J-14 山陰

2015.03.30

85-15 石見銀山・大森地区の街並み その2(島根県大田市)

8515sinso2

シリーズの最後に、大森地区の風景をもう一つお届けしておきます。

前回(85-14)の記事で、「誰も住む人がいなくなってしまったゴースト・タウンのよう」と書きましたが、ここでは民家や寺院の軒先に鉢植えの緑が置かれ、塀の内側からは松の枝が顔を覗かせ、空き地と通りの境界にはちょっとした生垣も設けられています。背後に迫る山の緑を集落に取り込んで潤いをもたらしているようで、確かにそこで人々が生活を営んでいるんだという息づかいのようなものが感じられる風景です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.03.29

85-14 石見銀山・大森地区の街並み その1(島根県大田市)

8514sinso1

いよいよ今回のシリーズの最終目的地に到着しました。2007年に世界遺産として登録されてから急速に知名度を上げた石見銀山(いわみぎんざん)です。

画像はその登録対象となっている、「大森銀山伝統的重要建造物群保存地区」の街並みです。観光客が多く訪れるようになって、それなりに飲食店や土産物屋等もあるはずなのですが、小雨降る平日の早朝の集落はひっそりと静まり返り、まるで誰も住む人がいなくなってしまったゴースト・タウンのようで、雨がよく似合う非常にわびさびが感じられる風景です。

ところで、ここでは通り沿いの建物がそれぞれ軒先に「天領」と書かれた行燈を吊り下げています。これは近世に幕府直轄の「天領」であったという事実を示すものなのでしょうが、そこまでアピールするほど重要なことなのかな、と思い、その執拗さ加減がちょっと不気味にすら感じてしまいました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.03.27

85-13 旧JR大社駅(島根県出雲市)

8513sintsj

出雲大社への参詣客輸送の一端を担っていたJR大社線の廃止にともない、1990年に役目を終えた駅が、25年を経た今でもそのままの姿で保存されています。

かつては東京からの直通列車が発着していた時期もあり、参詣者を乗せた団体臨時列車なども乗り入れていたため、プラットフォームは赤字のため廃止されたローカル線の終着駅のものとは思えないほど長く、団体客用の臨時改札口(画面左側、駅舎の手前)がズラリと並んでいます。

そして、出雲大社を模したと言われる木造平屋建ての駅舎は、老舗日本旅館を思わせるような堂々たる外観で、国の重要文化財および近代化産業遺産に認定されています。内部空間も素晴らしく、高く設計された天井から吊り下げられた大正風の灯篭型和風シャンデリアの数々や、骨董品を見るような凝った装飾の切符売場の意匠等に、鉄道が旅客輸送の主役だった時代の繁栄ぶりが偲ばれます。

そして現在…元々出雲大社の入口までやや離れた街外れに位置していた駅は、今となっては無駄にだだっ広い駅前広場の前にポツンと寂しく建っており、プラットフォームや線路敷は伸び放題の雑草に覆われ、線路が見えなくなるほどです。そんな、時が止まった古代遺跡のような風景には何とも言えない哀愁が感じられて、今は何もないこの場所にかつて一日何本もの汽車が出入りし(反対側のプラットフォームには蒸気機関車が静態保存されています)、乗客たちでごった返していた往時の姿を想像してみるのは、とても楽しい作業でした。私にとっては出雲大社そのものよりも、その玄関口として機能していたこの廃駅を拝めたことの方が意味のある体験だと思ったくらいです。

というわけで、今回のシリーズは、出雲大社境内の風景をご紹介することなく、次の目的地へ進むことにします(笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.03.26

85-12 一畑電車出雲大社前駅(島根県)

8512sinisi

鉄道で出雲大社にアクセスする際の最寄りとなる駅で、ここから正門鳥居までは徒歩5分程です。頭端式プラットフォームを持つ一地方私鉄の終着駅ということもあり、商店街の中に佇む一軒の洋館といった感じのこぢんまりとしたスケール感で、近年になって外壁が南欧風の明るい色に塗り替えられ、カフェ・レストランも併設されたりしているので、駅というよりは今風の洋菓子店のようにも見えます。

