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2006年8月

2006.08.31

10-9 坂の名前のサイン(北海道函館市)

109整然と区画された函館の市街地には、函館山から港へ向かって下る坂がいくつも平行して走っています。それぞれの坂は一見同じようでも、場所が違えばそこから見える風景は少しずつ異なるわけで、ストーリーを感じるような個性的な名前がすべての坂につけられています。坂の街として有名な函館にとって、その風景は、そしてその名前も大事な文化資源です。そうした文化を伝えるべく(?)すべての坂に画像のようなサインが設置されています。
名前を表す黒い漢字の書体は力強く、ローマ字の書体はスマートです。坂の現在地を示す概念図は簡潔にわかりやすくまとめられています。右下に見える3色の函館市のシンボル・マーク(?)がシンプルながらおしゃれです。そしててっぺんに小鳥が留まっているのも、遊び心があって微笑ましく感じられます。

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2006.08.29

10-8 建築ガイドのサイン(ドイツ・ベルリン)

108ベルリンの壁が崩れ、統一ドイツの首都となったベルリンは、2000年前後、建設ラッシュのさなかにありました(その後少しは落ち着いてきたのでしょうか?)。民間による再開発や、連邦政府関連の施設だけでなく、首都の移転に伴い多くの国が大使館を新設しました。
そんなベルリンの大使館街で見かけたサインです。ここには、街区一帯の建築についての情報(名称、所在地、設計者、建築時期)がドイツ語と英語で記されています。現代建築に興味がある人にとってベルリンという都市は格好の研究材料なので、こうしたサインが街じゅうに立っているととてもありがたいはずで、これらが機能することによって、街全体がまるで巨大な建築博覧会場のように見えてきます。何かの本で読んだのですが、ドイツ人はもともと建築という行為に対して非常に興味を示す民族らしく、このようなサインが存在する背景にはそうした事情が反映しているのかもしれません。

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2006.08.27

10-7 路面のサイン(東京都世田谷区)

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レンガ舗装の歩道の路面に、謎かけのように電車と馬の絵、そして矢印がさりげなく紛れています。
種明かしをすると、ここは日本における馬術競技の拠点として東京オリンピックの会場にも使われた「馬事公苑」と、最寄りの東急電鉄用賀駅を結ぶルート上にあります。つまり進めば馬事公苑、戻れば駅に辿り着く、ということを表しています。
予備知識のない人からすれば何の事やらさっぱりわからないかもしれませんが(他にも案内板はあります)、わかる人にとっては最低限の表示で十分な情報を提供しています。何より遊び心にあふれたおしゃれなサインと言えるのではないでしょうか。

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2006.08.25

10-6 横になったサイン(フランス・パリ)

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ルーヴル美術館前の庭園で見つけたサインです。大抵こうした案内板は立てられているものですが、ここではテーブルのように横にした上に、厚みを持たせて、大胆に穴を開けてつくられています。
手前の方で波の模様が大胆に畝っている箇所はセーヌ川を表しています。せっかく3Dでつくっておきながら、ここだけ大雑把なのがなんだか微笑ましく、フランスのエスプリ(?)が感じられます。

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2006.08.23

10-5 大きなロゴのサイン(東京外国語大学府中キャンパス)

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2000年に東京都北区から移転してきた新しいキャンパスには、大学の英語名称の頭文字である"TUFS"の4つのアルファベットを象った巨大なサインが、南北両側のエントランスに1つづつ置かれています。学生や関係者を迎える、ある種のシンボル、あるいはアートのような存在にも感じられます。ヴィヴィッドなカラーリングによる色分けが、個人的には気に入っています。

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2006.08.21

10-4 駅のサイン(ドイツ鉄道)

