J-12 近畿

2017.04.19

92-10 「丹後の海」(京都丹後鉄道)

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まず、この車両を運行している「京都丹後鉄道」についてですが、舞鶴や天橋立、兵庫県の豊岡市などへのアクセスを担ってきた第三セクターの鉄道会社「北近畿タンゴ鉄道」から、ツアーバス大手として知られたウィラーグループが2015年に上下分離方式(インフラの管理と、運営を行う組織とを分離し、会計を独立させる)により事業を継承したことで話題になりました。

次にこの「丹後の海」ですが、北近畿タンゴ鉄道時代「タンゴ・ディスカバリー」と呼ばれていた車両をリニュアルしたもので、1990年代以降、JR九州において次々と個性的な内外装の車両を手がけてこられ(世間的に最も有名なのは、贅を尽くしたクルーズ・トレイン「ななつ星in九州」でしょうか?)、現在では利用者減に悩む全国の地方私鉄から救世主として引っ張りだことなっている、水戸岡鋭治氏の設計・デザインという点が大きなポイントです。

丸みを帯びた深いブルーの外観を持つこの車両の内装は、天井や床等にふんだんに木材が使われ、座席に張られたモケットは1両の中でも複数の色や柄があり、木製の肘掛けも付けられているという贅沢なものです。中でも私が最も気に入ったのは、暖簾とパーテーションによって仕切られた(鉄道の車内に暖簾が懸かっている、という点自体、既に遊び心満点ですが)、運転室のすぐ後の大きな展望窓を持ったこの共有スペースです。わずか2両の編成で運行している狭い車内に、こんなゆったりとしたラウンジのような席が設けられているのが魅力的で、旅がより楽しくなります。

 

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2017.04.10

92-3 梅田阪急ビル南北コンコース(大阪市)

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関西では圧倒的なブランド・イメージを誇っている阪急電鉄は、創立時から鉄道を中心とした都市開発、流通事業を一体的に進め、高級住宅地、遊園地、野球場、高等教育機関等を沿線に誘致し鉄道事業との相乗効果を上げるという、日本の私鉄経営のモデルを築き上げ、大阪・梅田に世界初のターミナル・デパートである阪急百貨店を開業させました。その駅と百貨店を結んでいたかつてのコンコースは、高い天井にステンドグラス、壁画やシャンデリアを備えたヨーロッパの大聖堂の回廊や宮殿を思わせるような荘厳な空間で、首都圏在住の私は初めて見た時圧倒され、関西経済の底力を感じたものですが、それっきり二度と目にする機会もないまま建替えによって解体されてしまっていたのでした。

今回ご紹介する画像は、その建替えによって近年新しく生まれた2層吹き抜けのコンコースです。旧コンコースが持っていたゴージャスさのエッセンスは受け継ぎながらも、巨大な天井の照明や何列にも並ぶダウンライトがより明るく、きらびやかな空間を生み出しています。そしてただ新しさに走るのではなく、所々に格子状やアール・ヌーボー風の形の窓を取り入れるなど、レトロでオリエンタルなテイストが伝統の重みのようなものも感じさせてくれています。

 

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2017.04.09

92-2 JR大阪駅(大阪市)

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ヨーロッパの大都市の昔ながらのターミナル駅には、「トレイン・シェッド」と呼ばれる、複数のプラットフォームと線路を覆う大屋根がよく見られます(残念ながら当サイトのバックナンバーではなかなかよい事例がご紹介できないのですが)。発着する列車や行き交う乗客たちの喧騒がこだまする大屋根の下のその壮大な空間は旅情をそそるもので、日本にはどうしてそういった大屋根を持った駅がないのだろう、と常々物足りなく感じていたのですが、それがついに大阪駅において実現したと知りました。それも欧米の真似事の伝統的なドーム屋根ではなく、自然光が差し込む直線的な片流れの屋根という21世紀らしいスタイルで。これは是非見に行かねば、と足を運んだわけです。

JR大阪駅は線路が東西に貫き、その両側南北に駅ビルが建つ、という構造になっています。線路の上に橋上駅舎が跨り、その上に画面左側の「時空(とき)の広場」があり、南北の駅ビルを繋いでいます。背後には棟数で東京・新宿をも凌ぐと言われる梅田・中之島の高層ビル群のスカイラインが望め、このレヴェルでも十分線路の遥か上空にいる気分が味わえるのですが、そのさらに上部に、最も高い地点では約50mに達するという大屋根が掛けられたのです。

それに伴って、各プラットフォームに掛かっていた上屋は端部を残して撤去される…はずだったのですが、横から雨が吹き込むことが判明し、改めて透明なガラス製の屋根が設置されたのだそうです。…っていうか、こんだけ屋根が高けりゃ、そりゃあ雨だって入ってくるだろ。気づけよ。せっかくのトレイン・シェッドが台無しじゃん…と思いましたが(苦笑)。

 

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2017.04.08

92-1 うめきた広場の夜景(大阪市)

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西日本最大の駅であるJR大阪駅の北口には、かつて「梅田貨物駅」を中心とする約24haの「梅田北ヤード」が広がっていました。そんな「大阪最後の一等地」の内、東側約7haが「グランフロント大阪」として先行開発され、4棟の高層ビルにショッピング・モール、レストラン・カフェ、オフィス、ホテル、コンベンション・センター、劇場、分譲住宅といった都市機能が複合的に導入されました。2013年に開業したこの再開発地区の入口部分に設けられたのが面積約1haのこの「うめきた広場」です。

