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2007年8月

2007.08.28

34-8 国立新美術館(東京都港区)

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今年4月に行われた東京都知事選への出馬以来、一般的な知名度をどんどん上げ、それと反比例するかのように、一流建築家としての評判をぐんぐん下げてしまっているような感のある(?)、黒川紀章氏の最新作です。私は当初、出馬はてっきり、オープンしたばかりのこの美術館のプロモーション目的かと思っていました・・・。

ここにはかつて、戦後は東大生産技術研究所等として使われた「旧歩兵第三連隊兵舎」が敷地いっぱいに建っていました。美術館の建設にあたって、その建物が保存されることになり、一部が切り取られて別館として使われています。白い壁が眩しい左側の建物がそうなのですが、壁面や窓の形が極めてシンプルであるにもかかわらず、角やエントランス部分に使われている曲線の形状が優美で、機能的で無駄がなく、力強い美しさが感じられます。別館裏側の外壁は、右側の本館に合わせて緑がかったガラス張りとなっています。別館の建物の、この自由で大胆な切り取り方に私は、「やっぱりこの人って、もしかしたら天才なのかも」なんて単純に感じてしまったのですが・・・。

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2007.08.26

34-7 金沢市民芸術村(石川県)

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大正末期から昭和初期に建造された6棟の紡績工場群を、改修整備によって再生させた市の文化施設です。建物じたいにあまり文化財的な価値はないようなのですが、その分煉瓦タイルを貼ったり、構造を鉄骨によって補強したり、といった大胆な改修工事が行われており、建物の様式や歴史的価値よりも古い建物の持つ味わい・イメージの継承を重視しようという意図が窺えます。古い瓦と煉瓦の建物と、真っ赤な鉄骨や、シャープさを感じさせる回廊の構造体、幾何学的なランドスケープのバランスは、絶妙でかっこいいな、と思います。

この施設は、「アート工房」「ミュージック工房」「ドラマ工房」「エコライフ工房」などから構成されています。完成した作品を発表するギャラリーやホールはどこにでもありますが、それを創り出すためのスタジオや稽古場のような、言わば「文化・芸術のインキュベーション施設」は意外と少ないのでは、という気がしています。そういう意味でもこうした施設の存在は貴重なのではないでしょうか。付け加えると、ここは36524時間営業で、使用料が非常に安く、企画運営は民間から採用したヴォランティアが行い、利用者自身による自主管理方式がとられているそうで、公的な施設としては非常に融通がきくんだな、と感じます。市民の文化度の高さがこんなところに表れているのでしょうか?

金沢はこれまでにも何度か取り上げてきましたが、今回は、有名な観光スポットが集中する中心部からは少し外れた場所のご紹介でした。観光ガイドブックにも載っているかどうか・・・。とはいえ、JR金沢駅から、歩いても1520分程の距離なので、お時間があれば訪れてみてもよいかもしれませんね。

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2007.08.24

34-6 弘前市立観光館と旧弘前市立図書館(青森県)

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東北地方のみなさん、お待たせいたしました! やっと東北の風景をご紹介できる機会がやってきました!(別に待ってないですか?) 実は、「北海道・東北」というカテゴリーを作っておきながら、今まで東北の記事がなかったのはちょっと心苦しかった・・・。

それはさておき、弘前には多くの洋館が点在しており、街の観光のシンボルとなっています。平成2年にこの「弘前市立観光館」を造った際、隣接する「追手門広場」に「旧弘前市立図書館」等、2つの洋館を移築させました。観光館の建物は分節化され、大屋根のかかった広場となっている2つのブロックの隙間からは、深紅のドームを戴いたエキゾティックな風貌の旧市立図書館が垣間見えています。観光館の建物、そしてこの広場の配置は、街角から歴史的なランドマークとなる建物が望めるようにと、計画されたのでしょう。そう、信じたいです・・・

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2007.08.22

34-5 横浜情報文化センター(横浜市)

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かつてここには、昭和4年に建てられた、4階建ての「横浜商工奨励館」があり、長らく閉鎖されたままになっていました。しかし、ここは横浜の都心の一等地。土地は有効利用したい。でも歴史を感じさせる景観は残したい・・・そんなわけで、旧い建物はファサードだけを残して、奥に高層ビルを建てたのが、2000年にオープンしたこの情報文化センターです。新しいビルとはいえ、デザインは温かみのあるトラディショナルな感じで、旧い建物との調和が図られています。内部も一部保存されていて、重厚な階段や貴賓室などに当時の面影が偲ばれます。

