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2021年1月

2021.01.30

104-10 天理駅前広場コフフン(奈良県)

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駅前広場に子供のための遊び場が造られた、しかもそれが巨大なアート作品のようで、景観としては子供っぽくなっていない、そんな事例として紹介され、インターネットで画像を検索してみたらとてもよさそうだったので、奈良市から足を延ばしてわざわざ訪れてみたのがここ天理市で、宗教法人・天理教の本拠地として知られる街です。

「コフフン」という愛称がつけられたこの駅前広場ですが、結論から言えば、どうやっても美しく見えず、がっかりしました。広場の周りを美しくない雑居ビルが取り囲んでいて、地上レヴェルで写真を撮ろうとするとどうしてもその乱雑な背景が入ってしまうというのがその主な理由です。近くの立体駐車場の屋上や駅のプラットフォームといった少し高い所から撮ってみてもあまり変わらず…。改めてインターネット上の画像を確認してみるとかなり上空から撮ったものがほとんどのようでした。市民の憩いの場としてはよく利用され、親しまれているようですが、カメラを向けようという気にはならず…。「いい景観」と「美しい景観」は違うのかもしれない、景観の美しさなんて誰も求めてないのかな…などと最近改めて感じるようになっています…。

2017年にオープンしたこの「コフフン」は、約6,000㎡という広さを持つJR・近鉄の天理駅前広場に、市内に約1,600点在する「古墳」を想起するような、野外ステージや大型遊具、カフェやレンタサイクル、観光案内などの機能を備えた円形の造形を複数組み合わせて配置し、起伏に富んだランドスケープをつくることで、山々に囲まれた奈良盆地という地理的特徴を表した…のだそうです。

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2021.01.28

104-9 猿沢池のライト・アップ(奈良市)

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「猿沢池」と言えば、確か古文の教科書に出てきたような…どんな話だったかは全くもって憶えていないのですが…奈良公園内にある周囲360mという小さな池で、興福寺が行う「放生会(ほうじょうえ・捕獲した魚等を放し殺生を戒める宗教行事)」のために749年に造られました(さすがに奈良の歴史の古さは他の街とは桁が違う!)。寺は前回(104-8)ご紹介した三条通りを挟んだ北側に位置し、木々の影には五重塔が隠れています。水面に塔と湖畔の柳が映るその姿は評判が高く、池の上空に月が出る「猿沢池月」は古くから「南都八景」(奈良市の東大寺・興福寺周辺に見られる優れた風景)の一つに選ばれています。

そんな名勝の魅力を活かすべく、猿沢池では通年でライト・アップが行われているようで、三条通りに沿って等間隔に立ち並ぶ柳の木々がイエローとグリーンの光で照らされ、その姿を水面に映しています。私が訪れた夜の猿沢池はほの暗く、静かで、涼しく、秋の深まりを感じる風景でした。

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2021.01.26

104-8 三条通り(奈良市)

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前回(104-7)ご紹介したJR奈良駅から奈良公園までの約1.2kmにわたって奈良市の中心市街地を東西に貫く目抜き通りです。沿道には興福寺や猿沢池(次回取り上げる予定です)といった観光名所があり、春日大社の参道ともなっていて、並行する国道369号同様、東へ向かって身体が負担を感じない程度に微かな傾斜のついた上り坂となっています。この通りは古くは平城京の三条大路にあたり、つまり古代からの都市軸を受け継いでいることになります。

ここは奈良市を代表する商店街として、地元向け老舗商店、金融機関、ホテルなどが建ち並ぶ一方、観光客向けの土産物店や食べ歩きのできる飲食店等も多く、沖縄・那覇の国際通りのように華やいで、浮かれた雰囲気も感じられます(画像は早朝のものなので店が開いておらず、人通りもないですが)。

