J-07 千葉

2020.03.21

101-3 流山おおたかの森駅前(千葉県)

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流山おおたかの森駅は、2005年のつくばエクスプレス(TX)開通時に、東武野田線(東武アーバンパークライン)との交点に設置された乗換駅で、TXを走る全列車が停車し、東京都心側のターミナルである秋葉原駅からは快速で約30分、利用客数は沿線第3位という主要駅となっています。TXは計画的な宅地開発との一体的な推進を目的に新設された鉄道ですが、この駅周辺も沿線の中核地域、流山市における新拠点地区と位置づけられ、都市再生機構により面積285.8ha、計画人口28,600人という大規模開発が行われています。

画像のとおり、駅南口は郊外のニュータウンらしく歩行者空間が広く取られた駅前広場となっています。その広場に面して(画像左側)商業施設が建っていますが、これは東京・世田谷の玉川高島屋SCと同じく高島屋系列の「東神開発」が運営する「流山おおたかの森SC」です。延床面積が100,000㎡を超えるという巨大な建物なのですが、外観は小さな建物がいくつも集まったかのように「分節化」されるとともに、歩行者空間に対して雁行配置(がんこうはいち・斜めにずらして並べること)され、ヒューマン・スケールが意識されています。外壁の色づかいも暖かみがあり、木材が多く用いられ、外周部が積極的に緑化されるなど、親しみやすい建築となっています。

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2020.03.20

101-2 成田国際空港第3ターミナル(千葉県)

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東京のみならず、日本の空の玄関の一つとして機能している成田国際空港において、2015年に供用を開始したLCC(格安航空会社)専用のターミナルビルです。

施設使用料を安く抑えたいLCC側の事情に配慮し、徹底して無駄な装飾を排しコストを抑えた簡素な建物となっていますが、工場や倉庫を思わせるその殺風景さが逆にクールなカッコよさを感じさせてくれる上、まだ新しいので宇宙基地の内部のような近未来感すら漂っています。そして間近に控えている東京オリンピック・パラリンピックの開催を意識してか、床面が陸上競技場のような青と赤茶色のゴムチップ・トラックとなっており、色分けによって出発と到着の動線をわかりやすく示しているのにも遊び心が感じられます。こうした工夫が同年度のグッドデザイン賞で高い評価を受け、国内の空港としては初の金賞を受賞しているそうです。

ところで、この施設の計画には当初から「良品計画」が関わっており、フード・コートやゲート・ラウンジに無印良品のソファー・ベンチが導入されているのですが、LCCだから無印「でいいや」という発想なのでしょうか? 私にとっては、自宅の家具をすべてMUJIで揃えるなんて、夢のような贅沢なのですが…。

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2020.03.19

101-1 三井アウトレットパーク木更津(千葉県)

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三井アウトレットパーク(MOP)木更津は、2012年の開業後2度の拡張を経て、現在店舗数が300を超えているという国内最大のアウトレット・モールです。この地域には高い山がなく、周囲には平坦な田園地帯が広がっています。そんな広い空の下に展開されているこの屋外型商業施設には、どこか米国西海岸の高級ショッピング・モールのような明るさが感じられます。

このMOP木更津が立地しているのは、はるか昔に当サイトでご紹介したこの場所の近くで、つまり「東京湾アクアライン」の着岸地にあたります。1997年以前、東京都心部からここまでは東京湾北岸を周回するために7080km程度の移動距離を要していましたが、湾を横断するアクアラインの開通によりそれが40km程度へと短縮され、東京都心や羽田空港からのアクセス性が格段に向上しました。開通当初はわずか15kmの距離で普通車4,000円という「法外な」通行料金がネックとなって利用が伸び悩んでいたアクアラインですが、2020年現在800円(ETC使用の場合)という常識的な料金にまで値下がりし、交通量は増加しています。そしてこれにはMOP木更津の開業との相乗効果も大きいようです。

アクアライン開通直後の木更津市の経済は惨憺たる状況で、旧来からの商業中心であったJR木更津駅前ではそごうやダイエーなどの大型店舗が相次いで撤退し、集客力を失った商店街はシャッター通りと化して、1999年~2003年にかけて地価下落率が東京圏で1位となったほどでした。しかし、アクアラインを経由して東京都心方面とを結ぶ高速バス路線が年々充実していき、市内にパーク・アンド・ライド(出発地から自動車を利用し、途中でバスなどに乗り換えて目的地まで移動する方式)を想定したバス・ターミナルも整備されて、高速バスが鉄道と並ぶ通勤の足として利用されるようになり、この地域から東京都心部への通勤者が増加するようになりました。東京が近くなったにも関わらず不動産価格は比較的安く抑えられ、豊かな自然にも恵まれていることから、近年木更津市は近隣自治体などからの移住者が増え、20132019年で約10%という千葉県内でも有数の人口増加率を誇る自治体となっています。またこのMOP木更津を皮切りに、一帯では大型商業施設の進出が相次ぐとともに、新たな宅地造成が進み、市内の公示地価は5年間で15.4%という上昇を記録しているそうです。

