J-16 九州

2013.03.30

79-12 いぶすき海辺の散歩道(鹿児島県)

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シリーズの最後は、九州の南端に位置する指宿(いぶすき)市からお送りいたします。

指宿と言えば、温泉の熱によって暖められた海岸の砂浜に体を埋めて入浴するという「砂蒸し風呂」で有名ですが、これがまさに、その砂蒸し風呂が行われる場所の風景です。このプロムナードの右側には温浴施設「砂むし会館『砂楽』」があり、左側に波打つ海面の様に並ぶ「むしろ」は、満潮時や雨天の日等でも砂蒸し風呂が楽しめるように設けられた全天候型砂浴場の屋根です。

全長300mに及ぶ、ボードウォークと丸みを帯びた柔らかい色調の護岸が印象的な、南国の海辺の観光地らしい明るい雰囲気のこのプロムナードですが、以前の写真を見るとこの「通路」は両側を汚らしいコンクリートの壁に挟まれた圧迫感のある「裏通り」といった感じの場所でした。背後の施設の敷地との間の塀を撤去するなどして、街と海辺の一体性を感じられる開放的な空間が実現したのは、平成3~6年に行われたウォーターフロント整備事業の成果のようです。

12回に渡ってお送りしてきたシリーズ「鹿児島の風景」は今日で終了です。余談ですが、今回のシリーズで取り上げた画像の中に、ほとんど人の姿が映っていなかったことに気づいてしまいました・・・。ちょっとさびしいですね(苦笑)。

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2013.03.28

79-11 知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)

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遠くに構える、高さを抑えた三角屋根の建物に向かって、長いアプローチが真っ直ぐに伸びた、気持ちのいいくらいシンメトリーな風景です。設計者が意図したものなのかどうかわかりませんが、私にはこの風景が、特攻隊の戦闘機が滑走路から飛び立とうとしている姿のように見えて仕方ありません。

ここは太平洋戦争末期に編成された大日本帝国陸軍の特別攻撃隊に関する資料を展示している施設なのですが、特攻隊員の写真や遺影等を見ていると、国のために死ぬべくして生まれてきて任務に就く若者たちや、その家族たちの哀れさを想い、感受性に乏しい私でさえも心を動かされ、涙がこみあげてきそうになります・・・。

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2013.03.26

79-10 知覧平和公園の桜並木(鹿児島県南九州市)

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知覧平和公園は、陸上競技場やサッカー場、テニスコートなどの各種運動施設を備えた公園で、地元では桜の名所としても知られているようです。画像はまだ開花前の公園入口付近の風景ですが、3列に植えられた桜に加え、石灯篭が建ち並ぶ光景はいかにも知覧らしく、壮観です。

この公園は地元住民の憩いの場、もしくはシヴィック・センターとして機能しているばかりでなく、武家屋敷と並ぶ知覧の大きな観光資源(という表現が適切かどうかわかりませんが・・・)である「知覧特攻平和会館」(次回ご紹介する予定です)も園内に立地し、さらにそこを訪れる観光客目当てのドライヴ・インのような商業施設群も公園に隣接して立地しているので、「公」と「民」の空間が入り混じったような、ちょっと不思議な雰囲気です。こういう場所で非日常を味わいに来ている観光客と普段着の地元民との交流が生まれるというのも、それはそれで面白いのかな、などと思います。

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2013.03.24

79-9 平山亮一庭園(鹿児島県南九州市)

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前回(79-8)取り上げた知覧の「本馬場通り」の両側に並ぶ武家屋敷群とその庭園は、どれも現代の戸建分譲住宅とそう変わらないほどの小ぢんまりとした規模ですが、質素ながらもそれぞれに趣向を凝らした美しい「小宇宙」を実現しています。

今回紹介するこの「平山亮一庭園」も、ほんとうに小さな庭なのですが、敷地の内外を隔てる高い生垣を越えて、近景の美しいサツキの刈り込みから遥か遠くに見える「母ヶ岳」まで、庭がどこまでも続いているような錯覚を起こさせる、見事な空間演出がなされています。あとは、砂や石の白っぽさにも、鹿児島の風土を感じるような・・・。

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2013.03.22

79-8 本馬場通り(鹿児島県南九州市)

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知覧は、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された、生垣と石垣が美しい武家屋敷群が今も残っていることから「薩摩の小京都」と呼ばれている観光地です。武家屋敷群はこの画像の「本馬場通り」の両側に展開され、観光客はこの通りをそぞろ歩きしながら、一般開放されている7つの各武家屋敷の庭園群等を堪能し、歴史的な雰囲気を満喫しています。

