J-08 (横浜)

2018.05.10

95-4 東急田園都市線たまプラーザ駅(横浜市)

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プラットフォームの大半が人工地盤で覆われた半地下構造の駅で、所々に開口部が設けられ、吹き抜けとなっています。改札階の床の舗装パターンや梁などには円弧を描くようなデザインが多用され、全体として波紋が広がる水面のように感じられます。2006年から2010年にかけて行われた再開発によって駅上部には商業施設「たまプラーザテラス」が設けられていますが、その内改札上部の3フロア分が吹き抜け構造、側面が全面ガラス張りのアトリウムとなっています。この駅舎は、社団法人鉄道建築協会による鉄道建築協会賞の作品部門で最高の賞である「最優秀協会賞」を受賞したそうです。

ここは、1960年代から東京急行電鉄主導により鉄道新線の建設と一体化した都市開発が行われた「多摩田園都市」内に立地しています。その名のとおり、ハワードの提唱した「田園都市」構想の理念をもとに開発された「多摩田園都市」の範囲は神奈川県川崎市・横浜市・大和市、東京都町田市の行政区域に跨り、東西約20km、総面積約5,000haにも及ぶという大規模なものですが、急行が停車し、商業施設が集積するこの駅はその中心とすべく、東京急行電鉄社長であった五島昇氏によって「プラーザ」と命名されました。今では商業施設等の名称として一般的で、誰もが「plaza=広場」とわかるこのスペイン語ですが、1966年の開業当時にはかなり斬新で画期的なネーミングだったものと思われます。

たまプラーザは1980年代には、当時放送されたTVドラマ「金曜日の妻たちへ」シリーズの舞台となりました。東京郊外の新興住宅地での中流より少し上で都会的かつおしゃれな暮らしぶりを描いたドラマは大ヒットし、バブル期にはこの地区の地価は急騰。現在でも東急田園都市線沿線は住宅地としての人気を保ち続けています。

個人的な話になりますが、私が都市景観に興味を持つようになった最初のきっかけは、小学生の時、この駅に降り立ったことです。当時私が住んでいた川沿いの低地の、農村だった場所が無秩序に市街化されてできたような地域とは全く異なる、バス・ターミナルを中心とした広場が整備された、丘の上の整然として洗練されたここの駅前の風景は衝撃的なものでした。あの頃感じたような、郊外らしい眩しいほどの空の高さは既になく、今では建物に囲まれ大屋根の架かった都心と変わらないような風景にすっかり変わってしまいましたが。

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2018.05.09

95-3 マリンアンドウォークヨコハマ(横浜市)

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横浜臨海部のみなとみらい21地区に2016年オープンした、店舗数20ほどの小規模な商業施設で、個性的なショップや、目の前に広がる港の景観を楽しめるテラス席を備えたレストランやカフェが並んでいます(だったら水面が映った画像を載せろよ、という感じですが…)。

眩しい白と濃いレンガ色の建物で構成された空間デザインのテイストは、米国の港湾都市の倉庫街を再開発して造ったショッピング・モールのような、ちょっとハードボイルドな印象があります。そんな風景には真夏の強い陽射しがよく似合う一方、今風の植栽の優しい感じが場所の空気を少し中和しているようにも思います。

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2018.05.08

95-2 象の鼻パーク(横浜市)

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前回(95-1)の記事で少し触れましたが、日本大通りが海に突き当たるこの場所は横浜港発祥の地で、明治中期には弓なりに湾曲したその形状から「象の鼻」と呼ばれた波止場があったそうです。その波止場を復元し、周辺を公園として整備して開港150周年となる2009年にオープンしたのがこの「象の鼻パーク」で、水面を隔てて左側には赤レンガパーク、右側には大さん橋という横浜のメジャーな観光名所が見えています。横浜のウォーターフロントにもずいぶん公園が増えてきたのでそれぞれの差別化が大変そうだな、と思いますが…。

