J-06 東京都区部

2016.04.23

89-13 光が丘パークタウン(東京都練馬区)

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光が丘パークタウンは、都内でも有数の面積を持つ都立光が丘公園と一体的に開発されたニュータウンで、約186haの面積の中に多くの公園が点在するとともに公団・公社の中高層住宅が建ち並び、約3万人の人々が暮らしています。戦前、旧日本陸軍の成増(なります)飛行場だった場所が、戦後連合軍に接収され、「グラントハイツ」(米国第18代大統領グラントの名に由来)と名付けられた米空軍の家族宿舎として使われ、1973年に全面返還されたという経緯があり、新たなまちづくりが行われ住宅への入居が開始されたのは1980年代のことです。

立派な緑地帯を備えた広々とした道路が真っ直ぐ伸び、沿道に高層住宅が整然と建ち並ぶ様は近代的な風景で、大陸的な雄大ささえ感じられ、周りを取り囲む練馬の市街地とは明らかに異質な空間です。地域内にはショッピング・センター等の商業・娯楽施設や各種公益施設が一通り揃っており、タウン外に出なくてもほとんどの用が足りそうな上に、タウンの中心に位置する「光が丘駅」が始発となっている都営地下鉄大江戸線に乗ってしまえば地上の景色を見ることなく都心部に直通できるので、歴史的背景もあってかタウン全体が「治外法権」の独立国家のような趣すらあります。また、先日ご紹介した「八潮パークタウン」(89-8)同様、この街にも80年代に造られたニュータウンらしい香りがそこかしこに漂っています。入居開始から30年以上経過したこのような団地の街というのは、全国的に見て高齢化が進んでいることが多いようですが、新宿まで直通20分強というアクセス利便性を誇るこの街は、いまだに若いファミリー層に人気があり、高齢化率は全国平均に比べ低め(あくまで「今のところ」で、今後は急激に上昇する予測です)とのことで、街全体からどこか若々しい活気が感じられるような気がします。

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2016.04.22

89-12 二子玉川ライズ(東京都世田谷区)

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高級住宅地として知られる世田谷区内にあり、首都圏屈指の人気鉄道沿線である東急田園都市線で渋谷から急行で2駅、約10分の距離に位置する二子玉川は、駅北側に1969年に開業した郊外型ショッピング・センターの草分け的存在である世田谷マダム御用達の「玉川高島屋SC」を中心に発展してきた商業地で、また自然豊かな多摩川沿いという立地条件にも恵まれています(駅のプラットフォームの先端は河川敷上空にまではみ出しています!)。そんな「都心さえ、あこがれる街。」に2011年、駅南側の大規模な再開発地区に華々しくオープンした、商業・娯楽・業務・住宅等の複合施設群が「二子玉川ライズ」です(「都心さえ…」は、ディヴェロッパーが付けたキャッチ・コピーです)。

画像は、ショップに囲まれた「中央広場」と呼ばれる場所あたりから駅の方角を撮ったものですが(画像正面奥の大屋根の架かった場所の後方に駅があります)、多摩川に沿った細長い開発敷地を強調するかのような軸性を感じる空間構成です。この街の建築外装とランドスケープのデザインは、世界的デザイナー・コンラン卿率いる「コンラン&パートナーズ」が監修したそうですが、この風景は所々に植えられた木々の緑の他はコンクリートとガラスとメタルで埋め尽くされた無彩色の空間で、ショッピング・モールらしい華やかさよりも、現代的で都会的なクールさを指向しているように感じられます(今にも雨が降り出してきそうな曇り空が、そんな印象を余計に高めていますかね)。二子玉川というハイ・ソサエティな地域にはこんな無機質なデザインがふさわしい、と解釈した結果なのでしょうか。

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2016.04.21

89-11 南千住汐入の街並み(東京都荒川区)

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かつてこの地域は、隅田川の舟運と鉄道貨物基地の陸運を接続する物流の要所であるとともに、2つの巨大な紡績工場を有する工業の街でした。そして、迷路のような細い路地に朽ちた板塀で囲われた木造家屋が並び、(原作漫画版の)「サザエさん」に出てくるようなセメント製の器にブリキ張りの板蓋をあてがった重そうなゴミ箱がそこかしこに目につくといった、昭和30年代の東京の下町らしい風景が最後まで色濃く残り、商店がうねうねの路地沿いに散っていて、どこかの島の漁村をうろうろしているような錯覚に陥る、迷路の街気分が味わえたとのことです。