こうして昔ながらの中心市街地の衰退を尻目に、市の商業中心はアクアライン等に接続する道路沿いへと移っています。このMOP木更津はそうした「新しい木更津」の象徴のような施設と言えるでしょう。

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2011.04.06

76-5 上総中野駅(千葉県大多喜町)

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東京という大都会の喧噪の中で過ごす日々にストレスを感じはじめていた私は、ある年の夏休みを迎えるにあたり、「とにかくどこか田舎に行きたい!」と思いつきました。あまりお金も無かったので、いちばん近い田舎に。候補に挙がったのは「半島」という、交通が不便なために他の地域とのつながりが隔絶されている土地で、東京からは海を隔てて対岸に位置する、近くて遠い巨大なフロンティア(辺境)、房総半島を目指したのでした。

房総半島には、外周部の海岸沿いに幹線(?)というべきJR内房線・外房線が通っていますが、海岸部から内陸に向かうローカル線も何本かあります。そして、外房(太平洋側)の大原駅を起点とする第三セクター・いすみ鉄道と、内房(東京湾側)の五井駅を起点とする私鉄・小湊鉄道が出逢う、半島のちょうど中央部に位置しているのがこの上総中野駅です。

いすみ鉄道の方は、「レールバス」と呼ばれる、その名の通りレールの上を走るバスのような簡素な車両(画面左側)が1両で草原の中をくねくねと走る列車で、もう一方の小湊鉄道はというと、大昔にどこかで使われていたものを持ってきた、エアコンも付いていないような古い車両(画面右側)で、この駅には一日に5往復しか列車が発着しません。そんなわけで東京駅からの直線距離にして50kmも離れていない駅とは思えないようなのどかさです。プラットフォームの高さは、バリアフリーなんていう時代の流れなどどこ吹く風といった昔ながらの低さで、雑草は生え放題。線路を跨ぐ陸橋など無く、画像のように踏切内を幼児がよちよち歩きしていても全く危険が感じられません。

東京に居て当サイトをご覧のみなさまも、最も手っ取り早く田舎の風情を味わいたかったら、こんな駅を訪れてみてはいかがでしょうか?

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2009.03.29

72-12 浦安市民墓地公園(千葉県)

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今回の風景が最後の投稿となりますので、最後(最期?)にふさわしく、墓地からお送りしたいと思います。

とは言え、東京ディズニーリゾートを擁する浦安市営のこの墓地「公園」に辛気臭さは全くありません。東京湾岸の埋立地にできたニュータウン(※)の中にふさわしい明るく開放的なランドスケープで、ここには幽霊も怪談も肝試しも似合いません。建てられる墓は形が決められていて高さが低く抑えられているので、園内は非常に見通しが利き、広々として心地よい空間です。墓石が横長になるということは自ずと墓碑の銘文も縦書きではなく横書きになるわけで、そんなところにもアメリカナイズされた、現代的で洗練された墓地を造りたい、という意図が感じられます。

※関連バックナンバー 71-5「シンボルロード」

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2009.03.06

71-5 シンボルロード(千葉県浦安市)

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東京湾を埋め立てて造られた新しい市街地・新浦安地区に、まさに市を代表する大通りとして、広々とした幅員と豊富な街路樹を備え、電線類を地中化し、随所にユニークなモニュメントや散策路、水路等を配すなど、シンボリックに整備された贅沢な街路です。一直線に並ぶスマートなデザインの街路灯からもわかるように、空間全体のイメージは、海沿いのニュータウンにふさわしく明るさ、清新さ、開放感を強調するようなテイストとなっています。沿道の高層マンション群はどれもカラフルで、楽しげなスカイラインを描いています。

