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2020.07.28

102-7 甲府駅北口の風景(山梨県)

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山梨県の中心、甲府駅の北口では、かつて機関区であった東西に細長い線路沿いの土地が再開発され、平成1922年にかけて地方合同庁舎、消防署、自転車駐車場、NHK放送局、駅前広場、図書館、歴史公園(甲府城の門と石垣を当時の工法で復元)…等、様々な公共公益施設がオープンしました。画像はそんな駅北口周辺の風景です。

まず、手前に広がるオープン・スペースですが、これは駅前広場と一体的に整備された約5,000㎡の「よっちゃばれ広場」です。「よっちゃばれ」とは「寄っておいで」「集まれ」などを意味する甲州弁で、多くのイヴェントが開催されています。

その広場の一角に配置されている洋館風の建物は「甲府市藤村記念館」です。全国に「藤村記念館」と名づけられた施設は少なくとも3つあるようで、その内岐阜県中津川市の馬籠宿と、長野県小諸市にあるものは詩人・小説家である島崎藤村(とうそん)に関連するものですが、こちらは明治時代の山梨県令・藤村(ふじむら)紫朗の功績を讃えたものです。彼は県内において擬洋風建築(西洋建築に似せて建てられた建築物)の建設を推進し、その数は100件以上にのぼったと言われています。これらは「藤村式建築」と呼ばれていますが、個人名が付いた建築様式というものは他に例を見ないのだそうです。その代表作とされ、国の重要文化財にも指定されているこの建物は、明治時代初期に「旧睦沢(むつざわ)学校校舎」として建てられたもので、1966年に武田信玄を祀る甲府市内の武田神社境内に移築され歴史や民俗の教育資料館として利用されてきた後、甲府駅前の再開発に合わせてここへ再移築され、平成22年より市民や観光客の交流施設として一般公開されています。

そしてその奥に建つのが、山梨日日新聞、山梨放送等、県内のマスメディア関連企業から構成される山日YBSグループ各社が入居し、拠点としている「山梨文化会館」です。世界的建築家の丹下健三氏が設計し1966年に竣工したこの建築は、自身が代表作の1つとして挙げているほどの作品として国内外に知られています。外観は建ち並ぶ直径5m・計16本の円柱が印象的ですが、その内部はエレベーターや、螺旋階段、トイレ、空調設備といった、建築用語でいうところの「コア」として機能しています。構造的にはこの円柱と梁で地上8階・地下2階のビルを支えている点が最大の特徴で、フロアを仕切る壁などを配置する必要がないため、4階に「空中庭園」を設けるなど空間デザインの自由度が高く、円柱や梁などを追加することで増改築も容易となっています。実際1974年には5~8階部分の増築を行い、延床面積を3,000㎡ほど拡張しています。

情報量が多い記事になってしまいましたが、このように甲府駅北口は、中世・近世の城郭、明治期の洋館、戦後のモダニズム建築、平成に建てられた公益施設群、さらに次回取り上げる予定の商業施設「甲州夢小路」も含め、各時代の個性的な建物をコレクションして整然と展示した「屋外建築博物館」のような様相を呈しており、興味深いです。

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