」、せせらぎといった豊かな自然を感じさせるゾーンを設けている他、ビオトープ(動植物の生息環境を都市内に復元した場所)を造ったり、地域に本来生育している植物種であるコナラなどを植えたりすることで生態系を回復させており、鳥や昆虫の種類は名古屋城周辺の緑地(次回取り上げる予定です)と同程度まで増加しているのだそうです。

このような産業観光の振興、歴史的資源の保全、地域環境への配慮といった様々な分野にわたる社会貢献の姿勢が評価され、「ノリタケの森」は都市景観や環境等に関する数多くの賞を受賞しています。

情報量の多い記事になってしまいました…。

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2020.08.09

102-17 名駅の風景(名古屋市)

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「名駅(めいえき)」とは、その名から容易に推測されるとおり中部地方最大の鉄道駅である名古屋駅周辺地域を指す地名で、と並んで名古屋を代表する繁華街・ビジネス街となっており、超高層ビル群が形成されています。今回の記事では、特にその内のある1棟のビルについて語りたいと思うのですが、それが画像の奥に建つ、2008年竣工・開業、地上36階・地下3階建ての「モード学園スパイラルタワーズ」で、同一法人が運営する「名古屋モード学園」「HAL名古屋」「名古屋医専」の3つの専門学校に加え商業施設が入居しています(3校を1つの校舎にして建設したことから「タワーズ」と複数形になっているようです)。

モード学園と言えば何十年間もずっとインパクトのあるコマーシャル・フィルムをTVで提供し続けているという印象がありますが、東京・新宿で個性的な校舎を建てたこの学校法人が、その発祥の地である名古屋でも一際目を引くランドマークを創ってくれました。全て大きさ・形が異なるという三角形のガラスのパネルで構成されたリボンのような外壁が、螺旋状に絡まって空へと羽ばたいていくように見えるその外観はとにかくスタイリッシュで、都市の風景の中での存在感は圧倒的です。ファッションを学ぶ校舎にふさわしく「ドレスの裾のような柔らかな美しいシルエット」を持つこのデザインは、ファッション・デザイナーでもある学長が数多くのコンペ案の中から「学生たちの感性と想像力を触発するもの」として採用したのだそうで、2008年度のグッドデザイン賞の他、様々な賞を受賞しています。

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2020.08.08

102-16 ささしまライブ交差点の風景(名古屋市)

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中部地方最大の鉄道駅である名古屋駅の南側にはかつて「国鉄笹島貨物駅」の敷地が広がっていましたが、それが1986年に廃止され、物流から商業・業務を中心とした土地利用に転換し国際交流拠点を目指すべく、12.4haのエリアにわたって土地区画整理事業が行われました。この大規模再開発エリアは「ささしまライブ24」と名づけられ、2005年に開催された「愛・地球博」のサテライト会場となるとともに、商業施設の「マーケットスクエアささしま」、ライヴハウスの「Zepp Nagoya」がオープンしました。その後2010年代に入ると「名古屋プリンスホテルスカイタワー」「愛知大学名古屋キャンパス」「中京テレビ放送本社」、そして商業施設などが入り地区の中核施設となる超高層ビル「グローバルゲート」(画像正面の建物)といった施設が次々とオープンしていきました。

そんな地区内には歩行者デッキが張り巡らされ、英国・ロンドンのこんな場所のようにピカピカのガラス張りの高層ビルが整然と建ち並んでいます。画像は地区内の「ささしまライブ交差点」周辺の風景なのですが、ビルの壁面だけでなく、信号機、ガードパイプ、横断歩道など、視界に入る全てが縦・横・高さの3次元にわたって引かれた無数の平行線で埋め尽くされていて、風景に近未来的なスピード感がもたらされているような気がします。