こんな小さな駅舎ではありますが、かつてこの街に存在していたもう一つの鉄道駅・旧JR大社線大社駅(次回取り上げる予定です)の重厚な和風建築に対抗するかのように、教会のような高いドーム屋根とステンドグラスを有する瀟洒な洋風建築として開設され、登録有形文化財建築、および近代産業化遺産にも認定されているという、歴史的にも価値の高い駅舎です。そういえば香川県の金刀比羅宮の最寄り駅は逆に、JR琴平駅の方が洋風建築で、私鉄の高松琴平電気鉄道・琴電琴平駅の方が和風建築でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.03.25

85-11 神門通りの松並木(島根県出雲市)

8511sinptj

鳥取砂丘からスタートして、西へ、西へと進んできた当シリーズもついに山陰観光最大の目玉、出雲大社までやってきました。今回ご紹介するのは、その表参道にあたる「神門通り」の風景です。まあ、神社としての知名度が全国区の割に、その参道は商店が少なく、あまり賑わっていない感じですが…。

この通りには松が並んで植えられていますが、風の影響か、それらが全体的に東(この画像では右)側に傾いているのが面白いです。また、東京の神宮外苑の銀杏並木のように、まったく同じような姿形の木々が並んでいるわけでもなく、もともとケヤキのように整った樹形ではない松の木々が、それぞれ思い思いに幹を曲がりくねらせているところが、元来自然をコントロールするという発想のなかった日本らしさを強く感じさせる風景だなと思います。ツリー・サークル(樹木の根元を保護する鋳物製の板)がなく、地面からそのまま幹が顔を出しているところも、ワイルドな生命力を感じさせてくれます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.03.23

85-10 宍道湖畔の夕景(島根県松江市)

8510sinsol

市街地が面する宍道湖に沈む夕日は松江の名物だそうです。観光協会のウェブ・サイトでは「宍道湖に沈む夕日の美しさは日本一」とうたっており、湖畔の「夕日スポット」がいくつか紹介されています。この画像を撮影した「島根県立美術館」もその一つで、1999年に開館したこの施設は、入場無料のエントランス・ロビーを湖に向かって全面ガラス張りにし、その前庭にあたる水際にはアートを配した芝生の広場を設けるなど、明らかに夕日の名所として育てるべく整備された感があり、「サンセット・セレブレーション」よろしく、日没が近くなるとこの一帯には多くの人々が集まってきます。

さざ波が打ち寄せる水際まで近づいて湖を感じられる、この芝生の広場そのものが心地よい空間ですが、芝が夕日によって黄金色に照らされ、風にそよいでいる光景はとても神々しいものです。大きなアートがあったり、湖にまさに浮かんでいるような松並木の島(嫁ヶ島)があったりするなど、夕日を背景にすると引き立つような「素材」があるのも、「夕日スポット」としての楽しみ方を多彩にし、魅力をより高めているように思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.03.22

85-9 カラコロ工房中央広場(島根県松江市)

8509sinkkw

「カラコロ工房」は、松江の中心市街地に立地する、かつての日銀松江支店の建物を改築・増築して使われている工芸館で、施設内には製造・販売一体型の工房の他、レストラン・喫茶店等も入居し、様々なイヴェントも開かれているようです。いかにも昔の銀行らしい、重厚な雰囲気を持った建物が壊されることなく、時代のニーズに合った形で再利用されるというのは、歓迎すべきことだと思います。画像の空間はボードウォークの広場として整備されていますが、建物外壁の色合いとよくマッチしているように思います。

余談ですが、画面左側の噴水や、画面右側の棟の窓の周りの石組みを見たとき、私はなぜか磯崎新さん が設計された「水戸芸術館」や「つくばセンタービル」を連想してしまいました。同じく西洋の古典的な建築様式を元ネタとしながらも、その引用の意図は全く正反対なのでしょうが…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.03.21

85-8 塩見縄手と松江城内濠(島根県)