この通りでは近年、中心市街地におけるシンボル・ロードという位置づけにより、歩行者の安全と、景観に配慮した整備が行われ、無電柱化工事や沿道施設の景観規制も進められました。通りの西側500m弱のこの画像の区間においては、道路幅員が8mから16mに拡幅されましたが、車道は一方通行の1車線のみとし、その分両側の歩道を4.5mずつ確保して、かなりの余裕を持たせています。歩道と車道の間に段差はほとんどないので、通りの反対側へ渡る際に感じる心理的なバリアがありません。というか、日曜祝日の昼から夕方にかけては全面的に車両通行止になっているようです。歩道と車道の一部は大きめの天然石で舗装されています。また、ボラード(車止め)は可動式で、祭りの行列の際には1.5m外側に動かして車道を拡げているそうです。ここが完全な歩行者天国となれば、当サイトでかなり昔にご紹介した米国・サンタモニカの「サード・ストリート・プロムナード」のような質の高い商業空間ができあがるのでは、などと感じました。

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2021.01.24

104-7 JR奈良駅の夜景(奈良市)

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「けいはんな」の「けい」から「な」へ移動して、奈良市内の風景のご紹介です。

奈良市中心部へのアクセスは近鉄奈良駅の方が便利で乗降客数も多いのですが、JRを利用する場合はそこから1kmほど離れたこちらの駅が玄関口となります。

現在駅周辺は高架化されており、画像左奥に3代目の駅舎がありますが、2003年までは手前の仏教寺院を思わせるエキゾティックないでたちの、いかにも「古都!」という感じの建物が駅舎として使われていました。「近畿の駅百選」に選ばれ、近代化産業遺産にも認定されているこの駅舎は1934年に2代目として完成したもので、方形屋根に相輪(仏塔などの屋根から突き出した金属製の装飾)を持つ和洋折衷様式の建築となっています。高架化事業にともない取り壊される予定だったのですがその歴史的価値から反対の声が根強かったこともあり、曳家によって元の位置から18m移動されたうえで保存されることとなりました。現在は市の総合観光案内所として活用され、広々とした東口駅前広場の一角を占め存在感を放っています。そして夜は障子を思わせる格子窓から漏れるその灯りが暖かく感じられます。

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2021.01.18

104-6 精華大通り沿いの風景(京都府)

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前回(104-5)に引き続き、けいはんな学研都市、精華・西木津地区の風景です。

精華大通り沿いには数多くの大手企業の研究施設が立地しています。そのほとんどが関西を発祥とする企業で、それが関西財界一丸となってこの学研都市を発展させようという姿勢の表れなのか、それとも「ご近所づきあい」で仕方なく進出しているのか、その辺の事情はよくわかりませんが…。それはともかく、これらの施設は通り沿いの広い敷地に、道路や両隣から十分な距離をとって、野外美術館の彫刻のようにお行儀よく陳列されているように見えます。

画像のこの施設は、比較的最近建てられたある大手金融機関の事務センターです。集客を必要としない建物の形態は単純な立方体で外観には何の飾り気もなく、無機質でそっけない印象がこの人工的な街の風景を象徴しているように思えます。

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2021.01.16

104-5 けいはんなプラザと精華大通り(京都府)

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京都市内から南下して、「関西文化学術研究都市」、「精華・西木津地区」の「精華大通り」沿いの風景を取り上げようと思います。順を追って解説していきましょう。

「けいはんな学研都市」という愛称で、あるいは単に「学研都市」と呼ばれる「関西文化学術研究都市」は、京都・大阪・奈良の3府県境周辺の丘陵地帯において、1987年に公布・施行された「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づき、創造的な学術・研究の振興を行い新産業・新文化などの発信の拠点・中心となることを目的として建設・整備が進められている新都市で、東の筑波研究学園都市とともに国家的プロジェクトに位置づけられています。総面積は約15,000haで、その中に12の「文化学術研究地区」(約3,600ha)がクラスター(残念な形で広く知られるようになった用語ですが、ブドウなどの「房」を意味しています)型に分散配置され、現在150を超える研究施設、大学施設、文化施設などが立地して約1万人の就業人口(研究者、職員等)を有するとともに、住宅地としても開発され複合的な都市づくりを目指しています。

その学研都市において中心地区と位置づけられているのが、精華町と木津川市にまたがる総面積506ha、計画人口25,000人の「精華・西木津地区」で、総合公園の「けいはんな記念公園(京都府立関西文化学術研究都市記念公園)」や「国立国会図書館関西館」といった開発の目玉になるような施設が立地しています。画像に映っているのも1993年に竣工・オープンした学研都市の中核的施設として、文化・学術・研究や新産業の交流・発展の場を提供している「けいはんなプラザ」で、オフィス・ラボスペース、貸しホール・会議室、ホテルといった機能を有し、巨大な日時計を中心とした広場はイヴェントの開催に利用されているようです。