ところで、「ささしま…」地区の南側は船だまりに接しているのですが、そこを起点として南へ数km離れた伊勢湾までほぼ一直線に「中川運河」が掘られています。運河は鉄道で運ばれてきた貨物をさらに国際貿易港である名古屋港へ運ぶことを目的として計画され、竣工後の昭和5年から30年代頃までこの地域における中心的な水上輸送路として活用されて、貨物駅に面した船だまりで荷物の積み下ろしが行われていたようです。つまりこの大規模再開発エリアは英国・ロンドンでいうところのこんな場所のような、名古屋では希少価値の高い「運河に面したウォーターフロント」の立地のはずなのですが、そのポテンシャルは全く生かされていません。わざわざ船だまりに面した場所にオープン・スペースが配置されているのですが、そこに何があるというわけでも、水辺らしい魅力的な景観形成が行われているわけでもないので、実にもったいなく感じられました。

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2020.08.07

102-15 西浦園地(愛知県蒲郡市)

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前回(102-14)に引き続き、蒲郡市の風景です。ここは三河湾に突き出した西浦半島の先端部分の小高い丘の頂上にある芝生の公園で、三河湾が一望できる絶景スポットです。園地は桜の木々に囲まれていて、私が訪れた時はちょうど開花の時期だったので、平日にもかかわらずそれなりの人出がありました。逆に言えば、桜が咲いている年間でわずか1週間ほどの時期以外にここに来てしまうとちょっと寂しく、風景も物足りなく感じられてしまうかもしれません…。

ここは市内に複数ある温泉街の一つ「西浦温泉」の中にあります。半島の海岸や高台には中~大規模のホテルがいくつか立地していて、その中のあるホテルの日帰り入浴を利用したのですが、屋上の露天風呂からの眺望は開放感いっぱいで、他に客もいなかったので素晴らしい眺めを独占できて最高の気分でした。

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2020.08.06

102-14 竹島園地(愛知県蒲郡市)

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蒲郡(がまごおり)市は愛知県南東部に位置し、渥美半島と知多半島に囲まれた三河湾に面する海辺の街で、温暖な気候を活かした「蒲郡温室みかん」等のフルーツ栽培がさかんです。三河湾沿岸一帯が国定公園に指定されているという風光明媚な土地で、市内に複数の温泉街があることなどから、戦前から大都市・名古屋近郊の保養地として観光開発されてきました。競艇場を有し、リゾート施設「ラグーナテンボス」を開業させるなど、海をテーマとした観光、ヨットなどのマリン・スポーツの振興にも力を入れているようです。

画像に映る小さな島が、無人島の「竹島」です。三河湾国定公園における代表的な景勝地として、地元民に親しまれる蒲郡のシンボルとなっているようで、島の対岸一帯は芝生の広がる開放的な公園として整備されています。明治45年に島に繋がる橋のたもとに料理旅館「常盤館」が開業すると、昭和初期にかけて政治家や文豪たちの間で人気を博し、いくつもの文学作品に登場したのだそうです。蒲郡を舞台とした文芸作品は数多く、「常盤館」の跡地には「海辺の文学記念館」が建てられました。周辺には他にも、昭和37年に建築された日本で4番目に小さな「竹島水族館」等の観光施設もあり、これらは「海辺の5館」と総称されています。また昭和9年に鉄道省認定の政府登録国際観光旅館として開業した「蒲郡クラシックホテル(旧蒲郡ホテル)」も近くに建っています。これは城郭風の外観にアールデコ様式の内装を持ち、経済産業省に「近代化産業遺産」として認定された愛知県三河地方を代表する歴史的建築物です。

このように古くから人々に愛された由緒ある観光地ですが、気候が温暖で風景が美しいというだけでは現代人には物足りない上に観光施設も老朽化が進んでおり、実際長年に渡って観光客数と宿泊客数が減少傾向にあるようです。そういう意味では宮崎県の青島、米国でいうとアトランティックシティといった街との共通点が感じられます。時代遅れの観光地ならではののんびりとした空気感も逆に悪くないのですが。