この風景の中で気になるのが、緩やかに下る緑の芝生の斜面に続く舗装のパターンで、そのグラデーションが波の打ち寄せる砂浜のように見えることです。

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2018.05.07

95-1 神奈川県庁本庁舎と日本大通り(横浜市)

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今回のシリーズのテーマは「神奈川県」ですが、まずはその中心からストーリーを展開していこうと思います。というわけで、県庁所在地・横浜市の、まさにその県庁が見える風景から取り上げましょう。

この画像の正面奥に、見る人に強烈な印象を与える塔を戴く、レトロな建物が見えます。明らかに西洋建築でありながら、五重塔をも思わせるそのピラミッド型の塔の屋根には我が国の国会議事堂のようにどこか東洋のテイストが感じられ、縦に細長い窓の形はフランク・ロイド・ライト風でもあります。かつて当サイトで取り上げた名古屋市役所の庁舎にも似ていて、一言で表現すると「エキゾティック」です。

これが1928年に完成した神奈川県庁の本庁舎で、昭和初期に流行した「帝冠様式」という和洋折衷の建築様式を採用した先駆的事例のようです。かつては日本の表玄関であった横浜港のすぐそばに立地することから、外国人の眼を意識して日本趣味を盛り込んだということなのでしょう。中央に聳える塔には「キングの塔」という通称があり、横浜税関本関庁舎(クイーンの塔)、横浜開港記念会館(ジャックの塔)とともに長く「横浜三塔」として親しまれています。

そして、この庁舎が面しているのは、当サイトが開設してまもない頃にも取り上げた国内初の西洋式街路「日本大通り」です。2002年に再整備が行われたこの通りは、歩道と車道の段差が小さく、道全体として広々と感じられ、地下鉄入口のガラス張りの上屋やボラード(車止め)のデザイン、置かれたフラワー・ポット等のセンスに、横浜という都市のイメージにふさわしい洗練と先進性が窺えます。以前の記事を投稿した2006年当時と比べて取り巻く環境の変化した点と言えば…突き当たりに建っていた民間の倉庫がついに撤去され、通りの先に港が見えるようになったことでしょうか。港に面した倉庫跡とその周囲には2009年に「象の鼻パーク」が開園しました。これについては、次回ご紹介する予定です。

考えてみれば、当サイトでは10年間も横浜の風景を取り上げていなかったんですね…。

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2008.08.26

58-5 海の公園の駐車場(横浜市)

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前回(58-4)の駐車場はパームツリーでしたが、今回は日本の海辺の風景によく似合う松が植えられています。何も植わってなければただのアスファルトの空地が広がるだけの駐車場が、首都圏近郊のアーバン・リゾートのエントランスに相応しい雰囲気を盛り上げるような、ちょっとした松林の空間になっています。

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2008.08.02

57-1 クイーンモール(横浜市)

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186haにも及ぶ、横浜都心臨海部の再開発地区である広大な「みなとみらい21」には、3つの主要な歩行者軸が設定されています。そのうち旧来からの横浜都心部の玄関口であったJR桜木町駅と、港に面したコンベンション施設「パシフィコ横浜」を結ぶように設定されているのが「クイーン軸」で、オフィスビルやショッピング・モールから成る複合施設「クイーンズスクエア」の建物内を貫通している区間が「クイーンモール」と呼ばれています。屋根の付いた屋内空間ですが、土地区画整理事業によって整備された、れっきとした公共の歩行者専用通路です。

天井が高く、幅員が広く、街路樹のように木も植えられているので、歩いていると屋内であることを忘れそうになるほど開放感のある空間です。壁や床の色使いが白っぽいので、天窓からの光をよく反射して、明るい雰囲気です。また、単純に真っ直ぐに貫いているのではなく、途中で若干折れ曲がっていたり、高低差がついていたりするのも、景観に変化を与えていて、長い距離も退屈することなく歩けるような気がします。

