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2020年4月

2020.04.12

101-24 日立シビックセンター新都市広場(茨城県)

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前回(101-23)取り上げたJR日立駅前の交通広場に隣接する、もう一つの広場です。

駅周辺地区一帯の再開発にともなって平成元年に整備されたこの広場は9,300㎡という広さを誇り、大理石と御影石が使われています。周囲を列柱が取り囲む空間にステージが設置され、滝が流れ、噴霧噴水があり、カラフルな照明設備等、水・音・光の演出装置を備えた壮麗な造りで(何かの工事中の画像でスミマセン)、バブル景気真っ只中という時代背景と、日立鉱山から発展した、日立製作所創業の地でもある鉱工業都市・日立市の経済力を感じさせてくれます。

バス・ロータリー等の交通機能を持たない、純粋に歩行者のための広場としては国内の他の都市に例を見ない規模であり、大きなイヴェントの開催時等にはそのポテンシャルを発揮しそうですが、駅前とはいえ人通りがそれほど多いわけでもない地方都市において、日常的にはその広さと仕様を持て余していそうな印象も受けます。

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2020.04.11

101-23 日立駅(茨城県)

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このJR常磐線日立駅は、海までわずか100m程の、崖の上という立地にあります。日本全国に「海の見える駅」は数多くありますが、20万人近い人口を抱える規模の都市(日立市)の中心に位置し、1時間おきに特急列車が発着するような大きな駅は珍しい例ではないでしょうか。

そんな絶好のオーシャン・ヴューのロケーションを活かし、2011年に橋上化された新駅舎は地元出身の建築家・妹島和世氏(先月「西武鉄道001系電車」の記事でもご紹介させていただいたばかりです)がデザイン監修として関わっており、鉄道に関連する国際的なデザイン賞である「ブルネル賞」駅舎部門で優秀賞を獲得しています。

画像の自由通路は延長130mと長く、両側がガラス張りになっており、海に突き出た桟橋のようで、太平洋の大パノラマが楽しめます。柱などの構造体、手すりや構内の設備類が白で統一されていて、その開放感と透明感ある眺めを邪魔しないようになっています。

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2020.04.10

101-22 真壁伝承館(茨城県桜川市)

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前回(101-21)に引き続き、茨城県・真壁からお送りします。

「真壁伝承館」は、江戸時代の「真壁陣屋」跡という古くからの街の中心にあった公民館、歴史民俗資料館と公園の土地利用を再編し、その後継として2011年に開館した複合施設です。敷地内に公民館と観光案内所の役割を果たす「本館・インフォメーション」、最大300名収容の「まかべホール」、そして「歴史資料館」「真壁図書館」という4つの異なる機能を持った建物が配置され、画像の中庭からそれぞれアプローチできるようになっています。

建築計画は、重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている周辺の町並み景観への調和に配慮するとともに、住民参加のワークショップ方式(「参加者が実際に作業や議論したりする体験型のセミナー」と、とりあえず説明しておきましょうか。面倒臭いので…)によって進められました。こうした点が評価されて日本建築学会賞をはじめとする様々な賞を受賞しています。

画面左側に見える棟のように、施設全体としては黒い杉板の外壁で覆われている部分が多く、伝統的な和風建築っぽさもあるのですが、一方で山並みを思わせる切妻屋根の形状が不規則だったり、窓が位置も大きさもランダムに設けられたりする点が、絵本の中に出てきそうな建物のようでファンタジーを感じさせてくれます。古い街に見られる路地のようなこの中庭の空間は、イヴェント開催期間中(前回触れた「真壁のひなまつり」)ということもあって多くの人が行き交い、賑わっていて、この施設が人々に愛されているような印象を受けました。

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2020.04.09

101-21 神武天皇遥拝殿(茨城県桜川市真壁町)

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今回の記事は長文になりそうな予感がしています…。

北関東に「真壁」という街があることは幼い頃から知っていたのですが、そこが100を超える国の登録有形文化財建造物を有し、関東地方で4地区目、茨城県内では初となる重要伝統的建造物群保存地区に選定(2010年)されるような古い街並みが広がる城下町だということを比較的最近TVで見て知って、そう遠くないから行ってみようと思い立ったのです…。

JR常磐線土浦駅と真壁駅を結んでいた筑波鉄道筑波線はとっくに廃止(1987年)されていたので、バスを探してみたのですが、そこで初めて私は、平成の大合併によって「桜川市」となった旧真壁町内には鉄道はおろか、2011年以降バスすら全く走っていないという衝撃の事実に直面したのです。東京からわずか70kmほどしか離れていない関東地方に公共交通機関で辿り着けない「街」があるなんて!