旅の思い出としては、竹島水族館の外で食べた「あさりうどん」(一般的には「蒲郡うどん」として知られている地元B級グルメ)の、熱々のあっさり出汁と柔らかめの麺が印象的でした。ワカメはあまり好きではない私ですが、それが入っていることでより磯の香りが感じられ、美味しかったです。

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2020.08.04

102-13 空中公園のボードウォーク(静岡県・伊豆の国パノラマパーク)

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前回(102-12)に引き続き、「伊豆の国パノラマパーク」からお送りいたします。

こちらは山頂付近の尾根づたいの散策路で「ボードウォーク」と呼ばれ、両側の木々の幹や枝葉の淡い色によく馴染んだ枕木のような廃材?が敷きつめられています。真っ直ぐではなく、上下左右に微妙に波打つその線形は、手づくり感にあふれています。

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2020.08.03

102-12 富士見テラス(静岡県・伊豆の国パノラマパーク)

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伊豆半島北部に位置する標高452mの葛城山の山頂と北麓に広がるツツジやアジサイ等が美しい自然豊かな公園「伊豆の国パノラマパーク」の、山頂付近に2016年7月にオープンしたのが「富士見テラス」です。

ここはそもそも名前のとおり、富士山と駿河湾を一望できる絶景スポットなのですが(この方角に富士山があるはずなのですが、数日前の記事でお断りしておりますように…)、そこに無料で利用できる「ソファーエリア」と、奥に見える予約可能な「プレミアムラウンジ」を設けています。カフェも併設されているので、食事やお茶を楽しむこともできます。

展望台というと大概は立って景色を見る場所で、せいぜいベンチが置かれているくらいかと思いますが、ここには屋内のリヴィング・ルームのようなソファーが置かれており、絶景をバックに思わず寝転がってしまいたくなるような、ゆったりとくつろげる居心地のよい空間が提供されています。さらに「プレミアムラウンジ」では、東屋状のプライヴェートなスペースにデイ・ベッド(ソファーとして使えるベッド)が座敷感覚で敷きつめられているので、その絶景を独占することができそうです。

「富士見テラス」は、麓の伊豆長岡温泉地区から往復1,800円(大人)のロープウェイでアクセスするのですが、この施設そのものもロープウェイ・メーカーの関連会社によって運営されているようです。この会社は全国各地で人気の高いスキー場等の観光施設を手がけていますが、その中には昨今その絶景がSNS等で話題になっているらしい滋賀県の「びわ湖テラス」(いずれご紹介できればと思っています)も含まれているので、そういった流行に敏感でセンスのよいリゾートのプロデュースを得意としているのでしょう。

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2020.08.02

102-11 三島スカイウォーク(静岡県)

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正式名称を「箱根西麓・三島大吊橋」といい、その名のとおり箱根火山の裾野の谷を跨ぐように架けられたこの「三島スカイウォーク」は、全長400mと日本一の歩行者専用吊橋です。地上からの最大高さ70mの橋の上からは富士山や駿河湾・伊豆の山並みなどが一望できます(前々回の記事で触れましたが、富士山が映っておらず申し訳ございません…)。

2015年に「オープン」したこの橋は、パチンコ店を展開する地元企業が、観光収益と地域貢献を目的とし総工費約40億円をかけて建設したものだそうです。2地点を結ぶためではなく、単に往復して展望を楽しむための観光施設としての橋なので、対岸は行き止まりで特に何もありません。橋を渡るのに「入場料」を徴収し、周辺には物産店や飲食店等も併設しています。こうした目的のためにわざわざ一民間企業が巨費を投じてこれほど巨大な土木構造物を建設したのはすごい事だな、と思います(自然環境への影響は大丈夫なのでしょうか…)。

あとは、施設周辺のサイン類や、パンフレットのグラフィック・デザインなどが都会的で洗練されているのも印象的でした。

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2020.08.01

102-10 御殿場プレミアム・アウトレット(静岡県)

