#67「像の立つ風景」
街を歩いているとすれ違うのは、何も人や動物ばかりではありません。時には人や動物の姿をした、けれども動くことのない、「像」という存在に出逢えることもあります。
決して何かを語ることはなくとも、都市の中で、実際の人間以上に雄弁に、力強いメッセージを発している、そんな「像」の立つ風景を、新年最初のシリーズとしてお送りしたいと思います。
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街を歩いているとすれ違うのは、何も人や動物ばかりではありません。時には人や動物の姿をした、けれども動くことのない、「像」という存在に出逢えることもあります。
決して何かを語ることはなくとも、都市の中で、実際の人間以上に雄弁に、力強いメッセージを発している、そんな「像」の立つ風景を、新年最初のシリーズとしてお送りしたいと思います。
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ぶっちゃけ、この画像は、銅像ではなくシカゴの高層ビル群のスカイラインを目当てに撮ったものでした。シカゴは、古い建物でも、新しい建物でも、個性的で魅力的なデザインのものが多く、都市全体が建築博物館、といった趣で、建築好きの方にはたまらない街のはずです。
そして、シカゴの中でもとりわけ見どころの多い建物が集まっているのが、(画像では歩道の左側下を流れている)このシカゴ川沿いです。川の幅員が広い分、建物を「引き」で眺められる空間だから、デザインにも気合いが入るんでしょうかね。シカゴ川から沿岸の建築を眺めるクルーズも人気があるらしいです。
・・・というわけで、申し訳ないのですが、この後ろ姿の紳士が誰なのか、私は全く興味がなかったのです(笑)。ただ、街なかの一等地に銅像が立てられているくらいですから、シカゴの街の発展に相当な貢献があった方なのではないか、と推察されます。高層ビル群を集めて整列させて、それらを前に何かを語っている姿には、どこか威厳のようなものが感じられます。
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シリーズでこれまで取り上げてきたのは「人の姿をした像」でしたが、今回は逆パターンの「像になりすました人」です。服装や顔の化粧等のテクスチュアは本物そっくりで、微動だにしないのですが、足元の缶にお金を入れると、ロボットのような動きでポーズを変えるというパフォーマンスを見せてくれます。そう言えば最近、同じようなパフォーマンスを東京の新橋駅前でも見かけました。
このランブラス通りは、旧市街に位置するバルセロナ一の繁華街で、沿道の華やかな建築のファサード等、とても魅力的な風景が溢れているのですが、ここで私が撮れた写真はこの1枚きりでした。なぜなら、道行く人の半分くらいがスリに見えて、とても呑気にカメラを構えていられるような雰囲気ではないように感じたからです。スリとカモの割合が1:1という場所がもし本当にあるとしたら、凄いことですよね。実際にはどうだったのか知りませんが、この辺りがバルセロナで最も治安が悪い地区で、ランブラス通りでスリの被害に遭う観光客が多いということは確かなようです。
※関連バックナンバー
2007年5月 28-9「海のランブラス」(E-6 スペイン)
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ロサンゼルスに抜かれるまで、米国第2の大都市だったシカゴのダウンタウンには超高層ビルが林立していて、ニューヨークのマンハッタンを少しだけ小さくしたような高密な雰囲気が味わえます。それぞれの高層ビルの足元には広場があって、個性豊かなパブリック・アートが設けられているので、それらを観賞して巡り歩くのも、シカゴ観光の楽しみの一つと言えます。
この画面の背景となっている2つの黒いビルは、20世紀3大建築家の一人、ミース・ファン・デル・ローエによる、モダニズム建築の傑作と言われている「連邦政府センター」です。”Less is more”(より少ないことは、より豊かなこと)というのが彼の主義らしいのですが、正直私には、この何の面白みもない単純な黒い箱のどこがいいんだろう?としか思えませんでした。どちらかというとミースのこの標語を皮肉って批判した、”Less is bore”(より少ないことは、退屈だ)という表現の方に共感を覚えます。
ただ、この巨大で単調な黒い壁を背景にすると、その前の広場に置かれた、この大胆に放物線を描く鮮やかな赤い色のアート「フラミンゴ」が、逆にとても活き活きと躍動的に見えてきます。この対比は素晴らしいですね。「黒と赤のエクスタシー」と言ったところでしょうか。(←ええ、そうです。古い映画のキャッチ・コピーをパクリましたが、何か?)