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2008.07.16

56-2 みなとみらい線新高島駅(横浜市)

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地下鉄の駅のデザイン化に関しては、前回(56-1)取り上げた東京メトロ副都心線より、4年前に開業したこちらの横浜高速鉄道・みなとみらい線の方が「先輩」にあたります。みなとみらい線各駅の内装デザインはどれも、駅の立地する地域の個性を反映した、たいへん凝ったものになっていて、隣り合った駅でも全く違った雰囲気が味わえます。横浜の都心部という、エリアごとの「キャラが立っている」地域だからこそなせる技なのですが、さすがは古くから都市デザインに取り組んできた横浜市が出資する鉄道会社だ、と思わされます。「こんなに金かけて大丈夫なのかな?」と心配するくらいなのですが、莫大な地下鉄の建設費全体と比べたら、ほんの微々たるものらしいです。わかったような、わからないような理屈ですが・・・

ほんとうはこのシリーズで一駅ずつご紹介したいくらいなのですが、今回フィーチャーするのは、今のところ沿線で最も地味な(唯一、各駅停車しか停まらない)駅、新高島駅です。

この駅のプラットフォームのコンセプトは「深海」らしいです。地下空間というと、とにかく明るく造ろうとする傾向が強いように思うのですが、ここは暗さを強調するかのように、漆黒とネイヴィー・ブルーが支配する空間で、クールな大人の雰囲気を漂わせています。そして、全体的に暗い割には天井がとても高く、どこか爽快さも味わえます。

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2008.06.14

53-7 瀬谷区の住宅街(横浜市)

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地区の詳細については、バックナンバーをご覧ください。
暖色系のパステル・カラーに塗り分けられた街並みは、洋菓子のようにどこか甘口な風景です。
この風景を見ていると、ディヴェロッパーにとって、住宅とはあくまで商品なんだなぁ、と改めて強く感じさせられます。だから販売時点のインパクトが勝負で、そのためにパッケージ・デザインはキャッチーなものでなければならない、という訳です。ただ、住宅はあくまで、景観を構成する要素としてその場所に何十年も永続的に存在していく訳で、長い目で見ればもうちょっと見飽きない、地域に馴染んだデザインの方がよいのかな、という気もしますが。

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2008.04.27

50-8 四季の径(横浜市)

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横浜の郊外に鉄道会社が開発した高級住宅街「緑園都市」の中を通る歩行者専用道路で、両側にはお屋敷の庭を思わせるように、様々な色どり、形、大きさの木々が植えられています。

この道は、延長上に駅が見えていることからわかるように(画像はクリックすると拡大します)、鉄道が通るトンネルの上に沿ってルートが設けられています。必然的に駅に通じる最短経路となるわけですから、車を気にせず、その名の通り四季の移ろいを感じながら歩ける、安全で快適な通勤・通学路として機能していることでしょう。

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2008.03.14

47-7 横浜ベイサイドマリーナ(横浜市)

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横浜市南部のウォーターフロントに立地する、日本におけるアウトレット・モールの草分け的存在「横浜ベイサイドマリーナ ショップ&レストランツ」の風景です。この施設には、「(米国東海岸の、観光・リゾート地として有名な)ナンタケット島の捕鯨船が、助けた赤ちゃん鯨に導かれて横浜に漂着し、乗っていた漁師たちがこの地に棲みついて、故郷ニューイングランドの港町に似せた家が立ち並ぶ町を造った」というコンセプト・ストーリーがあるそうです。・・・どうぞご勝手に(笑)。

それはともかく、アウトレット・モールというのはその性格上、どうしても建物はローコストであることが求められます。そういう施設にとって、ツーバイフォー工法のような簡素な木造建築で構成される米国東海岸風の街並みというコンセプトは、非常にマッチしていたのかな、と思います。これが「宮殿風」や「城郭風」だとしたら、実物との出来上がりのギャップがあまりにも大きくて、興醒めしてしまうかもしれませんので。

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