22-6 リヴォリ街(フランス・パリ)
幅の広い、真っ直ぐな大通りが何本も広場に向かって集まり、その中央部にモニュメンタルな建造物が置かれるといったような、現在のパリの都市構造のベースとなっているのは、19世紀のセーヌ県知事オスマンの大改造によるものです。こうした都市づくりは、景観を美しくする、という面もあったのかもしれませんが、政治的・軍事的な目的が大きかったようです。例えば、反政府勢力の拠点になりがちなスラムを壊して再開発したり、見通しが利き、軍や警察が速やかに出動できるよう街路を真っ直ぐにしたり、バリケードが設けにくいように通りの幅を広くしたり・・・、といった風に。
パリの中心を貫くこのリヴォリ街の景観は、建物全体の高さ、各階の軒の高さ、建物の幅、外壁の色、窓のバルコニーの位置とデザイン、延々と続くアーケードなど、まるでクローンのように揃っています。同じ建物が並ぶ均質な景観がどこまでも続くというのは、日本の大都市圏郊外で高度経済成長期に建てられた団地のようで、ちょっと薄気味悪く、病的な感じさえ受けます。ここが大改造を機に造られた通りなのかどうか、今回調べた限りではわかりませんでしたが、先に述べたような背景を聞かされると、この整然とした街並みからは美しさよりもむしろ空恐ろしさのようなものさえ感じてしまいます。
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