この新浦安地区は東京ディズニーリゾート(TDR)が立地する舞浜地区に隣接しており、JR京葉線で東京駅まで直通15分という交通至便なベイエリアの住宅街として近年非常に人気が高く、この地の高層マンション群に暮らす若奥様は「マリナーゼ」などと呼ばれ、そのライフスタイルがもてはやされているらしいです。TDRの存在が浦安市にもたらしているものは地域イメージの向上だけではありません。一大産業と化したテーマパーク・ビジネスからの法人税収入のため市の財政力は全国屈指で、公共サーヴィスも行き届いているようです。暮らしやすさに惹かれて住みたいと思う人が増えていけば、人気が高まり地価が上昇し、裕福な住民が増えて所得税収入が増えると、より公共サーヴィスが充実していき・・・人口減とか、少子高齢化とか、日本中に不景気な衰退ムードが蔓延している中でこんな好循環が続く浦安市というのはなんとおめでたい自治体なのでしょうか。「夢と魔法の王国」というのは、どうやらゲートの外の現実世界にまで続いているようですね。

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2009.01.12

67-6 海ほたるの2匹の亀(千葉県木更津市)

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四方をぐるりと海に取り囲まれた海上パーキング・エリアの風景です。

高い建物など、垂直的な景観要素が何もなく、どこまでも広がる海原の水平さをさらに強調するかのように、平べったい2匹の海亀がデッキ上を這うような姿が、何とものどかで癒されます。

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2008.10.24

62-4 成田山新勝寺表参道(千葉県)

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JR、および京成電鉄の駅から、全国屈指の初詣参拝客が訪れる成田山新勝寺に続く参道です。画像からもわかるように、そのルートはくねくねとカーヴし、アップダウンも多いです。そして、もちろん門前町なので、沿道には土産物屋などが多く建ち並び、その街並みに統一感はないものの、それぞれが昭和の温泉旅館のような、日本情緒を感じさせるようなスタイルで建てられています。

ここを歩く人々の中には、外国人旅行者と思しき方々の姿を多く見かけました。それはやはり、成田国際空港に近いという理由からなのでしょうか。飛行機の乗り継ぎ等で、浅草など東京都心まで足を運ぶほどの時間はないけど、という人々が気軽に日本を味わえる場所としての需要があるとか・・・。そういえば、バブル期に某大手商社が、成田国際空港の近くに日本文化をテーマにした「ジャパン・ヴィレッジ」なるテーマ・パークを造ろうと計画していたような記憶がありますが・・・そんなものを造ろうとするまでもなく、こんな近くに本物があったんですけどね。

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2008.09.29

60-6 パティオス(千葉市)

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1990年代後半から開発された幕張新都心の中層住宅街で、街区ごとにそれぞれ異なる事業者・設計者が、共通のデザイン・コードに基づいて設計し、各街区が個性を競いつつも、建物高さや建物壁面の位置、外壁のデザイン、色彩等に統一感のある街並みが続いています。また、建物の1階部分には、通りに都市的な賑わいをもたらすような店舗等の非住宅施設が配置されています。

なかでも特に私が画期的だと思うのは、欧米の街並みのように、建物が街路に顔を向けて建てられている点です。日本の都市の住宅は、その前に高い建物があろうが(あるいは将来的に建つ可能性があろうが)とにかく南に建物を向けようとこだわるあまり、街路という半永久的に日照・通風・眺望が保障されたオープン・スペースの存在を忘れていて、建物によって街路景観を形成していこうという意識がほとんど感じられないですからね。

このエリアがコマーシャル・フィルムのロケ地として人気が高いのは、「都市の街並みとはこうあってほしい」という、日本人が潜在的に抱いている理想の風景がここに体現されているからではないか、と私は思っているのですが、どうでしょうか。

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2008.09.10

59-6 ディズニー・アンバサダー・ホテル前(千葉県浦安市)

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以前取り上げた通りの、違う地点の画像です。東京ディズニーリゾートの経営母体・オリエンタルランドの本社もこの通りに面しています。

本家米国のディズニーランドは、カリフォルニア、フロリダといずれも暖かい土地に立地しています。ですから、日本においてもディズニーの世界を体現する上で、パームツリーは欠かせないアイテムということになるのでしょう。たとえ年中温暖な気候というわけではなく、空が灰色に曇っていても、左側に見えるこの派手なホテルのデザインと、街路樹などの植栽との間では、ちゃんと調和のとれた世界が完結しています。

ところで、この非日常感あふれる空間の中を行き交う多くの人々の姿は、なぜか妙に日常感に溢れています。彼らはディズニーリゾートで働くアルバイトの人々なのでしょうか? 時間帯を問わずこれだけの人々が動いているということは、このテーマパークがいかに巨大な産業かということが言えると思います。

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