104乗り換えで立ち寄ったアンスバッハ駅で見かけた、人のシルエットのサインです。
まずは"Willkommen(ようこそ!)"と、かぶっていた帽子を振って、到着した乗客を歓迎してくれています。ネイヴィー・ブルーの地に白くシャープなフォントの文字がスマートです。そしてポスターの中では制服姿のドイツ鉄道(JRのドイツ版のようなもの)の女性スタッフが"Fragen Sie!(何でも訊いて下さい!)"と微笑んでいます(別の駅では親子連れの重なったシルエットに駅構内の案内図が表示されている、というヴァージョンも見かけました)。要は企業としてのイメージ広告のようなものなのですが、土地に不慣れな旅人に向けたホスピタリティとユーモアが感じられ、とてもいいなと思いました。

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2006.08.19

10-3 プラットフォームのサイン(神奈川・小田急電鉄小田原駅)

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時間帯によって異なる、複雑なプラットフォームの運用についての情報が、順を追って、非常に見やすく、わかりやすく整理されています。そして何より、時間帯を示す太陽と月のアイコンやエクスクラメーション・マーク(!)がかわいらしく、ユーモラスです。文字とアイコンで右脳と左脳へ同時に訴えかける優れたサイン、と言ってしまったら大げさでしょうか?

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2006.08.17

10-2 観光案内のサイン(スペイン・コルドバ)

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スペインの都市では、街角でよくこうしたサインを見かけます。中央のポールには様々なホテルのランク付けとその方向が、統一されたフォーマットの表示板に整理され、その晩の宿を探す時にはこのサインを頼りにすれば無駄に歩き回る必要がありません。左側のポールには同様に、似たフォーマットの色違いでデパートや観光案内所、観光名所の情報が表示されています。
サインのデザインとしてはシンプルで、別にユニークなものではありませんが、今回のテーマとは別に、この画像、とても気に入っています。人気(ひとけ)もなく、たくさんのサインとアイスクリームの屋台が建っているだけなのに、雲一つない真っ青な空に、濃い木陰をつくり出す強い陽射しのおかげで侘びしさはなく、ただ南国の静かな時の流れだけが感じられるからです。
コルドバを取り上げるのは早くもこれで3回目です。私はよっぽどこの街が気に入っているのでしょうか。

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2006.08.15

10-1 ショッピング・モールのサイン(東京・サンストリート亀戸)

101「サンストリート亀戸」は1997年に開業したショッピング・モールで、ローコストながら派手な色使いと奇抜なデザイン、そして低層で通路が曲がりくねったヒューマン・スケールな空間づくりなどで成功を収め、その後ここをお手本とした施設が全国各地に続々と誕生しました(だからと言ってそんな手法を軽井沢のような伝統ある避暑地に持ち込まなくても、と思うのですが・・・)。
このサインのカラフルでポップな色づかいも、ショッピング・モールとしてのイメージ戦略の一部なのでしょう。サインが楽しげだとそこに描かれている空間まで楽しげに見えます。見ているだけでわくわくしてきて、早く中に入りたくなりませんか?

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2006.08.14

10「サインの立つ風景」

ここでいう「サイン」とは、都市空間・公共空間において見られる様々な案内板・表示板の類の総称です。サインは景観を構成する要素の一部でしかないのですが、私はなぜかこれに強く興味を引かれます。
なぜなら、サインというものは大抵単独ではなく、複数配置されることで全体のシステムとして機能するものです。そして洗練された形状や色づかい、フォントによって統一されたデザインで、情報がわかりやすく工夫されたサインを見かけると、無秩序に広がる都市空間に、なんとか秩序をもたらそうとしているように感じられるからです。
街で見かけた、そんなおしゃれなサインをご紹介していきたいと思います。

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2006.08.12

9-6 ラ・デファンス(フランス)

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1989年のサミットが開かれた、パリ郊外の新都心ラ・デファンスのオフィス街の風景です。新凱旋門(グランド・アルシュ)から撮った画像で、遠くの正面にはうっすらと凱旋門が見えています(詳しくは2006年4月・2-1「シャンゼリゼ」参照)。
この地区の、万博のパビリオンのごとく奇抜なデザインを互いに競い合うビル群と、広々とした歩行者空間に、私は子どもの頃思い描いていた未来都市の景観を見ました。新都心というのは賑わいや人間味に欠けるものと大抵相場が決まっていますが、私が訪れた時はちょうどランチタイムだったので、行き交うオフィス・ワーカーの姿を多く眼にすることができました。「科学技術の未来は明るい」なんて感じてしまいました。