横浜の都心部には近代建築が多く建てられ、このような形で保存・活用されているケースもよく見られます。それぞれの建物は夜になるとライトアップがされています。横浜を散策する機会があったら、海沿いばかりでなく、是非通りを一本中に入って、クラシカルな建物めぐりを楽しんでみてください。

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2007.08.20

34-4 コッパー・スクエア(米国・フェニックス)

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これまでバックナンバーで、週末のフェニックスのダウンタウン(コッパー・スクエア)はゴースト・タウン、と散々こき下ろしてきましたが、さらに付け加えれば(笑)全米第5~6位の人口を誇る大都市の中心でありながら、駐車場や空地ばかりがやたらと目立つスカスカな空間、という紹介もできます(米国の大都市はどこも似たような感じらしいですが)。たとえば、日本で同程度の人口を有する札幌や京都や神戸で、都心部にある「すべての」ビルの数を数えようとしたら、とても気の遠くなりそうな作業という感じがしますが、ここフェニックスでは簡単にできてしまいそうです。ビルじたいの数が少ない上に、1つの街区に対して巨大なビルが1つ(しかも大抵1企業)建つという単純なパターンがほとんどだからです。首都圏で言えば、東京の臨海副都心や横浜のみなとみらい21地区のような感じと言えばわかっていただけるでしょうか。

そんなフェニックスも、それなりに歴史のある街で、中心部にはクラシカルな建物がいくつか残っています。画像右手に見える2つの塔が可愛らしい建物も、19世紀に建てられた教会だそうです。しかし、雨の少ない気候のせいでしょうか、どれも外壁がやたらときれいなので、歴史の重みが感じられずハリボテのような印象すら受けます。このようにデザインは古めかしいけれど妙に小ぎれいな建物と、正面の高層ビルのようなモダンな建物が、何の関連性も感じさせないまま同格に配置されているこの街のダウンタウンは、どこかリアリティに欠けるとても不思議な空間だと思います。この街を歩いていると「都市って何なんだろう?」と改めて考えさせられます。

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2007.08.18

34-3 浜離宮恩賜庭園と汐留シオサイト(東京都港区)

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手前が江戸時代に造られた日本庭園である浜離宮恩賜庭園、背後の高層ビル群は、旧国鉄汐留貨物駅跡地が再開発され、2003年頃街開きを果たした「汐留シオサイト」で、日テレや電通等、大手企業の本社ビルや、高級ホテル等が立地しています。コンクリート・ジャングルの都心にあって、眼下に25haの庭園を望めるオフィスやホテルというのは、環境に非常に恵まれていると言えるでしょう。

では、一方の浜離宮にとって、シオサイトの存在とはどのようなものなのでしょうか? 実は私は最近まで浜離宮には行ったことがなかったので、以前の景色がどんなだったかは知りません。隣が広大な貨物駅なので空が見えるだけだったのか、それとももっと背の低いビル群が見えていたのか・・・。

いずれにせよ、外壁の格子模様は共通という緩やかな統一感を保ちつつも、均一でなく変化の感じられる、いかにも21世紀的なファサードのシオサイトのビル群が、「銀の屏風」となって背後に立つことによって、伝統的な和風庭園である浜離宮が対比的に際立つようになり、かえってその存在価値が高まったように、私には感じられます。少なくとも、屋上に大きな看板や設備機器類が目立つ没個性的なペンシル・ビルが、無秩序に建ち並んでいるのが見えるよりは遙かにいいじゃん、と思うのです。

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2007.08.16

34-2 フォルム・デ・アール(フランス・パリ)

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画面がとても賑やかですが、一つひとつ解説していきましょう。

手前のメリー・ゴー・ラウンドと美しい植栽のある空間は、かつての市場の跡を再開発して造られたショッピング・センター「フォルム・デ・アール」です。地下空間を有効に使って高さを抑え、大きな中庭のようなサンクン・ガーデンを設けています。

画面左奥、合成写真のようにおどろおどろしく聳えているのはサントゥスタッシュ教会で、モダンなショッピング・センターと古めかしい教会が共存する風景は、何だか不思議です。

画面右奥には、集合住宅でしょうか、中層の建物が写っています。これはガラスを多用した近代建築ではありますが、最上階の外壁の色づかいや、カーヴの感じが、途中で勾配が変わる「マンサール屋根」を意識したデザインのようで、パリの伝統的な街並みに調和させよう、という配慮が感じられます。