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かつての遊園地「小田急御殿場ファミリーランド」の富士山を望む(またもや映っていなくてすみません…)広大な跡地に2000年7月に開業したアウトレット・モールで、米国のみならず、カナダ、メキシコ、韓国、マレーシアにおいて「プレミアム・アウトレット」を展開している米国最大手のショッピング・センター・ディヴェロッパーとの合弁会社「三菱地所・サイモン」が日本で初めてオープンさせた施設です。

東名高速道路のインターチェンジに近く、富士山、富士五湖、箱根といった有名な観光地への立ち寄り客が見込めるという恵まれた立地から、開業後の19年間で約1億7000万人以上が来場し、2011年度には国内アウトレット・モールの中で首位となる店舗売上高を記録するなど日本を代表するショッピング・センターとなり、現在国内9カ所に展開されている「プレミアム…」の中でもフラッグシップ(旗艦)店という位置づけとなっているようです。201912月にはホテルと日帰り温泉施設を開業させるとともに、開業20周年にあたる2020年4月にはさらに88店舗を増設し、既存エリアと合わせて全体で約61,000㎡と、国内最大級の店舗面積を誇っています。

空間デザイン的には、「森の中の街」をコンセプトに、北米の歴史ある街並みをイメージしているそうですが、国内の「プレミアム…」はいずれも中心に広場とタワーを設け、その周りに平屋または2階建ての店舗が並ぶように造られており、同社ではこれを「ビレッジスタイル」と呼んでいるようです。日本におけるアウトレット・モールの2大勢力と言えばもう一方は「三井アウトレットパーク」ですが、「三井…」の方は全体的に造りが安っぽく感じられるので、私は「プレミアム」の名にふさわしい(?)「三菱…」の施設のヴィジュアルの方が気に入っています。

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2020.07.30

102-9 富士芝桜まつり(山梨県・富士本栖湖リゾート)

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「芝桜」と言えば、以前こんな画像を掲載させていただきましたが、毎年4月中旬~5月下旬に開催されるこの「富士芝桜まつり」では、池を中心とした会場に首都圏最大という約80万株の芝桜が咲き乱れ、何といってもその名のとおり背景に富士山が見える雄大な風景が売りのようです。私が訪れた時は残念ながら雲に隠れて、本来あるはずの方角にその姿はありませんでしたが。

(ちなみに、今回から4回にわたって、富士山を近くに望める絶景スポットをご紹介する予定ですが、私の行いが悪いせいかいずれも富士山が映っていません…。当サイトで唯一富士山を拝める画像はこちらです…。)

ところで、このイヴェントが開催されている「富士本栖湖(もとすこ)リゾート」という名の施設ですが、会場内すべてが芝桜で埋め尽くされていて、他のアトラクションがあるようには見えませんでした。つまり、「富士本栖湖リゾート」=「富士芝桜まつり」の会場、という訳で、その1カ月強の開催期間以外は稼働していないという不思議な施設のようです。ざっと調べた限りでは、かつてここは「本栖ハイランド」という名称の有料オフロード競技場で、4輪、2輪オフロードの走行をメインにキャンプ場、イヴェント会場として幅広く利用されていた…ようです。

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2020.07.29

102-8 甲州夢小路(山梨県甲府市)

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前回(102-7)に引き続き、甲府駅北口の風景をご紹介いたします(画面左側に見えているのが前回触れた「甲府市歴史公園」です)。今回お話しするのは、画像右側の「甲州夢小路」についてです。JR中央本線で移動していた時に車窓から見かけた、線路際のテーマパークを思わせる風景に惹かれたのがここを訪れたきっかけでした。