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2006.08.10

9-5 ディアゴナル大通り(スペイン・バルセロナ)

95偏見かもしれませんが、イタリア人やスペイン人が朝、スーツを着て地下鉄に乗り込みオフィスに通う姿というのが、私にはちょっとイメージできません。だから実際にそんな光景を眼にするとちょっと違和感を覚えてしまいます。もちろん、ちゃんとそういう人たちがいないと先進国の社会は成り立たないわけなのですが。ただ、同じスペインでもバルセロナの属するカタルーニャ地方の人々は勤勉なことで知られているそうで、バルセロナは人口規模では2番目ながら、商工業に関しては国内随一の都市なのだそうです。
そんなバルセロナのオフィス街に位置する高層ビルの風景です。「ディアゴナル」とは「対角線」の意味で、格子状に整然と区画されたバルセロナの新市街をその名のとおり斜めに貫く大通りです。歩行者空間も充実した幅の広い道路を大量の車が行き交い、個性的なフォルムの高層ビルが林立する一帯の景観はとても現代的で、ヨーロッパの歴史ある都市のものとは思えません。黒のカーテン・ウォールの建物に、黒っぽい歩道の舗装。無彩色のシックさというのは、オフィス街にとてもマッチしているんだな、と感じさせられます。

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2006.08.08

9-4 コッパー・スクエア(米国・フェニックス)

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アリゾナ州・ソノラン砂漠の中に位置するフェニックスは、晴天の日が多く冬でも温暖という魅力的な気候のため、現在人口が急増中の大都市です(そろそろフィラデルフィアを抜いて全米第5位に躍り出ている頃でしょうか)。
米国の他の大都市と同様、「コッパー・スクエア」と呼ばれるフェニックスのダウンタウンも、街全体が完全にビジネス仕様に特化してしまっていて、週末になるとまったく人の姿が絶え、ギラギラと照りつける太陽の下、広々とした道路と高層ビルの姿だけが目立つ寂寞とした空間になってしまいます。
この画像も、右端に「ハードロック・カフェ」のギターの看板と巨大なバスケットボール(NBA「フェニックス・サンズ」のホーム「アメリカ・ウェスト・アリーナ」がこの近く)を描いた壁画がなかったら、どんなにつまらないショットになったことでしょう。ここは街の絵葉書にも使われているので、取り立てて見どころのないフェニックスという退屈な街にとって、いちばんのフォトジェニック・ポイントになっているのかもしれません。

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2006.08.06

9-3 バンカー・ヒル(米国・ロサンゼルス)

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ロサンゼルス都市圏は、全体的に言えば平地に広がっている街で、あまり坂の印象はないのですが、ダウンタウンの高層ビル群は、なぜかバンカー・ヒルと呼ばれる小高い丘の上に集まっています。もしかしたら、高いビルをより高く見せるという効果を狙っているのでしょうか(画面ではわかりにくいかもしれませんが、通りから奥が丘になっています)。
LAのダウンタウンは、行政の施設とオフィスビルばかりが目立ち、あまり観光客が歩いて楽しい地区という印象はなかったのですが、間近で見た高層ビル群の夜景はとても迫力がありました。また、ダウンタウンを取り巻くように走るフリーウェイ上から見たこの一角は、東京都庁舎クラスの高さのビルがいくつも聳えていて、実に壮観です。

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2006.08.04

9-2 大崎ニューシティ(東京都品川区)

