J-12 長野

2020.07.26

102-6 雲場池の紅葉(長野県軽井沢町)

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軽井沢の市街地(「住宅街」というよりは「別荘街」ですが)内に位置する「雲場池」は、大正時代この周囲一帯を別荘地として開発した貿易商が、近隣の湧水を源とする小川を堰き止めて造った人造湖です。

池畔に約1kmの遊歩道が廻らされるなど周囲は「園地として整備され」、一帯は風致地区(ふうちちく・都市計画法において、都市内外の自然美を維持保存するために創設された制度)に指定されています。春は水面に映る新緑が、秋は紅葉が美しい、軽井沢の「観光名所」の一つとなっているようです…。

…と、このような表現でご紹介してしまうとちょっと大げさというか、ニュアンスが違うなと感じてしまいます。池とその周りは公園のように人工的に造り込まれているわけでもなく、木々と池以外は目立たない、自然を感じる風景です。多くの観光客が押し寄せるわけでも、そうした人々目当ての土産物屋が建ち並ぶわけでもありません。別荘で過ごす人々が日々の散策がてら立ち寄れるような範囲に、気軽に自然を感じることができる場所があるというさりげなさが、軽井沢らしくて魅力的だなと思います。

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2020.07.25

102-5 海野宿の町並み(長野県東御市)

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「海野宿(うんのじゅく)」は1625年に、中山道と北陸道を結ぶ北国(ほっこく)街道の宿駅として開設され、明治に入り宿場機能が失われてからは養蚕の村として発展しました。延長約650mの通りの両側には約100棟の家が連なり、伝統的な家並みが現在まで保存されていることから昭和61年に「日本の道百選」に、62年には「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。建築的には「うだつ」や「海野格子」と呼ばれる長短2本ずつが交互に組み込まれた格子窓等が特徴的なようです。そして幅員約10mの通りのなぜか片側にだけ用水堰が流れ、並木等の植栽も整備されているのがいい感じです。

こんなに魅力的な町並みがあるのにそれほど有名でもなく、人気の観光地である軽井沢からも近いのにあまり賑わっていません。そのため歴史的な雰囲気を落ち着いて堪能することができます。かつてはJRの幹線だった「しなの鉄道」の駅から徒歩圏で、国道や高速道路からのアクセスもよいので、穴場と言えるのではないでしょうか。

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2020.07.24

102-4 「スズメヲウツノニタイホーヲモチダス」(長野県・美ヶ原高原美術館)

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タイトルのカタカナの羅列に戸惑われたかもしれませんが、彫刻作品の名前です。

まず、ここ「美ヶ原(うつくしがはら)高原美術館」ですが、長野県中央部の八ヶ岳中信高原国定公園内に、1981年、箱根彫刻の森美術館の姉妹館として開館しました。つまり、フジサンケイグループの美術館なので、フジテレビ等ではよくコマーシャル・フィルムが流れており、「アモーレの鐘」で有名です。標高約2,000mの山の斜面に広がる4万坪の草原の屋外展示場にはおよそ350の現代彫刻が常設展示されており、ユニークでスケールの大きい野外彫刻美術館となっています。

ここへ辿り着くまでには、急な坂道をどこまでも果てしなく延々と登らされる、という感覚を抱きます。そして、おそらく私が今までの人生で訪れた中で最も海抜が高い地点からの眺めは、ほとんど空を飛ぶ飛行機の窓から見た景色のようなもので、下界までの距離がほんとうに遠くに感じられます。

美術館の敷地内でも特に眺めのよい場所に展示されているのがこの作品で、澄み切った青い空をバックに鮮やかな朱色がよく映えています。崖の上に築かれた城や砦の跡に設置された大砲のようだな、と思っていたら、まさしくその印象通りのタイトルでした。これは、スイスを代表する彫刻家の一人であるベルンハルト・ルジンブールによる、1970年の大阪万博に出品されたものなのだそうです。

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2020.07.23

102-3 信濃大町駅(長野県)

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長野県松本市と新潟県糸魚川市を結ぶJR大糸線の駅で、東京・新宿への直通特急「あずさ」を含む全列車が停車し、普通列車のほとんどが当駅を始終着とするという、沿線の要衝となる駅です。そして、様々なのりものを乗り継いで飛騨山脈や立山連峰を貫き、黒部ダムなどいくつもの景勝地を通って富山市へと至る大規模山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」の起点ともなっています。

屋根瓦の赤茶色が重苦しかったり、屋根の形状が妙に複雑だったりして、この駅舎には仰々しい印象を受けたのですが、これは山岳都市をイメージして2010年に「山小屋風」に改装した結果なのだそうです。

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2016.09.07

90-26 石の教会(長野県軽井沢町)

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前回(90-25)ご紹介した「ハルニレテラス」と同じ「星野エリア」内に建つ教会で、「建築が自然の一部になる」という「オーガニック建築」を標榜しており、その礼拝堂の外観は巨大な岩を何枚にもスライスして並べたようで、全体がアート作品として造られています。

画像はそのエントランス部分です。本当は上部から光が差し込んだ洞窟の中のような礼拝堂の荘厳な様子がとても素晴らしくて、それを載せたかったのですが、写真撮影が禁止されていたので自重させていただきました。まぁ、そんなことはお構いなしにスマート・フォン等で撮影しまくっている方々もいらっしゃいましたが。