そんな風景が、昭和の終わり頃から始まった大規模な再開発事業によって一掃され、一帯は画像のように開放感溢れる都内最大級の公園(汐入公園)に隣接し、小じゃれたショッピング・モールが立地する高層マンション群が林立する今風の小ぎれいな街にすっかり生まれ変わってしまいました。かつてのこの土地の記憶など、何もなかったことのように見事に消し去って…。清々しさの中に、どこか白々しい嘘臭さも漂う風景です。

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2016.04.20

89-10 汐入公園の「隅田川テラス」(東京都荒川区)

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東京を代表する大河川・隅田川の両岸には、昭和60年から都の「スーパー堤防等整備事業」の一環として、総延長50km弱に渡り、順次このような親水空間が整備されています(整備率は約9割とか!)。その総称が「隅田川テラス」です。

これは、かつて高潮対策で整備された、高さ3~4m程の直立のいわゆる「カミソリ堤防」によって人々を遠ざけてしまった水辺を、親水性に配慮した緩傾斜堤防に再整備し、治水上の「高水敷」にあたる部分に舗装や緑化を施してテラスのような空間としたもので、堤防の強化、耐震性能の向上にも貢献しているのだそうです。

隅田川の流れが大きく湾曲しているこの「汐入公園」付近もその一つで、まさに川に対して大きく張り出したバルコニーのようにも見えます。広々とした水辺に接する堤防がこうしたなだらかな緑の丘のようになっていると、空がとても広く感じられ、実に気持ちのいいものです。

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2016.04.19

89-9 目黒天空庭園(東京都)

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公園の向こうに建ち並ぶ高層住宅群を、なぜか若干上から眺めているような視線の違和感が気になる画像ですが、それはこの公園の特殊な立地に起因するものです。

まず、ここは高架を走る首都高速道路3号渋谷線と地下を走る中央環状線の交点に位置し、両者を結ぶジャンクションを整備するにあたり、高密な都市部において限られた用地面積でかなり高低差がある長い車路を確保するため、ループ形状が採用されることとなりました。と同時に、近隣地域への環境対策も求められ、車路は上下左右を完全に覆われることになりました(そんな巨大な楕円形のコンクリートの構造物は、地上から見るとまるでローマの「コロッセオ」のような威圧感です)。

この「目黒天空庭園」は、上から見るとドーナツのような形をしたそんな大橋ジャンクションの「屋上」に、目黒区が首都高速道路から占用使用許可を受け、都市公園法に基づく「立体都市公園」として整備し、2013年にオープンした区立公園で、延長距離は約400m、平均勾配約6%、高さは地上11m~35mとなっており、芝生の他にも様々な樹木や花が植えられています。入場無料ながら開園時間は午前7時~午後9時(遅くまで開いていていいですね。夜景も楽しめそうですし。)と定められており、隣接するタワー・マンションのエレベーターで昇って入場するという不思議な感覚の公園です。

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2016.04.18

89-8 八潮パークタウン(東京都品川区)

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東京都心にもほど近い臨海部の埋立地に立地し、周辺を大工場、埠頭、コンテナ・ターミナル、火力発電所、清掃工場、物流センター、新幹線の車両基地、競馬場…といった施設に加え、さらに高速道路や運河に囲まれた、「住宅地」というイメージの全くない、どちらかというと物騒な印象のある地域の中に浮かぶ島のような、人工的な緑に覆われて約70棟の中高層住宅群が並び建つ、面積約40ha、人口約1万2千人のニュータウンです。画面にも映っている「東京モノレール」(羽田空港の主要なアクセス手段の一つとなっています)の車窓から見るこの地区の夜景は、宇宙基地や未来都市を思わせるものがあります。

1980年代に造られたこのニュータウンは、全く同じ大きさの白くて四角い住棟がどこまでも果てしなく平行に並んでいるといった、それ以前の時代に造られた大規模団地とは異なり、住棟の並び方が縦だったり、横だったりして、それぞれの高さにも変化がつけられ、外壁の一部には明るい色のタイルも貼られています。地区全体で歩行者動線と車両動線の分離が図られ、ペデストリアン(歩行者)・デッキが多用されているあたりにも80年代の空気が感じられます。これが90年代に入るとバブル景気の影響からか、さらにファンシーにエスカレートしていき、テーマ・パークのような様相を呈してくるのですが…。

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2016.04.17

89-7 押上駅前ロータリー(東京都墨田区)

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前回(89-6)ご紹介した東京スカイツリー周辺一帯の再開発事業によって生まれた交通広場の画像ですが、これを取り上げた理由は、バス停(タクシー乗り場?)の上屋の形が変わっているな、と思ったからです。一部に透過性のある素材を用い、三角形を貼り合わせて造ったようなカーヴを描く屋根に加え、裾を絞ったような柱の形も面白く、ヨーロッパを思わせるアール・ヌーヴォー風の(?)デザインが洒落ています。

