#57「くぐり抜ける風景」
今回のシリーズでは、前回のシリーズ(#56)のテーマである地下空間と同様、どんな天気の日でも快適に街を歩ける、世界各地の屋根付き歩行者空間の風景を取り上げたいと思います。「アーケード」と言ってしまうとちょっと昭和っぽくて、時代遅れな響きがしますが、フランス語で「パサージュ」、あるいはイタリア語で「ガレリア」などと言えば、なんだかおしゃれな感じがするのは、不思議ですよね。
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今回のシリーズでは、前回のシリーズ(#56)のテーマである地下空間と同様、どんな天気の日でも快適に街を歩ける、世界各地の屋根付き歩行者空間の風景を取り上げたいと思います。「アーケード」と言ってしまうとちょっと昭和っぽくて、時代遅れな響きがしますが、フランス語で「パサージュ」、あるいはイタリア語で「ガレリア」などと言えば、なんだかおしゃれな感じがするのは、不思議ですよね。
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186haにも及ぶ、横浜都心臨海部の再開発地区である広大な「みなとみらい21」には、3つの主要な歩行者軸が設定されています。そのうち旧来からの横浜都心部の玄関口であったJR桜木町駅と、港に面したコンベンション施設「パシフィコ横浜」を結ぶように設定されているのが「クイーン軸」で、オフィスビルやショッピング・モールから成る複合施設「クイーンズスクエア」の建物内を貫通している区間が「クイーンモール」と呼ばれています。屋根の付いた屋内空間ですが、土地区画整理事業によって整備された、れっきとした公共の歩行者専用通路です。
天井が高く、幅員が広く、街路樹のように木も植えられているので、歩いていると屋内であることを忘れそうになるほど開放感のある空間です。壁や床の色使いが白っぽいので、天窓からの光をよく反射して、明るい雰囲気です。また、単純に真っ直ぐに貫いているのではなく、途中で若干折れ曲がっていたり、高低差がついていたりするのも、景観に変化を与えていて、長い距離も退屈することなく歩けるような気がします。
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ラスヴェガスには、巨大なテーマ・ホテル群が建ち並び近年脚光を浴びている「ストリップ」地区と、旧来からのダウンタウン地区という2つの中心があります(※)。画像はダウンタウンのメイン・ストリートであるフリーモント・ストリートですが、ネオン・サインのデザイン等がどことなく古臭く、時代がかって感じられるのがおわかりいただけるでしょうか。
派手なストリップ地区の繁栄の陰で地盤沈下と続いていたダウンタウン地区が放った起死回生策が、メイン・ストリートであるフリーモント・ストリートを24時間歩行者天国とし、その上空に210万個の電球の付いたアーケードを設置して、毎晩光と音のアトラクションを繰り広げるという、華やかなラスヴェガスのイメージにふさわしい「フリーモント・ストリート・エクスペリエンス」でした。その後電球は約1250万個のLEDに置き換えられ、よりきめ細かな映像描写が可能になりました。
・・・と説明しておきながら、アーケードでそのアトラクションが行われている決定的なシーンを撮っていないのは、私が見たものがあまり面白い内容ではなく、それほどインパクトを感じなかったからです。スミマセン。むしろ、道行く人全員がぽかーんと口を開け、アホ面で上を向いている姿を見ている方が、私には愉快だったくらいです。
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2008年4月 49-1「ストラトスフィア・タワー」
2006年6月 6-1「ザ・ストリップ」(A-2 米国西南部)
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シンガポール川(※)沿いの倉庫街を再開発して造られたナイト・スポットで、水面にせり出すようにテラス席の設けられたレストランやライヴ・ハウス、逆バンジーがあったりして、遅くまで大勢の人で賑わっています。夜のアーケードは照明が美しく、画像のとおり多くのワゴンが出ていたり、噴水等の楽しいしかけも設けられています。透明な屋根の膜や通風孔等がちょっと生き物っぽい形をしているのがユーモラスです。
前回(57-3)のラスヴェガスに引き続いて今回ここを取り上げてみたのは、華やかかつ、全体として万人受けするような健全な空間の造り方に、ストリップ地区のテーマ・ホテル群やアミューズメント施設とちょっと同じにおいを感じたからです。夜の歓楽街としてはお行儀が良過ぎて、ちょっと刺激が足りないような感じもしますが。
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2003年3月 48-8「シンガポール川」
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シュトゥットガルト中心部に立地する、小ぢんまりとしたアーケード街です。ヴォールト状のガラスの天窓からは青空がよく見え、明るい光が燦々と降り注いでいます。天窓の枠、梁や柱、床の舗装等に黒が多く使われているためか、どことなく高級感が漂っています。
このアーケード街で特徴的なのは、各店舗の看板が、それぞれで扱っている商品を象った大きなアイコンのようなスタイルに揃っていることで、通り右側のカフェの看板は、ポットからコーヒーをカップに注ぐところを示しています。