「都市景観100選」にも選定されている精華・西木津地区を東西に貫くメイン・ストリートが、約1.5kmにわたってメタセコイア並木が続く幅員50mのこの「精華大通り」で、片側2車線の車道に加え、画像のように歩道がゆったりと確保され、水景施設も造られています(水は流れておらず、雑草が生え放題ですが…)。新しく開発された緑豊かで低密な都市の、車ばかりが通り過ぎて人の姿がほとんど見えない、だだっ広くひたすら真っ直ぐに伸びる道を何百mも歩き続けて、精神的に辛かったことが私はあるのですが、同じような条件のこの通りを端から端まで歩いてもそれほど苦痛ではなかったのは、訪れた季節が秋で、木々が所々色づいていて目を楽しませてくれたからでしょうか。

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2021.01.14

104-4 宇治川派流と月桂冠大倉記念館(京都市伏見区)

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今回は京都・伏見の風景をご紹介いたします。

「伏見…」といえば「…稲荷大社」が有名ですが地域の中心はそれよりさらに南で、京都の中心部からは数km南下した所にあります。1931年に京都市内に編入されるまでは独立し、異なる歴史を歩んできた都市でした。安土桃山時代に豊臣秀吉が伏見城を中心とした城下町を整備して一大政治都市となり、江戸時代には淀川水運の重要な港町、旧大坂街道の宿場町として栄えました。幕末期に坂本龍馬をはじめとする討幕の志士たちが活躍した地としても知られ、彼が定宿としていた「寺田屋」が現在も残っています。街なかには水路が張り巡らされ、良質な地下水に恵まれたことから酒造りが盛んで、昔ながらの酒蔵や船宿が建ち並び、誰もがイメージするようないわゆる「京都」とはまた違った雰囲気があります。

画像は、そんな伏見を代表するような風景です。手前の「宇治川派流」は伏見城築城の際、建築資材を運ぶために造られた運河で、桜の名所となっているようです(私が来た時はまだ咲いていませんでした)。水辺に浮かんでいるのは「十石舟(じっこくぶね)」で、江戸から明治にかけて大坂と伏見の間を行き来した輸送船を屋形船仕様とし、伏見の街を巡る遊覧船として運航しているものです。そして対岸の、煙突と連続する三角屋根と色褪せた板壁がいい感じの建物は、有名酒造会社の企業博物館である「月桂冠大倉記念館」で、1909年築の酒蔵は近代化産業遺産の認定を受けています。

こんな絵になる場所が観光客で混雑することもなく(シーズン・オフだったからかもしれませんが)、普通の市街地の中にさりげなく、ひっそりと佇んでいるところに、長い歴史を有する街の奥深さを感じます。

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2021.01.12

104-3 鴨川デルタ(京都市)

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滋賀県に続いて、京都府・京都市内の風景です。

北東から流れる「高野川」と北西から流れる「加茂川」(画像右側)がY字型に合流して、鴨川が始まる場所には世界遺産「古都京都の文化財」の1つとして登録されている下鴨神社があり、南に向かって鋭角に突き出したその先端部分が公園となっています。ここがいわゆる「鴨川デルタ」です(河口にできた三角州でもないのに形状だけでこう呼ばれているのはちょっと違和感がありますが)。

地図上で見ているだけでも京都の街にとって象徴的な場所のような印象を受けますが、実際に訪れると風光明媚な市民の憩いの場となっており、近年はいくつかの映画のロケ地やアニメの舞台としても有名なのだそうです。画像をよく見ると水面すれすれに飛び石が置かれ、多くの人が川を渡って楽しんでいるのがわかるかと思いますが、これは1993年に川底の保護と親水空間の形成を目的に設置されたという比較的新しいもので、83基並んでいるそうです。