2013年にオープンしたこの「甲州夢小路」は、約3,200㎡の敷地内15棟の建物に、美術館やミュージアム、県産食材を使った飲食店、県産品を販売する店舗等約20のテナントが入居する、小ぢんまりとした商業施設で、地元民間事業者により運営管理されています。空間的には画像からも窺えるように、移築した古民家や、蔵造りや前回の記事で取り上げた擬洋風建築「藤村式建築」等が建ち並び、明治~昭和初期にかけての甲府城下町の街並みが再現されています。中でも、近隣にかつて存在し明治初期まで200年以上にわたり住民に時刻を知らせていた「時の鐘」(画像中央)が施設のシンボル的存在として復元されています。また敷地内には水路や石畳が配され、レトロな雰囲気の路地を歩く楽しさが味わえるようになっています。甲府の市街地にはあまり観光を楽しめる場所がなさそうなので、このような洒落たスポットが誕生したことはよかったのではないかと思います。

余談ですが、画像奥にわずかに顔を出しているガスタンクの迷彩柄や色づかいが今風でかっこよく、周囲の景観にも配慮されているなと思います。これはどうやら県内在住の美術家の方が手掛けられたもののようです。

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2020.07.28

102-7 甲府駅北口の風景(山梨県)

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山梨県の中心、甲府駅の北口では、かつて機関区であった東西に細長い線路沿いの土地が再開発され、平成1922年にかけて地方合同庁舎、消防署、自転車駐車場、NHK放送局、駅前広場、図書館、歴史公園(甲府城の門と石垣を当時の工法で復元)…等、様々な公共公益施設がオープンしました。画像はそんな駅北口周辺の風景です。

まず、手前に広がるオープン・スペースですが、これは駅前広場と一体的に整備された約5,000㎡の「よっちゃばれ広場」です。「よっちゃばれ」とは「寄っておいで」「集まれ」などを意味する甲州弁で、多くのイヴェントが開催されています。

その広場の一角に配置されている洋館風の建物は「甲府市藤村記念館」です。全国に「藤村記念館」と名づけられた施設は少なくとも3つあるようで、その内岐阜県中津川市の馬籠宿と、長野県小諸市にあるものは詩人・小説家である島崎藤村(とうそん)に関連するものですが、こちらは明治時代の山梨県令・藤村(ふじむら)紫朗の功績を讃えたものです。彼は県内において擬洋風建築(西洋建築に似せて建てられた建築物)の建設を推進し、その数は100件以上にのぼったと言われています。これらは「藤村式建築」と呼ばれていますが、個人名が付いた建築様式というものは他に例を見ないのだそうです。その代表作とされ、国の重要文化財にも指定されているこの建物は、明治時代初期に「旧睦沢(むつざわ)学校校舎」として建てられたもので、1966年に武田信玄を祀る甲府市内の武田神社境内に移築され歴史や民俗の教育資料館として利用されてきた後、甲府駅前の再開発に合わせてここへ再移築され、平成22年より市民や観光客の交流施設として一般公開されています。

そしてその奥に建つのが、山梨日日新聞、山梨放送等、県内のマスメディア関連企業から構成される山日YBSグループ各社が入居し、拠点としている「山梨文化会館」です。世界的建築家の丹下健三氏が設計し1966年に竣工したこの建築は、自身が代表作の1つとして挙げているほどの作品として国内外に知られています。外観は建ち並ぶ直径5m・計16本の円柱が印象的ですが、その内部はエレベーターや、螺旋階段、トイレ、空調設備といった、建築用語でいうところの「コア」として機能しています。構造的にはこの円柱と梁で地上8階・地下2階のビルを支えている点が最大の特徴で、フロアを仕切る壁などを配置する必要がないため、4階に「空中庭園」を設けるなど空間デザインの自由度が高く、円柱や梁などを追加することで増改築も容易となっています。実際1974年には5~8階部分の増築を行い、延床面積を3,000㎡ほど拡張しています。

情報量が多い記事になってしまいましたが、このように甲府駅北口は、中世・近世の城郭、明治期の洋館、戦後のモダニズム建築、平成に建てられた公益施設群、さらに次回取り上げる予定の商業施設「甲州夢小路」も含め、各時代の個性的な建物をコレクションして整然と展示した「屋外建築博物館」のような様相を呈しており、興味深いです。

