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2007年10月

2007.10.30

38-8 セルジー・ポントワース・ニュータウンの商店街(フランス)

388sstcpiセルジー・ポントワースは、パリ中心部から直通の高速鉄道で30分ほどの距離にあります。東京では都心から30分の街の風景はそれほど鄙びては感じられませんが、パリは市域がそれほど大きくないので、ずいぶん遠くまで来てしまったような感覚になります。電車から見える車窓風景は、首都圏の多摩ニュータウンや東急多摩田園都市のそれにどこか相通じるものがあって、郊外の計画住宅地の風景というのは、世界中どこでも似たようなものになってしまうのかな、などと感じたものです。

画像は高速鉄道の駅「セルジー・サン・クリストフ」の駅前から延びる商店街です。鉄道ができ、駅ができると、駅前には自然発生的に商店街ができるものですが、ここはニュータウンなので、おそらくそうした商店街を摸したような商店街を、計画的に造ったものと思われます。ニュータウンですから土地には余裕があるはずですが、この通りの幅はほどよく狭い「囲まれ感」があって、賑わいの創出を意識しているように思われます。街並みは赤レンガの建物で統一されていますが、風景が画一的にならないよう、建物のデザインにも少しずつ変化をつけているように感じられます。

街は自然に「できる」ものであって、計画的に「造る」ということは難しいのでしょうが、ここでは何とか、自然発生的な街の持つ活気や賑わいというものを再現させようと頑張っている様子が見られますね。

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2007.10.28

38-7 中央パークアベニュー(沖縄県沖縄市)

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1974年の市町村合併によって生まれた「沖縄市」という人工的な名称より、いまだに「コザ」という旧市名の方が通りが良いようなのですが、ここは沖縄本島中部に位置する米軍嘉手納基地を有する街で、那覇に次いで県内第二の人口規模を誇る都市です。中央パークアベニューは、街の中心部にある商店街の一つです。

その風景は、眩いばかりに白い街並みと、半球状のドームを連ねたようなアーケードのデザインが印象的です。亜熱帯の地らしく、植栽も豊富です。また、大して幅の広い通りでもないのに、わざわざ駐車スペースが、それも道路に対して並行ではなく斜めに停めるように設けてあって、基地の街だけにやはり車社会である米国の影響を大きく受けているのかなぁ、なんて思いました。

街路空間としてはとても面白く感じられたのですが、沿道はシャッターが閉まった空き店舗がとても多く、全体的に閑散としていました。商店街としてもう少し活気があればソフトとハードのバランスがとれてすごくいいのにな、と残念に思いました。

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2007.10.26

38-6 リャン・シア・ストリート(シンガポール)

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レストラン街であるこのリャン・シア・ストリートは、シンガポールの中で取り立てて重要な商店街、というわけではないのですが、この風景を構成している沿道の建物群の建築様式が、シンガポールの典型的なものなので、取り上げてみました。

これらは「ショップ・ハウス」と呼ばれ、おもに中国の南部に見られる建築様式で、その名のとおり1階の玄関付近が店舗で、奥と2階より上が住居となっています。シンガポールでは中国伝統の建築にはない西洋式の窓、レリーフや円柱、マレー風の軒下飾りなどを取り入れ、独自の折衷様式を確立させました。ファサードはヨーロッパのカラフルなタイルで飾られることもあります。一戸単独で建てられることは少なく、数戸が連なってひとつの通りを形成することが多いようです。

シンガポールではどこへ行っても、このような低層で彩り鮮やかなパステル・カラーの街並みを見ることができます。このかわいらしい色彩感覚は南国らしくて、とても魅力的に感じられました。背後の高層ビル群が無彩色のメタリックな感じなので、ショップ・ハウス(風?)のカラフルさがより引き立っていますね。

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2007.10.24

38-5 ストックトン・ストリート(米国・サンフランシスコ)

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サンフランシスコのチャイナ・タウンと呼ばれる地区には、2本の通りが平行して走っています。1本はグラント・アヴェニューで、もう1本がこのストックトン・ストリートです。

