72-3 チェックポイント・チャーリー(ドイツ・ベルリン)
それなりに歴史のある街であれば、その風景は何かしら移り変わっているものです。今、目の前に広がっている風景の中に、失われたかつての風景を思い起こさせるような何らかの「仕掛け」があると、足を止めて、その街の歴史についていろいろと思いを巡らせてみたくなります。
大通りのど真ん中に、唐突に、名もなき若いソ連兵(実在の人物だそうです)の顔写真がデカデカと掲げられている、異様で、不吉な雰囲気の漂うこの場所には、かつて「ベルリンの壁」で隔てられた東西ベルリンの間を往来する数少ない検問所がありました。画面右側には英・仏・露の3ヶ国語でその事実を示す看板が残されており、このそばには「壁博物館」があります。
ベルリン市民にとって、その存在はあまりにも忌まわしい記憶だったためか、街なかから「壁」は跡形もなくすっかり消え去っていて、今ではそれがどこにあったのか全くわからないほどです。ここは、目を背けたいけど、決して忘れてはいけない、語り継いでいかなければならない歴史の現実に出逢える、貴重な場所なのです。
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