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2004年に開業したミレニアム・パークは、1万人以上を収容する野外音楽堂「ジェイ・プリツカー・パヴィリオン」等を有し、様々なイヴェントが開催されるシカゴの新名所、らしいです。何か特別に面白いアトラクションがある公園とも思えなかったのですが、全体的にモダン・アートのようなランドスケープが面白かったです。
公園の入口部に位置する「SBCプラザ」(この公園にはネーミング・ライツが積極的に導入されているのか、園内の各施設にそれぞれ企業名が冠されていて、ちょっと鼻につきます)に置かれているアートがこの「クラウド・ゲート」で、この画像は横から撮ったものですが、正面から見ると中央下の部分がくぐれるようにへこんでいて、その名のとおりゲートの役割を果たしています。宇宙から降ってきた物質のような非現実性を感じさせる、銀色に輝く滑らかで巨大な曲面にシカゴの高層ビル群が歪んで映り込む姿は、どこか柔和なものに感じられてとても幻想的です。
シカゴは街なかに魅力的なアートが溢れているので、今回のシリーズでは3回も取り上げてしまいました。こんなに集中的に1つの都市を登場させたのは初めてですね。この傾向は・・・まだしばらく続きそうです。
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建物の中などで狭い通路を歩いていて、天井が高く広々とした大空間に出た時の開放感、爽快感というものは、広い大海原を前にした時や、高い山の上から下界を眺めた時のような、大自然に触れた時にも似た感激があります。今回のシリーズでは、面積と費用を十二分にかけた、そんな贅沢な大空間の風景をお送りいたします。
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先日取り上げたばかりの(※)ミレニアム・パーク内にある野外音楽堂です。屋外空間なのに、客席上空には全体にスピーカーが吊り下げられたパイプが網目状に張り巡らされていて、ドーム空間の中に包まれているような感覚が味わえます。航空写真で見ると、この場所は少し楕円形に引き伸ばしたメロンパンのようないでたちをしています。
このショットはステージ側から客席後方を撮ったものですが、逆方向を見ると、シカゴの高層ビル群をバックにして、廃品を積み重ねて造った廃墟のような形のステージが、迫力があってかっこいいです。設計者はフランク・ゲーリーという人なのですが、その事実を知らなくても、彼の他の作品を見たことがあれば一目でそうわかってしまうような特徴的なデザインです。当サイトで改めて取り上げる機会はおそらくないと思いますので、興味があれば画像検索等をかけてみてください。
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2009年1月 67-8「ミレニアム・パークの『クラウド・ゲート』」
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段丘状の屋上庭園が設けられているのが特徴的な、旧大阪球場跡地を再開発して造られた大型商業施設です。
今回ご紹介する大峡谷の底のような風景の、両側の曲がりくねった壁面は、よく見ると横縞状にアース・カラー系で何色にも塗り分けられていて、断層地形をイメージさせます。ここに立った時私は、globe(エイベックス)の6thシングル”Is this love”(1996年)のプロモーション・ヴィデオに出てくるアリゾナ州の大地を思い出しました。(どのくらいの方がわかってくださるでしょうか?)