グラント・アヴェニューの方は、観光客が喜びそうな、いかにもチャイナ・タウンっぽい景観で、土産物屋等の多い、どちらかというと「よそいき」の顔なのに対し、このストックトン・ストリートは飾り気がなく、雑然とした、生活感のある空間で、同じチャイナ・タウンでも雰囲気は全く異なります。画像は朝早くに撮ったものなので、まだ人の姿もまばらですが、昼になると大勢の地元の人でごったがえしてとても活気があり、アジアのどこかの街の市場を歩いているような感じがして、一瞬自分が米国にいることを忘れてしまいそうになります。ローカルな中華系の方々のパワーを、本物のチャイナ・タウンを感じたければ、グラント・アヴェニューだけでなく、是非こちらのストックトン・ストリートも歩いてみることを、おすすめします。

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2007.10.22

38-4 オーシャン・フロント・ウォーク(米国・ヴェニス)

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前回(38-3)取り上げたサンタモニカとヴェニスは隣町で、サード・ストリート・プロムナードからこのオーシャン・フロント・ウォークまでは歩いても20分ほどの距離にあります。

商店街とは普通、通りの「両側」に店が建ち並んでいるものですが、ここはその名の通り、まさに海沿いなので、片側には青い空と海が広がっており、ローラーブレードが似合いそうな開放感あふれる海辺の散策と、商店街の賑わいの両方が楽しめる魅力的な通りです。

この沿道に建ち並んでいるのは小汚い安宿や、タトゥーやピアスを入れる店、中古レコードショップ、Tシャツの店等で、ビーチ側には多くのホームレス達にまじってアーティストが露店を出していたり、ストリート・パフォーマンスが行われていたりして、全体的にちょっとワイルドな、独特の雰囲気はあるのですが、それがビーチという健康的なロケーションにあるのが面白いな、と思います。

※関連バックナンバー 11-3「ヴェニスの街並み」

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2007.10.20

38-3 サード・ストリート・プロムナード(米国・サンタモニカ)

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ロサンゼルス都市圏に位置する海沿いの街・サンタモニカの目抜き通りで、並木等の植栽の爽やかさと、楽しげな歩行空間が印象的な商店街です。

サンタモニカのダウンタウンの中でも、メイン・ストリートとしてのこの通りの特殊性は際立っています。何といってもまず、全体が歩行者天国になっている通りというのは米国の都市では比較的珍しいようです。通りに沿ってバランスよく配置された立体駐車場へは通りの裏側からアクセスするようになっていて、車を停めたら直接この通りに歩いて出られるようになっています。車を締め出した街路の真ん中にはモニュメントや、インフォメーション・センター、カフェ、ニュース・スタンド等のパヴィリオンが建ち、雑貨やスナックなどを売るワゴンが目を楽しませ、ベンチでは人々が語らい、通りのあちこちでは様々なパフォーマンスや演奏が行われています。通り沿いには隙間も空き店舗もなく、様々な店舗や映画館、レストランがひしめき、昼夜問わず大勢の人で賑わっています。

このようにハード・ソフト両面において完成度がとても高いため、街の中の通りというよりは、敷地内に計画的に造られたショッピング・モールのように見えてしまうほどで、歩いているだけでもほんとうに楽しめる商店街です。

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2007.10.18

38-2 元町ショッピングストリート(横浜市)

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バッグの「キタムラ」等、全国的にも名を知られる商店が本拠を構え、1970年代には「ハマトラ・ファッション」の発信基地となった(んですか? あまり詳しくないんですが・・・)、横浜を代表するおしゃれな商店街で、ショッピングの面での魅力もさることながら、魅力的な街路空間というハード整備の面でも、先駆的な取り組みを行ってきました。

もともとここは幅員がわずか8mしかない道路で、店先に連続する路上駐車が通りの景観を阻害する等の問題を抱えていました。そこで、ゆとりある歩行空間の確保のため、各商店は建て替えの際に敷地内の1階部分を1.8mずつセットバック(壁面後退)させるという協定を結び、20年以上もの歳月をかけて、通り全体に連続した歩行空間を生み出しました(2階部分がせり出してアーケードのようになっているのは、そのためです)。

