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2007年6月

2007.06.30

30-8 ルールク運河(フランス・パリ)

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今回は「運河の風景」として取り上げていますが、ここが「ラ・ヴィレット公園」の中である、という事実の方が、まず重要かと思われますので、その説明から。

新しいフランス大統領サルコジ氏の先先代、故ミッテラン元大統領は、1989年のフランス革命200周年に向け、新凱旋門やルーブル美術館の改造をはじめとする9大プロジェクト(「グラン・プロジェ」)をパリにおいて展開しました。このラ・ヴィレット地区では、かつての食糧貯蔵所、家畜市場、屠殺場が、科学産業都市(博物館)、多目的ホール、国立音楽院、楽器博物館等、およびパリ最大の公園に生まれ変わりました。画像にも映っていますが、公園内は120mごとに「フォリー」と呼ばれる真っ赤な建物(レストラン、バー、キオスク、子ども用遊び場、スタジオ、温浴場など、それぞれ用途は異なる)が一直線上に配置されているなど、極めて前衛的なデザインとなっています。

で、運河の話ですが、私は公園内を真っ直ぐに横切るこの運河も、単に公園の幾何学的デザインを構成する要素として存在しているのかな、と思って歩いていました。するとそこを船が、それも観光客用の遊覧船などではなく、小汚く生活感あふれる普通の貨物船が通り過ぎるのに出くわしたのです。この運河が見てくれのためだけではなく、ちゃんと市民の生活の役に立っているのだな、と思い、ちょっと感心してしまったのを覚えています。

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2007.06.28

30-7 京浜運河(東京都品川区)

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対岸は、倉庫等が建ち並ぶ埋立地。手前側は同じような土地が再開発されてできた「天王洲アイル」というウォーターフロントのオフィス街で、前回までとはうって変わって、現代的で都会的な運河の風景です。何に使うのか私にはよくわからないような巨大な構造物が多く、橋梁やらクレーンやら、妙に鉄骨造の物体が目立つ風景です。

人のぬくもりを感じるような水辺ではありませんが、その分夜景はかっこいいだろうな、という感じがします。それから、ボードウォークの手すりのデザインが繊細でスマートな印象を与えますね。

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2007.06.26

30-6 八幡堀(滋賀県近江八幡市)

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八幡堀についての概要は、以前にも取り上げていますので、バックナンバーをご覧ください。

小雨が降っていた日ということもあって、水墨画の世界にも通じるような、全体的に渋い色合いの風景が展開されていて、とてもオリエンタルな印象があります。私は行ったことはありませんが、中国の蘇州というのはこんな雰囲気なんでしょうか? 木や草の緑から、石垣、堀端の蔵造りの壁や屋根の色に至るまですべてが天然素材で、人工的で鮮やかな色の景観要素は一切見あたりません。

それから、石垣や石畳の不揃いさ、水路の線形の微妙な曲がり具合などは、とても手造り感があります。水際の小径も、現代の基準ではこんなに狭く、また手すりも設けずに造ることはできないと思うのですが、昔はユニヴァーサル・デザインなんて発想はなかっただろうし、日本人の体型も小さかっただろうから、このくらいの幅で十分だったのかな、などと考えはじめると、歴史的な意味でのリアリティも感じられてきます。

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2007.06.24

30-5 半田運河(愛知県)

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この運河沿いの風景は、以前にも取り上げました。歴史を感じさせるミツカンの黒塗りの工場群の姿がとても魅力的で、特に有名な観光名所というわけではありませんが、水際の通りは楽しい散策路です。

背後に建つモダンな高層ビルは、ミツカン本社のオフィスです(※画像はクリックすると拡大します)。その土地の昔ながらの風景との調和に配慮して、このようなビルにしては珍しく、外壁がシックなグレーに塗られているのが、とてもクールに(かっこよく)感じられます。

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2007.06.22

30-4 小樽運河(北海道)

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続いては、日本代表の運河です。が・・・

写真のいいところは、トリミングができること、そして視覚情報以外は伝えないことです。小樽運河に行ったことのない方は、この画像を見て、どんな所という印象を持たれるでしょうか・・・?