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2016.04.16

89-6 東京スカイツリー天望回廊(墨田区)

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2012年に開業した、2016年現在世界一高いタワーの、第2展望台の画像です。この展望スペースは、高さ445mの地点から450mの地点まで、塔の断面の円周に沿ってぐるりとスロープで歩いて昇っていくという仕掛けになっています。眺めの良いガラス張りの幅の狭い通路は空中の螺旋階段のようで、そこを歩いていると天国へと導かれているような高揚感が味わえます。

ただ、以前にも書きましたが、ここからの眺めにはあまり見るべきものはないなぁ、という印象です。展望台にとって重要なのは、高さよりも立地なんだということに気づかされました。

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2016.04.15

89-5 JR新宿駅新南改札(東京都)

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線路上空利用というウルトラCを使って拡大と発展を続ける新宿駅南口に、新しく開業したばかりの改札口で、その正面には発着する様々な電車を眺められる公園のような歩行者空間が整備されています。まだその場所の存在が駅利用者にあまり知られていないためか、行き交う人の姿はそれほど多くなく全体が広々と感じられ、いつどこへ行っても混雑している新宿駅前らしくない風景です。

画面左手に見える建物は南口開発の先鞭をつけた1996年開業の「タカシマヤタイムズスクエア」で、長年飽きられないデザインを目指したというその外観は、狙い通り開業後20年を経た今でも時代遅れな古臭さを感じさせないように思います。左側の本館から軽やかなブリッジで繋がった「アネックス」、そしてその隣に建つNTTドコモ代々木ビル(前回の記事の画像にも映っていた、エンパイア・ステート・ビルっぽい形のビル)へと続く、鮮やかさを抑えた明るいグレーの色調に揃った都市景観には、現代的かつ都会的な爽やかさが感じられます。

ちなみにこの空間の上部には、同じく今月開業したタクシー乗降場と高速バスターミナルから成る交通施設「バスタ新宿」があります。新宿駅周辺の19カ所に分散していたバス乗り場を集約した結果、100社以上の事業者のバスが1日1000便以上発着し、全国約300都市と結ばれる一大交通拠点が誕生したというのは本当に画期的なことだと思います。ヴァラエティに富んだ目的地の名が記された電光掲示板の発車案内を見ているだけでもワクワクし、都心にいながらにして大空港のターミナル・ビルに来ているような気分すら味わえます。

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2016.04.14

89-4 新宿御苑と新都心のスカイライン(東京都)

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新宿御苑は、江戸時代の武家屋敷跡地に明治39年に皇室の庭園として造られ、戦後一般に公開された広さ58.3ha、周囲3.5kmの庭園です。苑内は日本庭園とイギリス風景式庭園、フランス式整形庭園の組み合わせで構成され、東京を代表する桜の名所としても知られています。

その名のとおり新宿新都心に近接しているので、苑内からはこのようなスカイラインが望めます。開放感がある美しい庭園と、その奥に整列した超高層ビル群が対比するパノラマは見事で、セントラル・パークと摩天楼を擁するニューヨークの風景にも引けを取らないように思えます。そういえば、エンパイア・ステート・ビルっぽい形のビルも建ってますね(笑)。新宿駅の南東側に位置するここから見える高層ビルは、西新宿の淀橋浄水場跡地に建つ旧来からのビル群(東京都庁舎、京王プラザホテル、等)ではなく、西口駅前から南口にかけて建つ比較的新しいビルが多いです。おとなしく控えめな国民性が表れているのか、日本の都市の高層ビルは海外のそれと比べると(※)、手堅くまとまったデザインのものが多いように思いますが、その中で異彩を放っているのは、画面右側に建つ、上部に穴の開いた流線型のフォルムとその名のとおり繭(コクーン)の中に包まれたような外観の「モード学園コクーンタワー」です。

私は以前、新宿御苑の近くに通っていた時期があるのですが、苑内に足を踏み入れる機会はありませんでした。周りを囲む、どこまでも果てしなく続く高いフェンスと鬱蒼とした緑の壁の向こう側がどうなっているのかなど意識したこともなく、このような別天地が広がっていることなど、初めて訪れるまで知りもしませんでした。もしこの新宿御苑が限られたゲートからお金を払って(わずかな入園料ではありますが)入るような閉ざされた庭園ではなく、周囲に対してもっとオープンな設えになれば、薄暗い近隣地域の環境は劇的に改善され、東京という都市全体の魅力の向上にもつながるのに、と感じざるを得ません。

 

※関連バックナンバー

86-12 「シティのスカイライン」82-1 「中環の高層ビル群」
 67-3 「シカゴ川沿いの銅像」

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