さらに公共空間である道路の整備に際して、1.25m幅の歩道が新設されたので、セットバック分と合わせて実質上「歩道」の幅員は3.05mとなりました。電柱・電線は撤去され、車の速度抑制と景観の変化を狙って車道を蛇行させ、停車帯を左右交互に配置するという工夫もなされました。元町のハイセンスなイメージに合うよう、路面は石畳に舗装され、街路灯やベンチなどの「ストリート・ファーニチュア」の材質も、高級な質感のものが置かれています。

・・・このように、ショッピングに興味のない人種にとっても、散策しているだけで楽しくなるような通りを造ってくださったことに、私は感謝したいと思います。物を買って街にお金を落とすということはできませんが、ここを積極的に歩くことで、少しでも賑わいづくりに貢献できれば、とは思っております(笑)。

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2007.10.16

38-1 ケルントナー通り(オーストリア・ウィーン)

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ウィーンで最も賑やかな商店街です。ウィーンの市街地のちょうど「ヘソ」にあたる「シュテファン広場」から南へと伸び、その先をさらに辿っていくとイタリアのローマにまで到達するという歴史的経緯を持つ道ですので、「朱雀大路」あるいは「表参道」(東京・原宿にある通りではなく、普通名詞としての)的な位置づけを持つ、まさにウィーンのメイン・ストリートと言えるのでしょう。

ヨーロッパでは歴史的な景観を保全するという意識が高いため、日本のように街なかに広告・看板の類が野放し状態、といったことはありません。それだけにかえって、ここのように看板が思い思いに出ていると(とはいえ節度は保たれていますが)、その通りの活気や賑わいを上手く演出してくれているように思います。

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2007.10.15

#38「商店街の風景」

近年、地方都市の中心市街地の商店街は、郊外部の巨大ショッピング・センターに客を奪われるなどにより、人通りがなく、空き店舗ばかりが建ち並ぶという壊滅的な状況にあるようです。かく言う私も、最近買い物は主にスーパーやコンビニばかりで、商店街の個人商店で物を買う機会などほとんどないという有様です。

でも、だからと言って大きなスーパーさえあれば商店街なんていらない、とまではさすがに思いません。勝手かもしれませんが、やっぱり駅を降りて家に帰るまでの道に商店街がないような街は寂しいし、つまらないなぁ、と思います。そこには経済原則だけでは説明できない、失くしてはいけない何かがあるような気がします。もしかしたら中心市街地の荒廃は、コミュニティの荒廃、そこに暮らす人々にとっての心の荒廃をももたらすのかもしれません・・・。

のっけから暗い話をしてしまいましたが、今回のシリーズは街の「顔」たる魅力的な商店街の復興を祈願して(?)、「商店街の風景」をテーマにお送りしたいと思います。なお今回は、ショッピングの場としての知名度、魅力度もさることながら、主に街の空間としての魅力に着目してピックアップしていくつもりです。

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2007.10.12

37-6 イスタナ・ガーデン(マレーシア・ジョホールバル)

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何の脈絡もなく、突然マレーシアからお送りします。

「イスタナ」とは宮殿を意味するらしいです。ジョホールバルの属するジョホール州を治めているサルタン(君主)の宮廷がここにあり、現在も様々な式典や儀式、レセプションに使われているそうです。

イスラム式庭園、あるいは「マレー式庭園」なんてものが存在するのかどうか知りませんが、このパームツリーが建ち並び、芝生がよく手入れされた庭園は、シンプルで広々とした明るい雰囲気で、東南アジアというよりは西洋的な感じがします(これはここの宮殿の建物にも言えることですが)。

日本では、美しい庭園からその周りに建つ高層マンションが見えたりすると、興醒めしてしまうことも多いですが、この庭園から見えるジョホールバルの中心街に建つ高層ビル(ホテル?)群は、どれも個性的かつすっきりとしたデザインなので、風景としてよく調和しているように思います。

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2007.10.10

37-5 サンスーシ宮殿(ドイツ・ポツダム)

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ポツダムは、ドイツの首都ベルリンの郊外に位置する、旧東ドイツに属していた都市で、「水と緑の街」といった印象があります。

その市街地の緑の多くを占めているのが、広大な面積を誇るこのサンスーシ宮殿の敷地です。サンスーシとはフランス語で「憂いのない」という意味で、このネーミングからもうかがえるように、この宮殿からは多分にフランスのヴェルサイユ宮殿への憧れのようなものが感じられます。