私の、実際に見る前の小樽運河の(勝手な)イメージは、歴史を感じる古い倉庫群と穏やかな水面に心が落ち着くような、風情を感じる場所・・・というものでした。しかし、そんな幻想は現地でいとも簡単に裏切られました。

その原因は、見事に画像では隠れています。遊歩道の左側に、モミの木のような(?)針葉樹が列植された小高い土手がありますが、このすぐ裏はなんと、両側合わせて8車線ほどもありそうな、トラックなど業務系の大型車が行き交う産業道路になっていて、その騒音がすさまじいのです! とても旅情に浸れるどころではありませんでした。せっかくの情緒ある景観も、台無しです。

・・・ただ、この小樽運河が脚光を浴びるようになったきっかけは、この産業道路でもあるのです。かつてここは、現在道路がある部分までもが運河だったのですが、当初の道路計画は運河の全幅員を埋め立てるものだったのだそうです。それに対して埋め立ての反対運動が起こり、小樽運河の価値が見直されるようになったのです。もし道路の計画がなかったら、ここにはただやたらに幅が広く、人が見向きもしない水面があるだけで、遊歩道が整備されることもなければ、対岸の倉庫群が商業施設に生まれ変わり、観光客で賑わうということもなかったかもしれません。皮肉なものですね。

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2007.06.21

30-3 飾り窓地帯の運河(オランダ・アムステルダム)

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とうとうオランダまでやってきてしまいました・・・。「運河」と言えば、ヴェネツィアだけじゃなく、アムステルダムも忘れるわけにはいかないですよね。

このショットは、特別私が気に入っているというわけではないのですが、周囲では結構「きれいだね」という評価が多かったので、取り上げてみました。運河に沿った並木が水面に映っている様が、いかがわしいロケーションに似つかわしくないほど清々しい印象を与えているからでしょうか。

ちなみに、この画像を撮っていた時、遠くから露出度の高いグラマラスなオネエサマに何やら声をかけられてしまいました。後で知ったのですが、どうやらこの地区は写真撮影禁止らしく、もしかしたらそのことを注意されたのかもしれません。そういう意味ではなかなか撮ることのできない貴重なショットだったのかもしれませんね。

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2007.06.20

30-2 ムラノ島の運河(イタリア・ヴェネツィア)

302cnlmln前回(30-1)に引き続き、ヴェネツィアからお届けします。と言っても、今回は本島ではなく、少し離れた私のお気に入りの島、ムラノ島からです。

ムラノ島は本島よりも建物の高さが低かったり、運河の幅が狭かったりして、都市空間のスケール感が全体的にやや小ぢんまりとしています。画像の運河も水面が近くに感じられ、親しみやすい感じです。右側に見えるレンガ造りの塔も、かわいらしいですね。

なお、東京でこんな風景が見たくなったら、是非自由が丘まで足を運んでみてください。こんな感じの場所が、・・・なきにしもあらず、です(笑)。いずれ取り上げられれば・・・。

※関連バックナンバー
 11-2「ムラノ島の街並み」28-8「ムラノ島のウォーターフロント」

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2007.06.19

30-1 カナル・グランデ(イタリア・ヴェネツィア)

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「運河」と聞いて、まず思い浮かべる都市は、このヴェネツィアでしょう。大小合わせて177もの運河が張り巡らされているというこの街の中でも、頂点に君臨する運河が、このカナル・グランデ(大運河)です。

この場所は、本土からの鉄道が到着するイタリア国鉄のターミナル、サンタルチア駅(画像右手の四角い建物)の前で、ヴェネツィアという島にとって唯一の玄関口です(バスでやってきても、この近くに到着します)。普通、駅を降りて目にするものはバスターミナルだったり幹線道路だったりするわけですが、この島には陸上の乗り物は走っていません。というわけで、この街を訪れて最初に出逢うのは、水上バスやゴンドラ、モーターボートなど、様々な水上交通が行き交うこの大運河の風景となります。

私はこの街を去る時、列車が出るまでに少し時間が余ったので、駅前広場の階段に腰掛けて、しばらくここの揺らめく水面と、行き交う船の姿を眺めながら、ヴェネツィアとの別れを惜しんでいました。他の都市の駅前で、幹線道路を行き交う車を見ていても、騒音や排気ガスが気分を害して、旅情に浸れるどころではなかったことでしょう。世界に二つとないこの街ならではの魅力は、そんな所にも表れているように思います。