それから、このアーケードが開発された時は、周囲の伝統的な街並みに調和させるため、入口部分の形状を隣り合う建物と同じ高さ、同じ切妻型の屋根にわざわざ揃えた、という話も聞いたことがあったような、なかったような・・・
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昨年10月の開業以来、大いに話題となり、人気を博している鉄道博物館と、最寄りである「鉄道博物館(大成)」駅とを結ぶ通路の画像です。同駅は、東北・上越新幹線の開業当初の始発駅である大宮から埼玉新都市交通・ニューシャトルに乗ってわずか1駅の距離にあり、新幹線は敷地のすぐ横を走り抜けて行きます。
屋根に覆われたこのプロムナードは、天窓の明るさと暗さのコントラストが面白く、頭上の斜めに交差する赤や青に彩られたパイプが華やかだなぁ、という何気ない第一印象を持ちました。
次に、床のタイル舗装に目を転じると、そこには開業時から現在に至るまでの東北新幹線の時刻表の移り変わりがプリントされていました。
・・・そこで私ははたと気がついたのです。もしかしたら、この上空の斜めに交差するパイプは・・・案の定、これは、東北新幹線の開業当時のダイヤグラムをデザインしたものでした。見た目にきれいなだけではなく、ちゃんと深い意味を持たせているところがしゃれているなぁ、一本取られた、と思ったものです。
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なぜわざわざ駐車場なんか取り上げるんだろう?と怪訝に思った方もいらっしゃるかもしれませんが・・・ 駐車場は現代の都市において必要不可欠な施設です。しかし、街の景観への配慮が全くなされずに計画されてしまうことが多く、不細工なフェンスに囲まれた大きな平面駐車場が歯抜けのような空間を生み出してしまっていたり、立体駐車場がごつい構造体を通りに向けて、賑わいの連続性を途切れさせてしまったりして、都市にとってマイナスの景観要素になってしまいがちです。 そんな問題提起をこめて、今回のシリーズでは、都市の魅力的な景観形成に貢献していると思われる駐車場の事例を取り上げていきたいと思います。
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以前取り上げた(※)魅力的な駅舎とともに、その中の一施設として有名な建築家によってデザインされた屋外駐車場です。だだっ広く、無秩序に車が並ぶだけの平面駐車場が、全体に大きな屋根が規則正しく架けられることによって、確かな意味を持った空間に変身したような感じがします。
最初私は、雨の少ないこの土地で、わざわざ景観に配慮するためだけに駐車場に屋根を架けるなんてすごいな、と感心してしまったのですが、よくよく考えてみたら、スペインの夏の強い直射日光を避けて、車内の温度が上がらないようにするという、極めて実用的な目的のために設けられたと理解する方が自然なのかもしれませんね。
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2006年4月 1-2「アトーチャ駅」(E-6 スペイン)
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「環境首都」として知られる(※)フライブルク市郊外に、路面電車の新路線建設と一体的に計画されたニュータウンで、地区全域を路面電車の各駅から400mの範囲内におさめ、自動車に頼らず公共交通の利用を促すような、環境に負荷をかけない開発が指向されています。
・・・という前段の説明と関係があるのかないのか、書いている自分でもよくわかりませんが(苦笑)、画像は地区内の街路とそこに設けられた停車帯を写したものです。路上駐車は渋滞や交通事故の原因となりうる違反行為であり、都市の景観にとっても決して好ましいものではありませんが、ここでは街路樹と一体となった停車帯が積極的に設けられおり、機能的にも、景観的にもすっきりとした街路となっています。また、よくよく見ると、停車帯部分の舗装は緑化ブロックとなっていて、隙間に雨が浸みこんでそこから草が顔を出すようになっており、エコロジーへのきめ細かい配慮もなされています。
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2008年2月 46-2「トランジット・モール」
2006年10月 14-4「フライブルク旧市街の路地」(E-3 ドイツ)
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東京湾中央部の人工島上に設けられた、世界初の海上パーキング・エリアです。今回の事例はシリーズのこれまでのものとはちょっと趣旨が違い、どちらかと言えば「道路の風景」(2008年1月)のシリーズで取り上げた方がよかったような気もしますが、まあ、パーキング・エリアも駐車場ではあるので・・・
空が霞んでいて対岸の木更津側(※)が見えないので、一直線に伸びる車道がまるで空の彼方へと吸い込まれていくようにも感じられます。どういうわけかきれいな左右対称にはならず、微妙なカーヴを描くランプ(導入路)が、広大な海のスケール感と比べてあまりにも繊細な感じで、それが魅力的です。
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2006年6月 5-7「金田海岸」(J-3.1 埼玉・千葉)
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