画像の階段状に見えている部分はなんとブドウ畑になっていて、最上段の黄色い建物が宮殿部分らしいです。両者の見え方は一体的ですが、ブドウ畑の傾斜がずいぶん緩やかなので、宮殿がやけにこぢんまりと感じられ、ちょっとバランスが悪いようにも思われます。

ところで、「サンスーシ」って、いい言葉ですよね。世の中スーシだらけ。私もサンスーシな毎日を送りたいです・・・。

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2007.10.08

37-4 ヴェルサイユ宮殿の庭園(フランス)

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高木のプランターが等間隔に整列し、池や緑地は図形を描き、全体が幾何学模様で形成された風景です。まさに「フランス式庭園」の見本のような庭園です。

ところでこのアングル、別にヴェルサイユ宮殿が最も広く見えるようにと撮ったわけではありません。ここの広さはこんなもんではありません。庭園は全部で100ha以上もあるそうです。今では入場料さえ払えば誰でも入れ、年間何百万人の観光客で賑わうこの広大な庭園を、かつてはどのくらい少数の王侯貴族で独占していたのかと考えると、ちょっと気が遠くなります。

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2007.10.06

37-3 栗林公園(香川県高松市)

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後楽園、兼六園と来て、次は偕楽園か・・・と思わせておいて、肩すかしをくらわしてしまいスミマセン(笑)。日本三名園とは言うものの、偕楽園はいまいち私の琴線に触れなかったのです。所詮入場無料だしな・・・(他の2つは有料)という感じでした。まあ、梅の季節に合わせて行かなかった私も悪いのですが・・・

偕楽園の話はともかく、日本三名園と同じくらいの知名度を誇っていると思われるのがこの栗林公園です。

この庭園の中でハイライトと言える風景は、この「南湖」と呼ばれる池の周辺ではないか、と思います(というか、その他はあまり見どころがなく、本来60分で周るべきところをわずか15分で周ってしまったのですが・・・)。正面に見える和風建築の背後の「紫雲山」は園内にはないのですが、借景として上手に活用されています。岩の配置や木の枝ぶりなども繊細にデザインされ、日本的な美が感じられます。

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2007.10.04

37-2 兼六園(石川県金沢市)

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続いては、日本三名園の二つ目です。

この園内は滝や池など、水の要素が豊富です。「水は低きに流れる」と言います。水が多い場所にいると、私は自動的に自分が低い土地にいるような錯覚に陥ってしまうのですが、この兼六園は、金沢城に隣接し、金沢市街の中でもかなり高台に位置する庭園です。近くに水を感じながらも、眼下には街の風景が広がっているというのは、まるで「空中庭園」のような趣きで、私にとってはちょっと不思議に感じられました。

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2007.10.02

37-1 後楽園(岡山県岡山市)

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まずは日本三名園の一つからお送りしましょう。

画像右手に見える小高い山の上から見渡すと、園内はきれいに刈り込まれた緑色の芝生が園路で区画されていて、まるで畔道と田んぼのように見えます。この庭園がどのような意図を持って作庭されたのかはわかりませんが、私には日本の田園風景の美しさを、抽象化し、デフォルメして、庭園にしたように感じられました。

岡山は、国内でもトップ20に入るほどの人口を有する大都市でありながら、中心部は寂れた感じがしてあまりよい印象ではなかったのですが、後楽園はさすがに日本三名園と言われるだけあって、ここに来るだけでも岡山を訪れる価値はあったな、と思いました。

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2007.10.01

#37「庭園の風景」

こういうテーマは、花咲き乱れる春に取り上げた方がよかったような気もしますが・・・まあ、日本はこれから紅葉が綺麗な季節になりますし、良しとしますか。

文化の蓄積がある都市には、美しい庭園があります。そこは、誰もが無料で気軽に入れる公園のような場所とはちょっと異なり、その街に住む市民の美に対する意識を体現し、象徴する空間であり、市民が誇りにし、大切にしまっている、とっておきの宝物のような空間といえるでしょう。

今回のシリーズでは、そんな「大事な宝物」のような庭園の数々を、これまでとはまた一味違った、新しい土地からお届けできればいいな、と考えております。お楽しみに・・・。

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