ついでに言えば、画面の中のフォルム・デ・アールにも、カーヴするガラス屋根が随所に見られます。もしかしたらこのデザインも、周囲の環境との調和を図ろうとした結果なのかもしれないですね。古いものを残すばかりでなく、新しいものも積極的に取り入れ、かつそれらの調和を図ろうとしているところがパリらしく、魅力的な風景だなと思います。

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2007.08.14

34-1 コロッセオ&フォロ・ロマーノ(イタリア・ローマ)

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画面左側の建物がコロッセオ、正面奥の溶け出してしまったような形の建造物がフォロ・ロマーノで、2つは互いに近接しています。このようにローマは、ちょっと歩いただけで、誰もが知っている名所に次から次へと出逢えるのが楽しい街です。

フォロ・ロマーノも、コロッセオも古代の遺跡ですが、ポンペイのように既に滅びてしまった街としてではなく、現代においてもイタリアの首都として機能している都市の、ど真ん中に現存している点が面白いな、と思います。ローマ市民は、何千年もの歴史を感じながら日常生活を営んでいるというわけです。

※関連バックナンバー 29-3「チルコ・マッシモ」

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2007.08.13

#34「時を超える風景」

21世紀も7年目ですね。子供の頃の私の空想では、21世紀の風景は、すべての建造物が未来的なデザインで統一されていて、都市景観がまるごと一新されているはずでした。

ところが、2000年が2001年になったからといって、ある日突然街の景色がガラッと変わるわけはなく、21世紀になっても戦後の風景、近代の風景、そしてそれ以前の風景は、よくも悪くもいまだに都市の中で混在し続けています。都市景観というのは簡単に変えられるものではなく、長い年月をかけて形成されていくものなんだな、そして、現在の生活の中に過去を感じられる要素が存在している方が、都市としては魅力的なのかもしれない・・・そんな事実に改めて気づかされた21世紀初頭でした。

そんなわけで、今回のシリーズでは「新旧の風景・時を超えたコラボレーション」をテーマにお送りしていこうと思います。

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2007.08.10

33-7 フィッシャーマンズ・ワーフ(米国・モントレー)

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モントレーの観光名所、フィッシャーマンズ・ワーフのすぐ脇の水域の風景です。

関連バックナンバーも合わせてご覧いただきたいのですが(※)、モントレーという街は、観光地・リゾート地であり、かつ「フィッシャーマンズ」と言うくらいですから、現代でも少なからず、漁業の街としての性格も持っているはずです。画面上で沖にまとまって係留されている船の群れは、漁船のように見えますが、私にはレジャー用の船のようにも見えます。どちらなんでしょう? また、これらの船に乗り込む時は、どうやって船に近付くのだろう?という素朴な疑問も浮かんできます。

・・・いずれにせよ、海岸のごつごつした岩場と、小舟の集まった海辺の風景は、小さな港町らしい、飾らない雰囲気がいいな、と思います。

※関連バックナンバー

 8-7「コースタル・トレイル」11-5「フィッシャーマンズ・ワーフ」

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2007.08.09

33-6 お台場の屋形船(東京都港区)

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夏は夕暮れになると、お台場という、東京でも最も現代的な景観に囲まれた水域に、江戸の昔からの文化である屋形船が次々と集まってきます。さながら夜の水辺に集まり、ほのかに輝くホタルの群れのように。(実際に見たこともないくせに言ってますが)

この新旧の競演を見ていると、モダンでインターナショナルな雰囲気の漂うお台場も、日本の一部なんだ、ということを実感できて、微笑ましく、ほっとしたような気持ちになります。

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2007.08.08

33-5 アーバンドックららぽーと豊洲(東京都江東区)

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その名のとおり、かつての造船所跡地に、その環境を活かして造られたショッピング・モールです。ドックは陸側の半分ほどが埋め立てられたようで、残りの部分は画像のように水上バスの発着場として使われ、お台場から浅草へ向かう水上バスが立ち寄るようになりました。

かつて大型船が出入りしていた場所に、引き続き水上バスを出入りさせるというのは、歴史性の継承という意味でも(?)極めて正しい使い方のように思われます。船のサイズはかなり小さくなって、子どもが親の靴を履いているようなブカブカな感じもしますが。