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2016.09.06

90-25 ハルニレテラス(長野県軽井沢町)

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ここは軽井沢の市街地から外れた森の中に、ホテル、別荘群、教会、温泉施設、食堂等が点在する「星野エリア」で、経営不振に陥ったリゾート施設や旅館の再生を手がけてきたことで知られる「星野リゾート」の発祥の地です。画像は星野エリアを構成する商業施設で、ハルニレの木々を避けるように9棟の建物がランダムに並び、それらがウッド・デッキで繋がっています。

ショップ数わずか15という小規模なこのモールは、森の中に埋もれるような環境に調和するように、どこか和を感じさせるような黒い屋根の小さな木造建築が並び、全体的に落ち着いた雰囲気で造られています。北海道の新富良野プリンスホテルの敷地内には、脚本家・倉本聰さんがプロデュースされた「ニングルテラス」という商業施設がありますが、それとちょっと似た環境です。

ちなみに、どのショップも、値段が高いというだけでなく、どこか気取って、お高くとまった感じがする商業施設です。

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2016.09.05

90-24 軽井沢プリンスショッピングプラザ その2(長野県)

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前回(90-23)ご紹介したアウトレット・モールの夜の風景です。

この施設は、スキー場、テニスコートなども有する約110万坪という総合リゾート・軽井沢プリンスホテルの敷地内の、かつてゴルフ場だった場所に建っているのだそうです。この画像では、画面左側には延々とショップが並んでいますが、通路の右側には巨大な芝生が広がっています。他にも大きな池など、ここがゴルフ場だった時代の名残を示す環境が随所に見られます。よく言えば敷地の広さを生かし、自然の豊かさが感じられる、リゾート地らしい贅沢な環境に恵まれたアウトレット・モールですし、悪く言えば土地を非効率的に使って、無駄に動線を長くした歩き疲れる商業施設です。

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2016.09.04

90-23 軽井沢プリンスショッピングプラザ その1(長野県)

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明治以来の外国人避暑地として名高い軽井沢でリゾート開発を手がけている西武グループの一大拠点・軽井沢プリンスホテルの広大な敷地内に1995年にオープンしたアウトレット・モールです。

北陸新幹線の軽井沢駅前という極めて利便性の高い場所(画面のすぐ左側に新幹線の線路があります)に立地する建物群は、背後の山並みを思わせるように切妻屋根が並んでいます。植えられた木々の植生も微妙に高原の冷涼な気候を感じさせ、全体的に避暑地のリゾートといった雰囲気を漂わせています。

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2016.09.02

90-22 オープンガーデン(長野県小布施町)

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前回(90-21)から取り上げている小布施町では、栗、葛飾北斎に続く第3の柱として(?)、花のまちづくりを進めています。その一環として平成12年に始まったのが、その名のとおり丹精込めて美しく飾った各家庭の庭を開放し、来訪者との交流を楽しむ「オープンガーデン」という活動で、現在は町内で130軒が参加しています。

画像のオープンガーデンは個人宅のものではなく、左側に喫茶室が見えるように、街の中心部に位置する店舗の庭のようですが、足の踏み場もないような他人の家の庭に勝手に入り込んで、自慢の庭を鑑賞するのが許されるというのは、年々セキュリティとかプライヴァシーに関してうるさくなっている都会に暮らす人間としては不思議な感覚でした。

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2016.09.01

90-21 小布施堂テラス(長野県)

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北陸新幹線に沿って富山県から西へと向かった今回のシリーズですが、福井県で折り返し、長野県に戻ってきました。今回ご紹介するのは長野駅から地方私鉄・長野電鉄で約30分程の位置にある、小布施(おぶせ)町です。人口は約1万人、面積は長野県の自治体で最も狭く、20㎢にも満たないという小さな町です。江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎ゆかりの地であり、その作品を一堂に集めた「北斎館」が立地する他、「小布施堂」をはじめ町内にいくつかある和菓子店の栗菓子が特に有名で、今や北信濃地域有数の観光地として認知度が高まってきています。

町の中心部に位置するこの北斎館と小布施堂周辺約1.6haのエリアでは、1980年代半ばに商工業空間・居住空間を併せた回遊できる界隈に修景する(古い町並みを単に保存するのではなく、もとの景観に通じる要素を残し、まとまりのある新たな景観をつくっていくこと)という「町並修景事業」が、民間主導で行われました。その成果がこの画像のような風景です。

宅配業者のトラックが停まっているのが見えるように、この空間は、和菓子工場のバック・ヤード等、それぞれの敷地にとっては裏手にあたる場所ですが、「外はみんなのもの」という意識のもと、境界を感じさせず、広場や通り抜けできる小道を設けて、手づくり感と生活感のある和風の庭のように繊細にしつらえています。

この小さな町の見どころは、徒歩で十分に回れる程のエリアにまとまっていて、宿泊施設もほとんどないなど観光地としては実に小規模です。そんな小布施のまちづくりはすべてがコンパクトで、小さな広場や路地の細部にまで神経が行き届いているように感じられます。

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