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2007.06.18

#30「運河の風景」

「運河」という言葉の響きに、私はなぜかロマンを感じてしまいます。自然の河川とは異なり、運河はある時、誰かが、何らかの目的をもって造り上げたという歴史的事実があり、そして明らかにそこを行き来する船があって、人や物が運ばれることにより、経済が発展したり、文化交流が生まれたり・・・、といった人文・社会科学的なエピソードの豊富な点が、様々な想像を膨らませてくれるのかもしれません。それに、川と違って運河は、そうそう全国どこにでもあるというものじゃないですから希少価値が高いですよね。少なくとも私の育った地域にはなかったので・・・。

そんなイマジネーションを掻き立ててくれる、運河の風景をお送りいたします。

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2007.06.16

29-8 超高級住宅街の街路沿いの前庭(千葉市)

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いわゆる「チバリーヒルズ」の風景です。各住宅と街路の間には芝生がきれいに整備された前庭が続いています。前庭がいくら広く取ってあっても、おそらくここでバーベキューをしよう、などという人はいないでしょう。この芝生はあくまで見せるためだけに存在しているようなものですが、ビヴァリーヒルズに代表されるような米国の高級住宅街のイメージを移植するためにはどうしても不可欠な空間だったのでしょう。この実用性の乏しい前庭も(そして歩道や街路樹のように見える空間までも!)各敷地の面積の一部としてカウントされているはずで、その分も不動産価格に反映されていると考えると恐ろしくなります。

この芝生をはじめとする美しい植栽を維持していくには相当なエナジーがいるはずです。その証拠に、ここを歩いていると目につくのは造園業者等の車ばかりで、住んでいる人々の姿や生活ぶりなどは微塵も感じられませんでしたから・・・。

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2007.06.14

29-7 ベルポール広場(広島県尾道市)

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これまで「尾道市」の風景を3回取り上げましたが、いずれも最近になって尾道市に編入された旧瀬戸田町のものでした。今回こそは旧来の尾道市内である、JR尾道駅前の風景です。

とはいえ、2000年に再開発が完成した駅前の風景は、「尾道三部作」に出てくるような古い街並み、細い路地、急な坂道のイメージは全くなく、広々とした近代的な空間です。中心市街地の西端にある駅の改札口を出ると、駅前広場の向こうにはもう海(体力のない私でさえ対岸まで泳ぎ切ってしまえそうな、幅の狭い尾道水道)が見えており、そこは周辺の島々へのフェリーが出る港になっていて、一帯は鉄道交通・自動車交通・水上交通の一大結節点を形成しています。右手には観光案内所などの入った巨大な公共施設があるだけで、映画に出てくる観光名所へも、商店街のある中心市街地へも、すべて左手に進めばよいので、とても空間構成のわかりやすい街となっています。尾道はある意味、とてもよい場所に駅を造ったものだと思います。

また、港に面した芝生の公園が駅前という街の玄関にあるというのは、都市のイメージを形成する上でも非常に恵まれているように思います。この港湾緑地には「ベルポール」(美しい港)とフランス語の名前が付けられています。その名にふさわしく、広場にはバタ臭いデザインの街路灯や椅子とテーブルが配置されていて、さながらセレブリティの邸宅の庭のような雰囲気です。

私がこの広場について最も印象に残っている事項は、2年前の衆議院選挙の時に広島6区から立候補したホリエモン氏が、最初の街頭演説をこの場所で行ったことで、その映像は当時、全国に大きく報道されていました。思えば彼にとってのピークはあの頃だったのかもしれませんね・・・。

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2007.06.12

29-6 アクアティック・パーク(米国・サンフランシスコ)

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サンフランシスコの海岸に沿った公園です。正面奥の大きな建物は、チョコレートで有名な「ギラデリー」の工場の歴史的な建築群を、楽しいショッピング・モールとして活用した「ギラデリー・スクエア」で、フィッシャーマンズ・ワーフにおける人気の観光スポットとなっています。「工場」という言葉からは思いつかないような、温かみのあるレンガ造りの城館のような外観が魅力的です。

画像のとおり、波打ち際からギラデリー・スクエアに向けてはなだらかな上り斜面になっていて、そこには浅く刈り込まれた芝生が敷き詰められています。その緑の色の濃さは、この地域のやや涼しく爽やかな気候風土を感じさせます。画像の中で緑の芝生は、まるで赤レンガの建物へと続く素敵なイントロ(導入部)のような、前庭の役割を果たしていて、両者の色合いのコントラストも見事です。手前をよちよちと歩く鳥の姿が微笑ましいですね。また、生では見られなかったのですが、屋根の上の”Ghirardelli”のサインが点灯して夜空に浮かぶ様もなかなか格好いい、はずです。