そんな真壁にも、1年のある時期にだけバスでアクセスできるチャンスがあったのです。それが「真壁のひなまつり」が開催される2~3月です。これは2003年に数名の住民有志によって始められた「街じゅうにひな人形を飾る」というイヴェントで、現在約160の商店や民家のひな飾りを自由に見て周れるようになっており、10万人を超える観光客が訪れています。これに合わせてつくばエクスプレス・つくば駅から「ツアー・バス」という形態ながらバスが運行されるということで、わざわざこの時期が来るのを待って2014年の春にようやく私は、レンタカーやタクシーに頼ることなくこの街を訪れることができたのです。

(なお、この「バスがない街」という状態は、その後の2017年に解消された模様です。)

さて、これからようやく本題に入るのですが、

今回ご紹介するのは真壁に数多く残る蔵や門を備えた商家でも昭和初期の洋風建築でもなく、そういったレトロな風景が広がる市街地の中心部にある場所です。ボロボロになったコンクリート製(?)の鳥居があって、灯篭があって、賽銭箱の置かれた「本殿」っぽい建物がある点は明らかに神社然としているのですが、「鎮守の森」を形成するような鬱蒼とした木々に取り囲まれておらず、妙に開放感があってまちなかに広場のように溶け込んでいるこの空間が気になったのです。

ここは「神武天皇遥拝殿」といって、明治14年に街の発展と町民安寧幸福の守護を願い、真壁の氏神である「五所駒瀧神社」の分社として創建されました。「遥拝殿」とは「遥か彼方から拝むための建物」という意味があり、日本の初代天皇とされる神話・伝記上の人物「神武天皇」を祀る橿原神宮と五所駒瀧神社、そして常陸国一宮である鹿島神宮を拝むことができるようで…結局ここが神社なのか神社でないのかは、私にはよくわかりませんでした。

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2020.04.08

101-20 JR日光駅(栃木県)

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日光東照宮や中禅寺湖などを擁する日本有数の観光地・日光は、明治中頃から昭和初期まで各国の大使館別荘や皇族・政財界の方々の別荘が造られ、国際的な避暑地として夏の社交場となっていました。当時は東京からの交通手段としてJRの前身である国鉄が使われていたので、この駅は日光の表玄関として重要な役割を果たしていたわけです。

大正元年に落成したこの2代目駅舎は、そういった各界のVIPを迎え入れるのにふさわしい気品と繊細さを漂わせる、木造2階建てと小さいながらも堂々たる白亜の殿堂で、外構の植木までも美しく刈り込まれています。ゴージャスなのは外観だけではなく、現在は駅ギャラリーとして一般公開されている2階はかつての一等車利用者用待合室で天井からはシャンデリアが吊り下がり、1階には大理石製の暖炉を備えた貴賓室(通常非公開)もあります。「関東の駅百選」に選ばれ、「近代化産業遺産」の認定を受けているという評価も納得です。

なお現在JRの駅には東京方面からの定期直通列車がなく、都心から東武鉄道の特急列車に乗って隣接する「東武日光駅」に降り立つというルートの方が優勢となっています。利用者の少ないこちらの駅の方は静かでゆったりとした時間が流れている分、かつての古き良き時代への思いを存分に馳せることができます。

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2020.04.07

101-19 巴波川沿いの風景(栃木県栃木市)

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県と同じ名前でありながら県庁所在地ではない栃木市は、江戸時代に日光例幣使(れいへいし)街道の宿場町として、そして巴波(うずま)川を利用した江戸との舟運で栄えた商都で、戦災を逃れたため市街地には歴史的な寺院の他、江戸時代から明治時代にかけての蔵や商家などが多く残る「蔵の街」として知られています。埼玉県川越市や千葉県香取市佐原と並んで「小江戸(こえど)」と呼ばれて観光地としても人気があり、この巴波川には遊歩道が整備されています。

…という解説がどうでもよくなるほどのインパクトを風景にもたらしているのが、川の上空一面を埋め尽くす大量の鯉のぼりですが、これは毎年3~5月に、延長約600mにわたって1000匹以上が吊るされる…という恒例のイヴェントのようです。

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2020.04.06

101-18 城山公園(栃木県佐野市)

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平山城(平野の中にある山、丘陵等に築かれた城)である佐野城跡に整備された公園です。お寺の境内を思わせるような小ぢんまりとして居心地の良さそうなこの公園ですが、JRと東武鉄道が接続する市の代表駅・佐野駅のすぐ北側に位置しており、2003年に橋上化された駅舎の自由通路と同じレヴェルで直結しているので、駅を出るとすぐにこのようなのどかな空間が現れ、びっくりします。

さて、実は今日4月6日は当サイトにとって記念すべき日でして…。

それは私が初めてブログを開設し記事を投稿したのが14年前の今日、ということもあるのですが、それ以上に、今日栃木県内の風景をご紹介したことで、14年かけてようやく日本全国47都道府県すべてを当サイトで網羅することになったからです! 栃木県は私にとってそれほど遠い所ではなく、日光や那須といったメジャーな観光地もあってこれまだに何度も訪れてはいたのに、なぜ今まで取り上げる機会がなかったのか自分でも不思議です。別に避けていたつもりもなかったのですが。そんな特別な日にお届けするのが(いい意味で)こんな何でもない場所でいいのか、とも思いますが…。

というわけで、せっかくなのでもう少し栃木県内から記事をお届けしていこうと思っています。

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2020.04.05

101-17 本町通りの街並み(群馬県桐生市)