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2020.07.26

102-6 雲場池の紅葉(長野県軽井沢町)

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軽井沢の市街地(「住宅街」というよりは「別荘街」ですが)内に位置する「雲場池」は、大正時代この周囲一帯を別荘地として開発した貿易商が、近隣の湧水を源とする小川を堰き止めて造った人造湖です。

池畔に約1kmの遊歩道が廻らされるなど周囲は「園地として整備され」、一帯は風致地区(ふうちちく・都市計画法において、都市内外の自然美を維持保存するために創設された制度)に指定されています。春は水面に映る新緑が、秋は紅葉が美しい、軽井沢の「観光名所」の一つとなっているようです…。

…と、このような表現でご紹介してしまうとちょっと大げさというか、ニュアンスが違うなと感じてしまいます。池とその周りは公園のように人工的に造り込まれているわけでもなく、木々と池以外は目立たない、自然を感じる風景です。多くの観光客が押し寄せるわけでも、そうした人々目当ての土産物屋が建ち並ぶわけでもありません。別荘で過ごす人々が日々の散策がてら立ち寄れるような範囲に、気軽に自然を感じることができる場所があるというさりげなさが、軽井沢らしくて魅力的だなと思います。

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2020.07.25

102-5 海野宿の町並み(長野県東御市)

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「海野宿(うんのじゅく)」は1625年に、中山道と北陸道を結ぶ北国(ほっこく)街道の宿駅として開設され、明治に入り宿場機能が失われてからは養蚕の村として発展しました。延長約650mの通りの両側には約100棟の家が連なり、伝統的な家並みが現在まで保存されていることから昭和61年に「日本の道百選」に、62年には「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。建築的には「うだつ」や「海野格子」と呼ばれる長短2本ずつが交互に組み込まれた格子窓等が特徴的なようです。そして幅員約10mの通りのなぜか片側にだけ用水堰が流れ、並木等の植栽も整備されているのがいい感じです。

こんなに魅力的な町並みがあるのにそれほど有名でもなく、人気の観光地である軽井沢からも近いのにあまり賑わっていません。そのため歴史的な雰囲気を落ち着いて堪能することができます。かつてはJRの幹線だった「しなの鉄道」の駅から徒歩圏で、国道や高速道路からのアクセスもよいので、穴場と言えるのではないでしょうか。

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2020.07.24

102-4 「スズメヲウツノニタイホーヲモチダス」(長野県・美ヶ原高原美術館)

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タイトルのカタカナの羅列に戸惑われたかもしれませんが、彫刻作品の名前です。

まず、ここ「美ヶ原(うつくしがはら)高原美術館」ですが、長野県中央部の八ヶ岳中信高原国定公園内に、1981年、箱根彫刻の森美術館の姉妹館として開館しました。つまり、フジサンケイグループの美術館なので、フジテレビ等ではよくコマーシャル・フィルムが流れており、「アモーレの鐘」で有名です。標高約2,000mの山の斜面に広がる4万坪の草原の屋外展示場にはおよそ350の現代彫刻が常設展示されており、ユニークでスケールの大きい野外彫刻美術館となっています。

ここへ辿り着くまでには、急な坂道をどこまでも果てしなく延々と登らされる、という感覚を抱きます。そして、おそらく私が今までの人生で訪れた中で最も海抜が高い地点からの眺めは、ほとんど空を飛ぶ飛行機の窓から見た景色のようなもので、下界までの距離がほんとうに遠くに感じられます。

美術館の敷地内でも特に眺めのよい場所に展示されているのがこの作品で、澄み切った青い空をバックに鮮やかな朱色がよく映えています。崖の上に築かれた城や砦の跡に設置された大砲のようだな、と思っていたら、まさしくその印象通りのタイトルでした。これは、スイスを代表する彫刻家の一人であるベルンハルト・ルジンブールによる、1970年の大阪万博に出品されたものなのだそうです。

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