鴨川は京都という国内屈指の大都市を流れる河川ですが、河原に等間隔でカップルが並んでいたり、川沿いの料理店や茶屋が川の真上に「納涼床(川床)」を設けていたりと、人々の生活にとって極めて身近な存在であるように感じられます。市街地との高低差や川幅、水量等が大きすぎず、人間にとってちょうどいいスケール感だからなのでしょうか。

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2021.01.06

104-2 びわ湖テラス ノーステラス(滋賀県大津市)

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前回(104-1)ご紹介した「びわ湖テラス」が好調を受けてその規模を2倍に拡張し、2018年に誕生した新エリアがこの「ノーステラス」です。前回の「グランドテラス」からは琵琶湖を真正面に望めましたが、こちらは建物の脇から湖の北側の眺めが楽しめ、天気がいい日には遠く北アルプスや中央アルプスまで見えることもあるそうです。私が訪れた時は「グランド…」に比べてこちらはやや人が少なく、より静かでプライヴェートな感覚を楽しめました。そして「インフィニティラウンジ」とのサインが出ていますが、ハイ・シーズンにはここにパラソルのついた限定20席、45分間完全予約制のソファー席が設けられ、食事とドリンクとセットという料金体系になっているようです。

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2021.01.04

104-1 びわ湖テラス グランドテラス(滋賀県大津市)

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関西圏の風景を、まずは滋賀県からご紹介してきます。

日本一広い琵琶湖を遥か眼下に望む絶景スポットに柵はなく、足元にインフィニティ・プールのような水盤が張られてそれがそのまま湖面とつながっているかのように感じられ、さらに湖と空の境目もわからないくらい溶け合って、どこまでも透き通った「青」が広がるこの世のものとは思えない神秘的な光景です。

ここ「びわ湖テラス」は、標高1,108mの打見山頂に設けられたリゾート施設で、「グランドテラス」はそのシンボル的な空間です。全体にウッド・デッキが敷きつめられる中、ゆっくりと散策したり、ソファーやチェアでくつろいだり、カフェで食事をしたり、何より思い思いのポーズをとって写真撮影を楽しんだりできるようになっています。元々ここは「びわ湖バレイ」という、京阪神地区から最も近く関西では老舗的存在の有名なスキー場で、ジップ・ライン、アスレチック、ドッグ・ランといったシーズン以外も楽しめるアクティビティも充実していたのですが、2016年にこの施設がオープンすると「フォトジェニックな写真が撮れる」とインスタグラム等で話題となり、来場者数が大幅に増え、現在も人気を博しています。眺望抜群という恵まれた条件の立地に、SNS映えする今風の空間を設えるという、時流を捉えた企画力の勝利といったところでしょうか。

ちなみに、この山頂には日本最速の全面ガラス張りロープウェイでアクセスするのですが、リゾート施設そのものも以前ご紹介した静岡県の「富士見テラス」と同じロープウェイ・メーカーの関連会社によって運営されているようです(名前も似ていますね)。

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2021.01.01

2021年の新シリーズ 「関西の風景」

あけましておめでとうございます。

昨年は全世界的に悪夢のような1年でしたが…今年はそれより少しでもマシな年になることを願っています。そして、一日も早く安心して旅に出られるような世の中になってほしいです。特に、海外に…。

さて、年が新しくなったところで、当サイトも新しいシリーズ「関西の風景」をスタートさせようと思います。

東京近郊に生まれ、育ち、暮らしている私にとって、「大阪へ行く」ということは、ちょっとワクワクするイヴェントです。これまの人生で訪れる機会がそれほどなかった未知の世界で、関東とは明らかに異なる独自の文化を持ち、国内で唯一東京に匹敵する大都会を巡ることは、たとえば韓国のソウルとか(行ったことはないのですが…)、近場の外国の首都を旅する感覚にどこか似ているような気すらするのです。それこそ、パスポートの要らない気軽な海外旅行って感じでしょうか。関西圏は都市部ということもあり、鉄道が発達していて電車の本数が多いので、あちこち廻るのにいちいち時刻表を気にしなくて済むのもいいな、と思います。

そんなわけで2021年の前半は、首都圏とは違うもう一つの大都会・大阪を中心とする関西圏の都心と郊外の風景を、1月4日(月)より、たっぷりとのんびりとご紹介していく予定です。

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