この広場は駅前によくありがちなバスとタクシーで埋め尽くされた交通広場ではなく、純粋に歩行者のための広場で、広場内にある地上2階建ての商業・多目的ホール「うめきたSHIP」の建築も含め、滝も流れる広い空間全体が現代アートのようなランドスケープとなっています。正面に見える2011年オープンの駅ビル「大阪ステーションシティ」の、ダイナミックな吹き抜けを持つ「ノースゲートビルディング」が、フランス・パリ郊外の新都心「ラ・デファンス」の新凱旋門(グランド・アルシュ)のようにも見えます。そのアーチの内側の空間を縦に、横に、そして斜めに、ブリッジや階段、エスカレータ、エレベータが3Dに行き交っている様に近未来が感じられます。

 

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2009.03.07

71-6 夢京橋キャッスルロード(滋賀県彦根市)

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ここは観光名所である彦根城に隣接し、かつては市の商業・行政の中心として栄えていた地区だそうです。城下町が建設された当時の6mの幅員しかなかった通りを18mに拡幅するにあたり、沿道にあった町屋64軒全ての建て替えが必要となり、このような城下町らしい街並みが再生されました。

私の中では、昔ながらの日本的な街並みというのは保存されるべき過去のものでしかないという先入観があったのですが、ここでは両側2車線に停車帯、高木が列植された植栽帯、ゆったりとした歩道を備え、広々とした近代的な街路の両側に伝統的な和風の街並みが再現されていて、「和」と「モダン」という、都市の風景としてなかなか両立し得ないと思っていた要素が見事に調和しています。停まっている真っ赤な外車が街並みの中でよく映えていますね。外国の街並みをコピーするだけでなく、こうした日本的な文化を生かした新しい街並みを創造していこうとする試みは、是非見習ってほしいものだと思います。

また、ここで特筆すべきことは、かつては商業を営む家が3割しかなかったという程にまで衰退していた商店街が、積極的なテナント誘致を行った結果、商店の割合が8割にまで回復したという活性化の取り組みです。そんな低迷していた時代があったということが信じられないくらい、観光客にとって食べ歩きや土産物のショッピングが楽しめる魅力的な商店街としてすっかり生まれ変わっていました。

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2009.01.20

68-2 なんばパークス(大阪市)

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段丘状の屋上庭園が設けられているのが特徴的な、旧大阪球場跡地を再開発して造られた大型商業施設です。

今回ご紹介する大峡谷の底のような風景の、両側の曲がりくねった壁面は、よく見ると横縞状にアース・カラー系で何色にも塗り分けられていて、断層地形をイメージさせます。ここに立った時私は、globe(エイベックス)の6thシングルIs this love1996年)のプロモーション・ヴィデオに出てくるアリゾナ州の大地を思い出しました。(どのくらいの方がわかってくださるでしょうか?)

ここを設計したのは、2008年2月頃を中心に当サイトでこれまでさんざん取り上げてきたジョン・ジャーディ氏です。そう聞けば、同じく彼が携わった東京・六本木ヒルズで似たようなデザインが見られる理由がよくわかるのではないかと思います。

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2008.12.22

66-5 新世界の食堂のファサード(大阪市)

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新世界は、大阪中心部の通天閣の足元あたりにあり、昭和の香りを強く漂わせる古くからの歓楽街で、東京で言えば、ちょっと浅草六区っぽい雰囲気が感じられます。

そんな街にあるこの食堂は、正面に巨大な黄金色のビリケンさんが鎮座していて、大阪の下町らしさを感じさせます。店先はたくさんの看板や提灯、幟で埋め尽くされ、まるで寄席の前のような賑やかさです。ただ、これだけたくさんの派手な物が並んでいるにもかかわらず、看板の色づかいやフォントの選択、全体の配置等はどこかバランスが取れていて、あまり下品な印象を与えないのは不思議です。

なお、当サイトは、基本的にお店の紹介を目的とはしておりません(というか、私は中には入ってもいません)。関心のある方は、画像に映っているお店の名前をたよりに、ご自分で調べていただくよう、お願いいたします。

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2008.11.27

64-7 坂本駅(滋賀県大津市)

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2両編成のワンマン列車がのんびりと走る京阪電鉄石山坂本(いしやまさかもと)線の終点で、古くより信仰の対象とされた比叡山の玄関口となる駅です。

・・・の割には、とても現代的で、都会的なデザインの駅舎です。改札口へと続く前庭のようなアプローチは非常に奥行きがあります。改札口付近には両端を上に反らせたような大屋根が、プラットフォームにはガラスの三角屋根が架かっています。駅舎の前に彫刻が置かれていることもあって、まるで有名建築家が設計した現代美術館のエントランスのような雰囲気を持つ駅舎で、「第1回近畿の駅百選」にも選定されています。

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2008.11.15

63-8 奈良公園・鷺池(奈良市)

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広大な奈良公園の南のはずれにあります。名所としてそれほど知られているわけでもなく、訪れる観光客の姿も少ないのですが、池の中央の浮御堂(うきみどう)とそこへと架かる橋の微妙なカーヴや、背後に見える山並みが美しかったので、取り上げてみました。

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2008.10.21

62-1 国道369号(奈良市)

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奈良市の中心部から、奈良公園のある西側へと延びる通りです。緩やかなカーヴを描くなだらかな坂道の先には、木がほとんど生えていない芝の丘・若草山が横たわっています。この広い通りを横切る架空線はありません。そして画面の左側には、奈良県庁舎等、頭頂部のデザインが印象的な建築が見えます。そうしたことから、ここでは自然と空に視線が行き、空の広さを感じられる心地よい坂道となっています。

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