南国の風土を感じさせる、高く生い茂ったヴォリュームのある生垣と石垣に両側を囲まれた通りは静かで整然としており、武家屋敷街らしく、重厚で気品の感じられる空間となっています。

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2013.03.20

79-7 麓公園(鹿児島県南九州市)

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シリーズは鹿児島市を離れ、今回から武家屋敷と特攻隊で知られる旧知覧町(現・南九州市)に入ります。

その旧知覧町ですが、中心市街地に近づくと道路には無数の石灯篭が建ち並び、街角にはちょっとした庭園が整備され、なんだか街全体を和風庭園のようにしたいのではないかという意図を感じます。

中心市街地に隣接し、観光名所である武家屋敷のちょうど入口付近に立地するこの小さな公園も、画像のとおり武家屋敷の庭をイメージさせるような枯山水の庭園風に整備され、これから訪れようとする世界への観光客の期待感を高めてくれます。

それでは次回、画像奥に建つ門の向こう側に展開される、武家屋敷をご紹介していきましょう。

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2013.03.18

79-6 喜入の県営住宅(鹿児島市)

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旅の途中、原油備蓄基地があることで知られる旧喜入(きいれ)町内を通りかかった際、たまたま見つけた集合住宅を撮った画像です。観光名所ばかりでなく、こうした何でもないような日常的な風景も取り上げるのが、当サイトの大きな特徴です(そして、住宅建築や住宅地に関する記事へのアクセスが多いのも・・・)。

観光客なら誰もが通り過ぎてしまうような場所をわざわざ撮ったのは、どっしりとした壁の打ちっ放しコンクリートの重量感、ベランダの壁の穴の空き具合、屋根の赤瓦等に、この地よりも更に南に位置する沖縄のテイストを感じて、面白いな、と思ったからです。薩摩藩は歴史的に、その支配下にあった琉球文化の影響をも大きく受けているようですが、そうした伝統が現代建築においても脈々と受け継がれているのかな、等と感じました。そして、公営住宅においてもそんな地域性を反映した景観形成に資するようなデザインを取り入れているという点に好感が持てました。

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2013.03.16

79-5 仙巌園+ちょこっと桜島(鹿児島市)

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この画像を見て、「鹿児島は古い家並みの先に鹿児島湾と桜島を望む美しい街・・・」などとは決して思わないでください。日本の他の多くの退屈な地方都市と同様、戦災で大きな被害を受けた鹿児島市街には古い街並みなどというものは残っていないらしく、この景色は「市内唯一の観光名所」らしい「仙巌園」という閉鎖された空間に、お金を払って入らないと見られないものです。見えている建物は園内の「磯御殿」のものですが、色や形の揃った屋根が並ぶ俯瞰の風景というものは美しいなぁ、と思います。

そして鹿児島の街の中の風景における桜島の存在感はやはり大きく、鹿児島湾の対岸で裾野を両腕のように広げて、その水が溢れ出さないようにしっかりと堰き止めているようにも見えます。

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2013.03.14

79-4 仙巌園(鹿児島市)

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鹿児島市街の中心から少し離れた海沿いに位置する薩摩藩主島津氏の別邸跡で、「せんがんえん」と読みます。借景技法を用い、桜島を築山に、鹿児島湾を池に見立てた景色と広大な庭園が特徴です。

私は美しく整えられた日本庭園の中にいると、何と言うか「ストイックな緊張感」を味わうことが多いのですが、この南国の日本庭園に植えられたソテツ(もしくはシュロ?)のユーモラスな姿を見るとなんだかちょっと間の抜けた感じがして、温暖な気候のイメージがもたらす開放感のせいで、妙な緊張もどこかへ追いやられてしまったような気がしました。

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2013.03.12

79-3 ドルフィンポートと鹿児島港のウォーターフロント(鹿児島市)

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ドルフィンポートは、鹿児島港のウォーターフロントに建つ、総木造2階建ての複合商業施設です。200m以上にも渡ってS字型にカーヴする長い建物の上部には三角屋根が並び、リズミカルな印象を与えるとともに、中央部に聳える高い塔がアクセントとなっています。2階部分にはウッドデッキ上にテラス席を備えたレストランも多いので、ウォーターフロントの風景や、目の前の芝生の広場で行われるイヴェントを眺めながら食事を楽しむには良いロケーションなのではないでしょうか。ウォーターフロントに建つオープン・モールという発想は、もしかしたら以前取り上げた、鹿児島市とは姉妹都市にあたる米国・マイアミ市にある「ベイサイド・マーケットプレイス」を参考にしたのかな、などとも思いました。

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