8508sinsam

松江城の北側の風景です。この内濠沿いは黒板塀と白壁の武家屋敷風の建物が500m程に渡って続く「塩見縄手」という観光名所になっており、情緒がある…のですが、通りを行き交う車の量が結構多く、画面左側に見える、砂が敷き詰められ松並木が続く水辺の歩道も幅が狭いので、残念ながらのんびり散策を楽しめるという感じではありません。

ところでこの内濠には、画像のように、船も頻繁に通っています。これは城の内堀と松江市街を縦横に流れる川を巡る「ぐるっと松江堀川めぐり」という遊覧船で、画像のように城内に生い茂る原生林のトンネルのような場所もあれば、市街地では船の屋根を畳んで乗客も身体を横たえなければ通れないようなの低い橋の下を潜ったりするなど、ちょっとした遊園地のアトラクション気分が味わえます。そして、松江の夏は結構蒸し暑いですが、船の上は水面を撫でるそよ風が涼しく、快適です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.03.20

85-7 島根県庁と松江城(松江市)

8507sinpac

島根県庁は、全国にわずか12しかない天守が現存している城の一つである名城・松江城の三の丸跡に立地しています。城はこの画面では右側に小さく映っていますが、県庁舎はこれでも城の景観を損なわないよう、高さを抑えて計画されているそうです。庁舎の前には、松と岩と芝生で構成された広場が展開されていて、開放感のある清々しい風景が広がっています。

県庁舎の方は、一見、何の面白みもない四角い箱といった印象を受ける、典型的なモダニズム建築なのですが、全体的にプロポーションがよいのでしょうか? 建物の外周全体を取り囲むガラス窓には空の青さが反射して映り、透明感があってすっきりとしたシンプルさに美が感じられます。昔、というか、このウェブ・サイトを始めた頃(9年前)にはあまり好きではなかったモダニズム建築の良さが、最近少しわかるようになってきた気がします。もしかしたら、私もそれだけ大人になったということなのでしょうか…(笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.03.18

85-6 足立美術館の日本庭園(島根県安来市)

8506sinjga

 

足立美術館は、とにかくその評判が凄いです。近代日本画壇の巨匠たちの作品を数多く収蔵しており、とりわけ130にも及ぶ日本画家・横山大観のコレクションは質・量ともに日本一とされているらしいです。

そして美術館のもう一つの目玉は、建物を取り囲むように配置された、面積5万坪にも及ぶこの日本庭園です。米国の日本庭園専門雑誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」が行っている日本庭園ランキングでは、初回の2003年から2014年まで、12年連続で庭園日本一に選出され(なぜ外国人に日本庭園をランク付けされなきゃいけないのか、という疑問はありますが)、フランスの旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも最高評価の三つ星を獲得しているのだそうです。失礼ながら、こんな僻地の小都市にそんな立派な(建物だけでなく、中身も)美術館があるのも凄いことだな、と思います。裸一貫から事業を起こし、一代で大コレクションを作り上げたという、創設者である地元出身の実業家・足立全康氏の財力と、芸術を見る目の確かさには唸らされます。

…ところで、問題なのはその入館料で、2,300円(平成27年現在)という金額は、全国的に見ても屈指の高さです! いくら内容が充実しているからといって、美術館にそこまで払うかといわれると、ちょっと躊躇してしまいますよね。足立氏は「庭園もまた一幅の絵画である」とのたまい、見事な庭園を作り上げ、美しく手入れしてこられましたが、「絵画」ということは、手を触れることも、中を歩き回ることもできず、ただ遠くから眺めるという楽しみ方しかできない訳です。おまけに、収蔵品は四季に合わせて年に4回展示替えを行っているとのことで、私が最も楽しみにしていた大観の「紅葉」は季節外れのため見ることができず、果たしてこの美術館にこんなに払う価値があったのかどうか、思わず考え込んでしまいました。この不便な立地だからこそ「わざわざ来たんだから…」という心理が働いて、ついつい出してしまいましたが、逆に他にいくらでも見どころや娯楽がある都会では成り立たない商売なのかもしれませんね。

大袈裟な評判とコスト・パフォーマンスばかりが気になって、結局庭園の素晴らしさについては何も語れませんでした(笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)