101-7 ジョンソンタウン(埼玉県入間市)
郊外の住宅地の中にある「ジョンソンタウン」は、緑豊かな約25haの敷地内に80ほどの平屋の建物が並んでいます。その内の23棟は、近隣にあった米軍基地(ジョンソン基地)に勤める米軍属用の住宅として1954年に建てられた「米軍ハウス」で、三角屋根にペンキで白く塗られた横張りの板壁、ウッド・デッキを備え、「アメリカ風古民家」といった趣を残しています。そこに「米軍ハウス」の雰囲気を継承しつつ現代的基準で新築された「平成ハウス」と呼ばれる建物が30棟以上加わり、地区の景観の調和を保っています。
ジョンソンタウンには、この古き良き時代の米国の田舎町のような風景に惹かれて移り住み、アメリカンなライフスタイルを満喫している約130世帯・200名以上の住民がいます。面白いのは単なる住宅地ではなく、ここで飲食店、物販店、サービス業を営んでいる方もいるということで、その数は60軒以上になり、カラフルな英語表記の看板が並ぶアメリカンな雰囲気の中でショッピングや飲食、散策が楽しめる「街」として人気を博しています。元々が住宅地として開発されているので、メイン・ストリートとなるような線状の商店街が形成されているわけでも、地区の中心となるような大きな広場があるわけでもなく、面的で均質に広がった静かな住宅街の中に馴染むように店舗が点在しているのが魅力です。
ここの歴史をたどると、1978年に基地が米国から返還され米軍属が撤退し、空き家になった米軍ハウスには日本人が住み始めるようになりましたが、その後は荒廃しスラム化が進んでしまったようです。住宅を建設し賃貸・運営してきた企業が1996年、残された米軍ハウスを保全・改修し、店舗や住居用として入居者を募り新しい街をつくるという方針を決め、2004年以降徐々に「平成ハウス」の建設も進めていき、現在のような個性的で魅力ある街が生まれたのです。こうした取り組みが評価され、2015年には国土交通省後援の都市景観大賞「都市空間部門」において、大賞(国土交通大臣賞)を埼玉県内では初めて受賞しています。
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