34-7 金沢市民芸術村(石川県)
大正末期から昭和初期に建造された6棟の紡績工場群を、改修整備によって再生させた市の文化施設です。建物じたいにあまり文化財的な価値はないようなのですが、その分煉瓦タイルを貼ったり、構造を鉄骨によって補強したり、といった大胆な改修工事が行われており、建物の様式や歴史的価値よりも古い建物の持つ味わい・イメージの継承を重視しようという意図が窺えます。古い瓦と煉瓦の建物と、真っ赤な鉄骨や、シャープさを感じさせる回廊の構造体、幾何学的なランドスケープのバランスは、絶妙でかっこいいな、と思います。
この施設は、「アート工房」「ミュージック工房」「ドラマ工房」「エコライフ工房」などから構成されています。完成した作品を発表するギャラリーやホールはどこにでもありますが、それを創り出すためのスタジオや稽古場のような、言わば「文化・芸術のインキュベーション施設」は意外と少ないのでは、という気がしています。そういう意味でもこうした施設の存在は貴重なのではないでしょうか。付け加えると、ここは365日24時間営業で、使用料が非常に安く、企画運営は民間から採用したヴォランティアが行い、利用者自身による自主管理方式がとられているそうで、公的な施設としては非常に融通がきくんだな、と感じます。市民の文化度の高さがこんなところに表れているのでしょうか?
金沢はこれまでにも何度か取り上げてきましたが、今回は、有名な観光スポットが集中する中心部からは少し外れた場所のご紹介でした。観光ガイドブックにも載っているかどうか・・・。とはいえ、JR金沢駅から、歩いても15~20分程の距離なので、お時間があれば訪れてみてもよいかもしれませんね。
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