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2007.06.10

29-5 舞子公園(神戸市)

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神戸市域のほぼ西端に位置する、由緒正しい景勝地です。松林が見事で、小高い丘の上に建つ白くすっきりとしたデザインのリゾートホテルも景観によく調和しているように思います。南側は明石海峡に面し、見上げると壮大な明石海峡大橋が対岸へと伸びています。

この地域の持つまばゆいほどの明るい雰囲気を象徴するかのように、この公園に整備された芝生の広場は、周囲の景色も含めたスケール感がちょうどよく、空が広く感じられる、とても心地の良い空間です。

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2007.06.08

29-4 センピオーネ公園(イタリア・ミラノ)

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画像正面奥に見えているスフォルツェスコ城の裏手にあたる公園です。この城、どこか武骨というか、エキゾティックというか、ヨーロッパの城らしい優雅さに欠けるな、という印象があったのですが、ここはどちらかというと宮殿としてよりも軍事的な要素が強い、まさに「城」だったようです。(という説明だけで納得してしまう自分の浅はかさが情けない・・・。だいたい、「ヨーロッパらしい城、ってどんな城?」と聞かれても、「・・・シンデレラ城」としか答えられないですし・・・。)

城の話はともかく、今回のシリーズのテーマは「芝生」でしたね。ここの芝生は、草サッカー場と化していました。こういう広い芝生があるとサッカーを始めたくなってしまうのは、イタリア民族に生まれつき備わったDNAなのでしょうか?

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2007.06.06

29-3  チルコ・マッシモ(イタリア・ローマ)

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ローマの中心部から見ると、ちょうど有名な観光名所「真実の口」の先にあたる場所にあります。土手に囲まれた楕円形の芝生の広場が馬場のようだな、と思ったのですが、実際競馬場や競技場として使われていたそうです。

背後の、木々に囲まれている朽ちた建造物はフォロ・ロマーノのようです。数百年前の歴史的景観が残された街はヨーロッパの他の場所や日本でも見られますが、ローマでは数千年前ですから、スケールが違います。日常の風景の中に、古代の遺跡が共存している生活っていうのは、どんな気分なんでしょうか?

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2007.06.04

29-2  市庁舎前公園(オーストリア・ウィーン)

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満を持して、オーストリア・ウィーンの登場です。別に今まで避けていたつもりも、焦らしていたつもりもないのですが・・・。

「リンク」と呼ばれる環状道路で囲まれたウィーン中心部の西側にあたるエリアには、王宮、国会議事堂、大学、博物館、といった主要な施設が集まり、広場、公園、庭園等のオープン・スペースも豊富です。東京で言えば(前回もこの例えを使いましたね・・・)日比谷から霞が関あたりのような、お堅く、ちょっと取り澄ましたような雰囲気を感じます。

ウィーンの市庁舎もこのエリアに位置しており、画像の公園はその名の通り市庁舎の前庭のような形で左右対称に2つに分かれて存在しています(そんなところも東京の国会議事堂周辺に似ていますね)。

ここの芝生はウィーン大学の校舎に面しているからか、若者たちの姿が目立ちました。一帯は立派な白亜の建物群に囲まれ、空の青さ、芝生の緑と相まって、さわやかな印象を与える風景が展開されています。

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2007.06.02

29-1  シャン・ド・マルス公園(フランス・パリ)

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この公園の名前はご存じなくとも、背後に見える鉄骨のアーチが有名なエッフェル塔の足下であることは一目でおわかりいただけると思います。パリはこのように街の中心部にも、人々が自分の家の庭のようにくつろげる空間があるというわけです。東京で言えば、皇居前広場や日比谷公園へ行けば、同じような気分が味わえるのでしょうか?

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2007.06.01

#29「芝生の風景」

芝生は街に敷かれた緑のカーペットです。石やコンクリートの熱さや冷たさを感じることなく、また砂や土で服を汚すこともなく、その上に座り込んだり寝転がったりすることで、都市空間の中において大地とふれあうというプリミティヴな喜びを体験できます。

美しく手入れされた一面の緑は目にもやさしく、芝の上で人々がくつろぐ姿は、それを見る方の心までリラックスさせてくれるような気がします。

今月は、そんな心地よい芝生の空間のある都市の風景を、駆け足でお届けしていこうと思います。梅雨入りで芝が雨に濡れ切ってしまう前に・・・。

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