ここを設計したのは、2008年2月頃を中心に当サイトでこれまでさんざん取り上げてきたジョン・ジャーディ氏です。そう聞けば、同じく彼が携わった東京・六本木ヒルズで似たようなデザインが見られる理由がよくわかるのではないかと思います。
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ボストンで2番目に高いビルの足元にある商業施設で、周辺のホテルやコンベンション・センター等の施設とも接続し、一つのコンプレックスを形成しています。
この空間の造りは全体的にゆったりとした高級感が漂っていて、庶民の私が足を踏み入れようとするとちょっとたじろいでしまいます。この大ホールを覆うガラスの屋根は美しくカットされたダイヤモンドを思わせますし、柱に設置された花びらのような形状の照明が灯す光も上品な感じです。
補足ですが、ここの50階にある「スカイウォーク」はボストンの夕景が美しく見えるだけでなく、観光客が少なく展望スペースじたいも落ち着いた大人の空間といった雰囲気なので、おすすめのスポットです。
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先日オバマ新大統領が、就任式の行われるワシントンDCへ向かう特別列車で旅立つ前に演説を行った場所というのは、おそらくここなのでしょう。
人口150万人以上の大都市・フィラデルフィアの鉄道駅は、ニューヨーク・ペンシルヴァニアストリート駅、ワシントン・ユニオン駅に次いで、アムトラックの駅の中で第3位の乗降客数を誇る、全米有数の大規模な駅なのだそうです。最もポピュラーな長距離移動手段は飛行機という米国でも、東海岸のボストン~ニューヨーク~フィラデルフィア~ボルティモア~ワシントンDCの「北東回廊」と呼ばれるメガロポリス区間においては鉄道利用者もかなり多く、駅や車内は多くのビジネス・パーソンで賑わっています。
この駅には、アムトラックからニュー・ジャージー・トランジット(NJトランジット)というローカル鉄道に乗り換えてアトランティック・シティ(※)に行くためだけに立ち寄ったのですが、ボストンからのアムトラックの到着が1時間以上も遅れ、かなり余裕があったはずの乗り換え時間はわずか10分程となってしまいました。フィラデルフィアの駅は大きいと聞いていたので列車の中ではずっと心配していました。果たしてその限られた時間の中で、NJトランジットの切符売場を見つけ、窓口で切符を買い(もちろん英語で・・・)、のりばを見つけ、そこに辿り着くことはできるのか・・・
・・・余裕でした。「大きい駅」とは言え、日本の大都市の複雑に入り組んだ駅などと違い、ご覧のとおり空間構造が極めて単純にできているので、切符売り場も、プラットフォームもすぐに見つけることができました。駅の空間が広くて屋根も高いと見通しが効くので、初めて訪れる旅行者にとっては親切な造りでありがたいですね。
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2008年12月 65-4「ミシガン・アヴェニュー」
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先日、就任式に向かうオバマ新大統領が特別列車を降り立った駅は、おそらくここだと思います。全米のアムトラックの駅の中で第2位(※)の乗降客数を誇る駅の建築はアメリカ合衆国の首都の玄関口にふさわしく壮麗で、金箔の貼られた円筒形の天井を持つ広々とした白亜のメイン・ホールに入った時私は、今までに自分が見た「建築物」の中でいちばん豪華かもしれない、などと思ってしまいました。私の中ではヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」といい勝負です。
ここは鉄道駅であるだけではなく、多くのショップやレストランが入居するショッピング・モールとしても人気らしいです。この画像を見てもわかるとおり、日本の駅ビルなんかよりも造りは遥かにゴージャスな感じですね。ほの暗い空間に微かな光が差し込み、ドーム型の天井の装飾が深い陰影を映し出しています。
余談ですが、ワシントンDCを走る地下鉄の駅構内の空間もちょっとこんな感じで、どちらかというと全体的に暗く、間接照明のわずかな光がドーム型の天井の陰影を浮き彫りにしていて、SF映画に出てくるようなクールなデザインです(どの駅も同じ造りです)。本当はこのサイトで是非ご紹介したいところだったのですが、現在DCの地下鉄は写真撮影禁止となっていて、無断でカメラを向けているとFBIに連行されたりするかな(?)と思い、断念しました。確かに、米国の首都の地下鉄駅なんて、テロリストにとっては格好の標的になりそうですからね・・・。ネット上にはいくつか画像が載っているようですので、是非調べてご覧になってみてください。
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2009年1月 68-5「サーティース・ストリート駅」
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チャールズ川をはさんで、ボストンのダウンタウンの対岸に位置するのが、マサチューセッツ工科大学(MIT)を有する学園都市・ケンブリッジです。この街にある大学はMITだけではなく、今回取り上げるこの地下鉄レッド・ラインの駅の真上には、その名のとおり名門ハーバード大学のキャンパスを中心とした街が広がっています。
この地下駅は、都心方向(inbound)と郊外方向(outbound)のプラットフォームが、平行に隣り合っているのではなく、上下2段に重なっているのが特徴的です。こうした構造の駅は東京の地下鉄などでも時々見ることができますが、ここの場合、改札口と上下のプラットフォームを結ぶアプローチが階段ではなく、とても緩やかで長いスロープになっているため、ダイナミックな空間が形成されています。しかもその線形は微妙にカーヴしているため、大壁面が両側から迫ってきているような感覚が味わえます。天井の照明の配置の仕方も、カーヴする線形を強調するかのようです。複雑に曲がりくねった東京の首都高速道路のトンネル内を思わせるような空間です。
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