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東京都では都心(東京駅周辺)の他に7つの副都心を位置づけていて、そのうちの一つがこの大崎地区です(その他は新宿、渋谷、池袋、上野・浅草、臨海、錦糸町・亀戸)。地域バランスを考えた配置になっているので、現状から見るといささか疑問符が付く地区もあります。大崎が含まれているのは、もしかしたら大規模な工場用地がいっぱいあるので、今後再開発の余地が大きいと考えられているからかもしれません。自然発生的な副都心ではなく、大規模再開発の集積による外科手術的な副都心の形成を狙っているのでしょう。そんな動向を見据えてか、大崎駅にはここ数年新たな路線が次々と乗り入れるようになって、どこへ行くにも非常に便利な街になりました。
この大崎ニューシティは80年代の再開発によるオフィス街です。港区の「アークヒルズ」などもそうですが、バブル期前の再開発は、よく言えばストイック、悪く言えば遊び心には欠けているように思います。隣接して90年代後半の再開発「ゲートシティ大崎」が立地していますが、こちらはオフィス棟の低層部に南欧風デザインの派手な商業施設が展開されていて、時代の流れを感じます。「ニューシティ」の頃の再開発はオフィス機能をサポートする最低限の環境があればよくて、雑誌で話題になるような商業施設を造って賑わいを生み出そうという発想はなかったのでしょう。画像は土曜の午後のものですが、この豆腐のような四角い白亜のビル群に囲まれた人工地盤上の緑の広場には、昼休みに制服姿のOLたちが弁当を広げながら談笑しているシーンがいちばん似合っているように思います。

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2006.08.02

9-1 幕張新都心(千葉市)

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東京湾を埋め立てて開発された土地に広がり、東京と成田国際空港のほぼ中間という恵まれた立地にあります。全国的には「幕張メッセ」や「千葉マリンスタジアム」があることで有名です。整然と建ち並ぶ高層のオフィスビル群は近くを通る高速道路からもよく見えます。初めて日本に来る外国の人は、成田からリムジンバスに乗ってここのビル群が見えると、これがトーキョーかと勘違いするんじゃないでしょうか。
ここは計画的に造られた都市なので、あらかじめ定められた景観のガイドラインに沿って空間が形成されています。そんなわけで、ビルの高さ、壁面の位置、全体的なヴォリューム感、角張った感じ、壁面のミラーガラスの具合、どれも見事に揃っています。そして「普通の街」に見られるような、電線・電柱や看板の類など、景観的に無駄な要素が見あたりません(しかも、休日の画像なので行き交う人や車もまばらです)。ツルツルピカピカのオフィスビルと樹木の緑だけが、まるでCGでつくられた風景のように行儀良く佇んでいます。
そんなわけで、ここは典型的な(そしてちょっとかっこいい)オフィス街の映像がほしいテレビドラマの撮影などによく使われています。「国際大通り」「美浜区」などといういかにもな地名も、なんだか小説やドラマに出てくる架空のネーミングにすら思えてきます。

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2006.08.01

9「オフィス街の風景」

有名な会社に勤めていること、花形職業であることなどは、仕事について語る上で大きなステータスになるかと思いますが、おしゃれな街で働いている、立派なビルで働いている、といった環境的な要素も、意外と仕事に対するイメージを大きく左右しているような気がします。やっぱりどうせ働くなら、ワークスタイルも洗練されている方がいいですからね。
そんなオフィス街の空間デザインには、なぜかクールさ(冷たいくらいの、かっこよさ)が求められることが多いような気がします。そうでないと仕事に身が入らないのでしょうか。やはりビジネスというのは基本的に冷徹なものなのでしょうか。もう少し空間に暖かみがほしい、と思っているようでは社会人失格なのでしょうか・・・。
ところでこのサイトは、人気のある観光地や観光名所にとらわれず、景観として興味深ければ取り上げていこうという方針です。オフィス街は観光客などにとって訪れる価値のある場所ではないかもしれませんが、都市の存在そのものに関わる大事な機能の一つです。そんなわけで、あえて夏休みのこの時期に、このテーマを選んでみました。
なお、基本的に私が自由に歩き回れるのは休日なので、オフィス街の画像でありながらあまりビジネスパーソンの姿が映っていないかもしれませんが、その点はご容赦ください・・・。

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