この水を引き込んだ新しい「港」はまた、その囲まれた空間の形状から、東京湾岸を背景とした広場的な使われ方もされているようで、この日は猿回しのイヴェントが行われていました(画像はクリックすると拡大します)。

※関連バックナンバー 28-10「アーバンドックららぽーと豊洲」

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2007.08.07

33-4 セーヌ河 feat.ノートルダム寺院(フランス・パリ)

334boatseineセーヌ河は、パリ市域の中央を横切って流れていますが、とりわけこの辺りはまさにパリの中心の中心です。この付近のセーヌ河の風景は、絵になる題材が満載です。

今回の構図は、一応船を主役として扱っていますが、むしろ背景のノートルダム寺院の方が重要なのかな、という気もします。この角度から見たノートルダムは完璧な美しさです。こう見ると東京都庁舎がこれを真似したと言われるのもよくわかるような気がしますね。

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2007.08.06

33-3 元安川(広島市)

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当サイト初登場の広島市です。今回のシリーズは既に取り上げたことのある街の風景が多くなりそうなので、今日の記事は貴重ですね。

画像左側には、原爆ドームがほんの少し写っています。川の右側は平和記念公園です。川沿いにはプロムナードが整備されて樹木が植えられ、護岸はツタで緑化され、水面を眺めるベンチや、水面近くへと下りてゆく親水テラスが設けられるなど、石と緑で構成される上品な空間が形成されています。

ここは特に広島という都市のアイデンティティにかかわる最も重要な場所ですから、「お化粧」に力が入るのもある意味当然ですが、この場所に限らず広島の街はどこも、川沿いの風景がすっきりと美しく、歩いていると心地よく感じられるような気がしました。その理由は何なんだろう?とよくよく考えてみると、ほかの街ではよく見かけるビルの上の大きな看板が全くないからだ、という事に気がつきました。

広島は太田川の三角州上の平野に開けた街です。つまり、街なかを枝分かれして流れる幾つもの川は広島の街にとってシンボル的な空間であり、川沿いの景観は市民共有の財産として大事にされるべき性質のものなのです。市では、川沿いの建築物を建築する際、事前に計画を届け出てもらい、建物の設え方や屋外広告物等について話し合いをする制度を設けています。「平和」を標榜する都市としては、やはりその景観も心に平安をもたらすものでないといけないということなのでしょう。美しい景観は気のせいなんかじゃなく、ちゃんと理由があり、地域の人々の努力の上に成り立っているものなのでした。その割に、この風景の中を往く船の色が蛍光ピンクというのは、ちょっと奇異な印象も受けますが・・・。

(画像はクリックすると拡大します)

平和への願いを込めて、今日この日に、広島からお送りいたしました。

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2007.08.03

33-2 八幡堀(滋賀県近江八幡市)

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前回のパセオ・デル・リオに続き、八幡堀も今回で取り上げるのは3回目ですので(※)、詳しい説明はバックナンバーをご覧ください。

ここを行き交う船は・・・四隅に提灯をぶら下げて、ガラスのはめ込まれた木枠の格子・・・粗末な掘っ立て小屋がそのまま水に浮かんで流されている感じが、風情があっていいですね(決してけなしているわけではありません)。

※関連バックナンバー 8-2「八幡堀散策路」30-6「八幡堀」

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2007.08.02

33-1 パセオ・デル・リオ(米国・サンアントニオ)

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サンアントニオ、そしてパセオ・デル・リオは3回目の登場となりますが(※)、今回の主役は、幅の狭いサンアントニオ川を、観光客を乗せて頻繁に行き交うリバー・ボートです。

ボートの席は、茶色く濁った水面スレスレの高さにあり、水をとても近くに感じられます。またボートから眺められる川沿いの風景は、魅力的な店舗や色とりどりのパラソルが並び、とても華やいだ雰囲気のクルーズが楽しめます。

※関連バックナンバー
 8-1「パセオ・デル・リオ」27-4「パセオ・デル・リオのテラス席」

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2007.08.01

#33「船の浮かぶ風景」

船は乗るもの好きですが、見ているのも好きです。水上という、広がりがある静的な背景、そこに船が入ると動きが生まれて、画像にした時には風景が引き締まるような、そんな気がします。かといって、船は陸上の乗り物と違って、水や風の抵抗を受けながらゆっくり、ゆっくり進みますから、水辺の風景の穏やかさを、いたずらに乱すこともありません。

今年も夏真っ盛り! 今回は涼を求めて、船の浮かぶ水上の風景をお送りしたいと思います。

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