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群馬県東部に位置する人口約11万人の桐生市は、奈良時代から絹織物の産地として知られ、「桐生織」は京都の西陣織と並び称されているそうです。絹織物業の繁栄により蓄えられた富は、市内に多くの文化財を残し、桐生の中心商業地であるここ「本町通り」には幕末から昭和初期にかけての歴史を感じさせる建物が多く並んでいます。その一つである画面右側の蔵の隣に建つ事務所は大正3年に建てられたもので、国登録有形文化財となっているようです。

懐かしさを感じるようなレトロな街並みが、電線を地中化したり舗装を高質化したりといった観光向けの景観整備が行われるわけでもなく、ありのままに放置されている自然体な生活感が逆にこの街の魅力なのかもしれません。

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2020.04.04

101-16 臨江閣(群馬県前橋市)

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前回(101-15)ご紹介した前橋公園内にある近代和風の木造建築で、本館・別館・茶室からなる国指定の重要文化財です。明治17年、前橋の企業や町民有志の協力と募金により迎賓館として建てられ、明治天皇の他数多くの皇族が滞在しました。「臨江」とは「利根川に臨む」の意味だそうです。

この建物は「総2階建て」というか、城郭建築のように上へいくほど狭くなるのではなく、1階と同じ面積がそのまま2階にも立ち上がっているので、直立する壁面が高さを感じさせてくれる、どこか和風っぽくない建築です。

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2020.04.03

101-15 前橋公園(群馬県)

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前回(101-14)の記事で触れたとおり、かつての前橋城の跡には県庁舎(画面右奥の超高層ビル)警察本部(画面中央奥のビル)等が立地していますが、その他は面積約18.5haという広大な「前橋公園」となっており、日本庭園や遊園地等も設けられています。元々の城が利根川と広瀬川を外堀として築かれていたということもあって公園は川に囲まれており、「鶴舞う形」と言われる群馬県域を象って造られた「さち池」をはじめとするいくつもの池があるので、県庁舎の展望台からはこの公園が緑と水で描かれた複雑な模様に見え、面白いです。

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2020.04.02

101-14 県民広場(群馬県前橋市)

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群馬県内で現在最大の人口を有する都市は高崎市で、新幹線の駅がある交通の要衝かつ商業の中心ですが、県庁所在地は前橋市であり、こちらは国の出先機関や県の施設、医療施設が集中する行政・文化の中心となっています。規模でもほぼ拮抗する両市の関係は合併前の埼玉県旧大宮市と旧浦和市のそれに例えることができます。もっと言えば、高崎をニューヨークだとすると、前橋は群馬におけるワシントンDCのような存在なのではないでしょうか。

そんな群馬県庁はかつての前橋城の本丸跡に立地しており、ケヤキ並木と広い歩道を備え都市の骨格をなしている幹線道路・本町通り(画面右側)がその正面に突き当たっています。約6,000㎡の広さを持つ画像の「県民広場」を中心として、この背後には1999年に竣工した新庁舎と県議会、1928年に建設された「昭和庁舎」が、左側には警察本部が建っています(次回の記事でもご紹介する予定です)。正面に見えるルネサンス様式の洋風建築は公会堂である「群馬会館」で、「昭和庁舎」とは瓜二つの外観です。そして地上33階建ての新庁舎は「県」庁舎としては日本一の高さで、上層階の展望台やレストランは群馬県民のみなさんにとって格好のレジャー・スポットとなっているようです。さらに周辺には前橋市庁舎や地方裁判所、地方法務局、日銀支店、銀行協会といった施設が集中し、一帯は群馬県内随一の官庁街として機能しています。

このようにワシントンDCに例えてもあながち大げさとも言えない、壮大で堂々としたシヴィック・センターの景観は、明治初期に前橋の生糸商人たちが輸出で成した莫大な財力を以って、熱心に県庁の誘致活動を行った結果造り上げられたもののようです。

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2020.04.01

101-13 湯畑周辺の街並み(群馬県草津町)

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草津温泉の「湯畑」については、以前にも当サイトで取り上げておりますので、そちらもご覧いただければ幸いです。温泉街の中心に「湯畑」という広場的な空間を持っているのが、草津という街の最大の魅力なのではないかと、私は感じています。

平成29年度の国土交通省「都市景観大賞」(都市空間部門)に選ばれた、そんな「湯畑」を取り囲む街並みには、懐かしさを感じるようなどこか緩やかな一体感が感じられます。たとえば、この画像に映る建物群は、高さは異なりますが屋根の勾配は同じで、同じように「湯畑」に妻側を見せています。ファサードのデザインは歴史ある温泉街に似つかわしい和風ばかりかと思いきや、ハーフ・ティンバー様式のような洋風のものも混じっていますが、草津温泉は明治時代にドイツ出身のお雇い外国人エルヴィン・フォン・ベルツ博士によって世界に紹介されたという、古くからの国際的観光リゾートとしての側面もあるので、それほど違和感はないのかもしれません。

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